表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/131

本当に事務所の人?

ドリンクをテーブルの上に置き、二人が座ると少し背の低い恐らく妹さんが話し出した。




「お待たせしましたー!」


「俺らもさっき着いたところだらか大丈夫―! 久しぶりだね彩春ちゃん、お姉さんも初めまして! おれは八代直人。彩春ちゃんの友達の茜の兄です! んでこっちの暗いのが湯月新。アークだね。どっちも四谷高校3年だよー」


「お久しぶりですー、アークさん初めまして! 中里彩春です! 高校1年です!」


「あの、初めまして。中里雪菜です。高校3年で、白風あげはの中の人です…」


「いやー、彩春ちゃんも可愛かったからお姉さんもそうなんだろうなとは思ってたけど、ちょっとびっくりしたよ」


「あ、茜からこんなものを預かってます」




そう言って、彩春ちゃんは自分のスマホの画面を見せてきた。


画面には恐らくこの子が茜ちゃんなんであろう子が、人差し指を突き出して「中里姉妹と連絡先交換禁止! 聞きたかったら1人1億円!!」とコメントが書かれた自撮り画像が表示されていた。




「茜……ちっ先手を打たれた……」


「残念でした! ところでアークさんは生きてますか?」


「あーいや、こいつ、リアルだと俺以外ほとんどしゃべらないんだけど、一念発起して来てみたはいいが、衝撃的なキラキラにあてられて、多分魂がいないわ」


「なんと…アークさーん! アークさーん!」


「………………ハイ、ナンデショウ」


「壊れたロボットみたいになっちゃったんだけどーーーーーー」


「いや、これ二人が来る前からなんだわ…ってか新、そろそろ復帰しろ。配信でしゃべってんだから問題ねーだろうが」


「ま…まぁ……でも、あれはオンラインなんで…オフラインとは…」


「湯月くん、白風あげはと一緒だよ? 声も一緒でしょ? ね? アークさん!」




びっくりした。確かに、今あげはさんと配信中で、アークさんと呼ばれたのかと思った。




「はっ……本当すいません……」


「よかった!」


「んで、お姉さんの方は何と呼んだらいい? あげはさん? 雪菜さん?」


「雪菜で大丈夫ですよ!」


「おっけー、んじゃ雪菜さん、相談というのは?」




と、本題に入ろうとしたときにおれのスマホが鳴った。LIMEでメッセージを受信した。


送り主は、八代茜。


そうだった、なぜか八代妹も登録してたんだった。




『兄貴になんかしらで取引持ちかけられて雪菜さんの連絡先を教えるようなことがあったら、ネット民に写真付きでアークの個人情報が流出しますのでご注意ください』




おいおい、待てよ。なんで未来の流出が確定的なんだよ…八代妹怖すぎるだろ!




「直人、お前の妹からこんな不吉なメッセージが届いた」


「なんでお前妹の連絡先知ってんの?」




と言いながら、俺のスマホの画面を見た直人は、




「のわぁぁぁぁぁぁ!!! 茜めぇぇぇ!! 全ての可能性を摘みにきやがったぁぁぁぁぁ!」




どれどれと覗き込む中里姉妹。




「うけるぅ(笑) 流石あかねだわぁぁ!」


「彩春と似てる勢いがあるよねあかねちゃん」


「…えっと、なんで直人の節操のなさの責任がおれの個人情報なのだろうか……」


「まぁ俺の妹だからな。俺の友達の個人情報などに1ミリも重要性を感じないんだろうな」


「いやいや、お前の妹怖すぎだろ……」


「ふふふ、やっと普通に喋れましたね!」


「あ、いや、はい…」


「あかねに感謝だなー! で、お姉ちゃん例の話相談しなきゃ!」


「あ、うん! 実は先日こんな連絡が配信名のSNSに連絡が来たんです」




そう言って、雪菜さんは自分のスマホを見せた。スマホには白風あげはのアカウントのSNSのDMが表示されていた。




「なんだなんだ、脅迫かー?」




そう言って二人で内容を読んでみると、




『初めまして。突然のご連絡失礼いたします。私は株式会社ホロサンジの太田と申します。白風さんの実況配信もよく拝見させていただいております。

白風さんは現在個人で活動していらっしゃると思いますが、もしよろしければ弊社に所属頂くことをご検討いただけないでしょうか?

このようなご連絡も多く受け取られていらっしゃるかと思いますが、もしご興味あればご連絡いただけますと幸いです。ご連絡はDMでもメールでも構いませんのでご検討の程よろしくお願いいたします。oota@horosanji.co.jp 』




「事務所への勧誘か。ホロサンジってあのバーチャル配信者がいっぱい所属しているところか」


「そうだね。いっぱいってかバーチャル配信者の事務所だと最大手だね。登録者50万人超えのバーチャル配信者とかホロサンジしかいないんじゃないかな」


「へー、そうなんだな。そういう新興系の事務所は詳しくないんだよな。これはいかん。勉強せねば。」




直人は、既に父親からいずれ芸能プロダクションを引き継ぐと言われており、これだけ動画配信がメジャーになった今、全く関係のない業界というわけではないのだ。




「それであげはさん。あ、雪菜さん、これがどういう相談なんでしょう? いい話のようにも思いますが?」


「あ、えっと、そうなんですが…まずこれが本当にホロサンジの人が送ったものなのかどうかがわからず…」


「まぁSNSですしね。でも記載されてるメールアドレスはco.jpなので、日本に存在する法人しか取れないドメインですし、ホロサンジの公式サイトも同じドメインなので、ほぼ間違いないと思いますよ。」


「まぁそうだな。公式サイト全く同じドメインで詐称はできないな」


「うん、でも例えば名刺を落としてアドレスをうまくつかわれたって可能性も相当低いですけどあるから、メールで確認してみるといいかもしれませんね。」


「な…なるほど! ありがとうございます!」




なるほど。

以前株の投資で企業のことを色々調べたりしていたから何も違和感はなかったけど、普通の高校生だと、確かにわからないのか。




「その本物かどうかっていうのが相談内容ですか?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 妹さんのこと脅迫罪で訴えられるのでは?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ