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【中里雪菜視点】私のとってのアークさん

7月1日、私が中の人をつとめている日向ゆきはは、ホロサンジからVゲージに移籍した。




移籍までの間は、新しく始めたモデルの仕事もやりながら、休止中に周年が過ぎてしまうので太田さんとも相談した結果、やはり記念ボイスしかないということで、私も覚悟を決めた。


結局記念ボイスを録音することにはなったけど、南さんに言われていた時となんか気分が違う。


きっとこんな気分の時の方が視聴者さんにとってもいいものになるはずだ!



そして新衣装の打ち合わせに行った時、同じタイミングでまりんさんも打合せだったようで、受付で話した私の声を聴いてわかったのか、「まりんだよ」って言われたときには衝撃を受けた。


そういえば今まで、バーチャル配信者の中の人に直接会ったことはなかった。


まりんさんは20代半ばぐらいの可愛らしい感じの方で、本業は声優だったけど、もう配信の方が本業になったと言っていた。



そんな慌ただしく目まぐるしい6月を終え、ついに迎えた7月1日。



私は、日向ゆきはとしての配信活動を再開した。



私含め総勢11名の復帰配信となり、ネットでも大いに盛り上がった。


そう言えばホロサンジが新しく始める、アニメ連動のバーチャル配信ももうすぐ始まるのか…。



それからはこれまで通り、ゲーム配信や雑談配信を行いつつ、これまでとは違いYukiとしてモデルの活動をつづけた。



りのあちゃんが同じ事務所に入ったことで、ありがたいことにwiwiにも一緒に出ることになり、そこからはモデルの仕事も増えた。


太田さんは日向ゆきはのマネジメントだけでなく、Yukiの方のマネジメントもやってくれている。


あと、華蓮ちゃんがサポートしてくれていて、撮影にはいつもついてきてくれる。



華蓮ちゃんは本当にすごい。


どこに行っても3分ぐらいあればだれとでも仲良くなる。


もはやコミュニケーションお化けだ。


仕事も楽しいみたいだし、太田さんも可愛い後輩だと言っていた。



そうして私は、その生活にも慣れてきたころ、録音が終わった「日向ゆきは1周年記念ボイス」を発売した。



休止明けの応援もあってか、飛ぶように売れてると直人くんが喜んでいた。




そうしても一つ大きな変化があった。








「おねーちゃーん、入るよー!」




と彩春が部屋に入ってきた。




「どうしたのー?」


「おねーちゃんが昔使ってた、カメラとかってまだあるー?」


「あーうんあるよ?」


「頂戴!」


「別にいいけど、どうするの?」


「茜と動画投稿やろうと思って!」


「あ、そ、そうなんだ」


「茜も私も部活あるから毎日とかは無理だけど、ちょいちょいやって自分たちでお金を稼ごうと思って!」


「そ、そっか…稼げるまで大変だよ…?」


「ふっふっふ、最悪困ったら茜のお兄ちゃんに相談する!」


「あぁなるほど…どうやるかとか全然わからないけど直人くんなら解決してくれそうだね」


「そっ! だから頂戴!」


「あーうん、わかったよ。後で部屋持ってくね!」


「ありがと! ってかおねーちゃんよかったのアークさん?」


「え? よかったのって?」


「いやだって、菅谷先輩と付き合ってるんでしょ? おねーちゃんもアークさん好きだったでしょ?」


「あぁ、そういうことね。うん、好きだったし、今でも好きだけど、なんかこう、そういう好きとは違う感じなんだよね」


「へぇ?」


「お正月にさ、ホロサンジの件で色々やってもらったときあったじゃん?」


「あーうん、なんかアークさんがハッカーみたいなことやって見つけたっていう」


「そうそう。ホロサンジの事務所にそれを伝えに行った帰りに、一緒に初詣行ったのね」


「あぁ、そうだったんだ!」


「それでね、いつも冷静だから困らせたいなーと思って、思い切って腕組んでみたの」


「お、おねーちゃんにしてはなんて大胆な!!!!!」


「その時にさ、なんかこうドキドキするっていうより、えーい! みたいな感じで、なんか大好きなお兄ちゃんとか、大好きな先生に甘えてるみたいな感じに思っちゃったの」


「な、なるほど」


「だからりのあちゃんと付き合うって話を聞いた時も、純粋におめでとー! って思えちゃって」


「なるほどねー」


「だから今でも好きだし、これからもいっぱい助けてもらかもしれないけど、私としてはおめでとうって感じしかないかな」




と私が言うと彩春はニコッと笑って、




「そっか! おねーちゃんがいいならいいや! 私はいつまでもお姉ちゃんの味方だからね!」




とウインクして言った。




「ありがと!」


「それじゃあ機材よろしくね!」




と言うと、彩春は部屋を出ていった。




今日はOPEXのとある大会に大変おこがましくも解説として呼ばれているので、頑張らないと!


ダマスカスと言うプロゲーミングチームが開催した大会で、メイン解説としてgoodさんがいるが、なんかそれだと盛り上がりに欠けるみたいで、goodさんから相談された。


正確にはアークさんと私の2人を誘ってくれたのだけど、アークさんは今ではもう配信活動はほぼ休止中になってしまっており、私だけになった。


goodさんがいなければ流石に無理だが、一緒に解説やるからどうかと言われ、これもチャレンジだと思い引き受けた。






そうしてその日、なんとか大きな問題なく解説を終えて、goodさんからもすごいよかったと言ってもらえた。





さーて、いよいよ明日は顔出し配信をする。


どんな反応になるかわからないし、こればっかりは嫌がる人もいるだろう…。


でも私を支えてくれたリスナーさんに隠し事はしたくない。


そして、




「こんゆきー。今日は皆さん見てくれてありがとうございます! 私は、ここまで支えてくれた皆さんに非常に感謝しています。長い方はもう4年になりますね! それで今までもそうだったのですが、そんな皆さんに私は隠し事がしたくない! って思っています」




『ゆきはちゃんはそう』

『それがいいところでもある』

『時々隠したほうがいいのにひやひやするときもある』




「それで、私実は最近バーチャル配信以外にも活動していまして、これからも日向ゆきはとしてバーチャル配信を続けていくのはもちろんなんですが、そちらもお伝えしておこうと思います」



『なんだなんだ』

『それ言っちゃって大丈夫?』

『誠実だが…』




「はい、もちろん事務所の方にも相談済みですので大丈夫です。では…」




と言って私はバーチャルアバターを配信画面に残したまま、ワイプでカメラ映像を入れた。




「こんにちは、日向ゆきはの中の人のモデルのYukiです。最近はwiwiとかにも載ってますので是非見てください♪」




と、ニコッとカメラに笑いかけながら話した。




『ちょっと待って』

『まさかの顔出し』

『いやそれは…』

『めちゃくちゃ美少女すぎんか』





これから新しい私の生活が始まる!


日向ゆきはとしても、Yukiとしても。


中里雪菜の新しい出発だ!

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