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7月1日

そうして迎えた7月1日。


元ホロサンジ所属の11人の配信者の復活配信の日となった。



昨日の段階で、11人の配信者のチャンネルにはリマインダーが登録されていた。


直人達も色々考えたようだが、配信者の方々と相談に相談を重ねた結果、休止したことはこっちの都合でしかないから視聴者さんにちゃんとお詫びがしたいという意向が強く、特に何も制限することなく、個人個人7月1日の好きな時間に配信をするということになったそうだ。



そして、先陣を切って、ロイドさんとまりんさんが正午から配信を開始した。


少しだけ見ていたが、概ね待っていた的な反応が多く、それぞれ休止の謝罪や、エンゲージへの感謝が述べられていた。


そしてゆきはさんの配信が始まる少し前に、ゆきはさんのチャンネルを開くと、既に3000人の人が待機していた。




「こんゆきー! 皆さん、お久しぶりです! この度は私の都合で、長らくお待たせしてしまって本当に申し訳ありませんでした。発表もありましたが、今回Vゲージさんに移籍する形で配信活動が継続できることになりました!」




『待っていた』

『どうなるのかと思ったよ』

『周年すぎちゃったね』




「それでですね、休止期間中に1周年が過ぎてしまいまして、楽しみにしていただいた皆さんに申し訳なく、Vゲージさんとご相談した結果! 少し遅れてしまいましたが、記念ボイスを発売いたします!」




『mjk』

『ゆきはちゃんボイス恥ずかしいって言ってなかったっけ』

『欲しい!』




「恥ずかしいのはまだ相当に恥ずかしいんですが…ただ、こうやって待っていただいた皆さんの期待には応えたいなと思いまして……! 今録音中ですので、もう少ししたらご案内できると思います!」




『萌え声いれて欲しい』

『好きって言って欲しい』

『お兄ちゃんまた言って欲しい』




現在録音中だとゆきはさんが言ったもんだから、もう配信画面みんなの希望で埋め尽くされた。





「あ、え、あ、えっともうセリフは決まってますので! ごめんね! …でも萌え声はあるかもしれません…ないかもしれません……」




『期待』

『待ってる』

『早く聞きたい』




「というわけで、本当に皆さんお待たせして申し訳ありませんでした。これからまた活動を続けていきますので、引き続きよろしくお願いします!」




とりあえず、ゆきはさんも何事もなく配信を続けられそうだ。


今後顔出しをどうするかとか色々あるだろうが、ゆきはさんなりに視聴者さんに寄り添っていければいいんだと思う。




そして俺は、研究員としてほぼ毎日研究室と言う名の、パソコン部屋に通っている。


アークとしての配信活動も、パソコン部屋から行っている。


今度Vゲージに所属することになった旨配信する予定だ。




ただ、最近それよりも大きな問題に気が付いた。



ちゃんと通っているもんだから、家に帰ってきたかどうかが莉乃愛にバレてしまい、結果的により徹夜がやりにくくなった。


まぁ別に徹夜したくてしてたわけじゃないんだけど…。


そうして俺は閃いた。


そもそも通う時間も、もったいない気がするし、ここは一人暮らししかない!


この研究室の徒歩圏内の安いアパートでも借りて、一人暮らしする!


本当はこの部屋にベットとかを持ち込みたいのだが、それは直人に断固反対されやむなく断念した。


どっかいい部屋ないかなーとスマホで探しながら家に帰り玄関を開けると、仁王立ちの莉乃愛が腕を組んで立っていた。




「あっくん、話があります」


「な、なんでしょう…あ、ただいま」


「あ、うん、おかえり! 話があるので、荷物置いたらわたしの部屋に来なさい」


「は、はい……」




そう言うと莉乃愛は部屋に戻っていった。


なんだ?


最近は徹夜してないけどな…




と思いつつ部屋に荷物を置き、莉乃愛の部屋に向かった。


莉乃愛の部屋のドアは開いていたので、そのまま「入るよー」と中に入った。




「ドアを閉めてください」


「は、はい…」


「そこに座ってください」




とベットを指さされたので、おずおずと俺は座る。




「さて、わたしは怒っています。なんででしょう」


「えっと…徹夜はしてないよ?」


「違います」


「なんだろ……」


「自分の胸に聞いてみてください」


「んー……」


「わたしはとある噂を耳にしました」


「とある噂……」


「とても信用できる噂です」


「信用できる…」




本当にわからない。


なんだろ…。アークのことも研究員のことも莉乃愛には言ってある。




「ご、ごめん。本当にわからない」


「あっくん、一人暮らししようとしてるでしょ」


「え、あ、うん、あぁなるほど」




直人か…。


ベットの持ち込みを聞いたから、勘づかれたのか…。




「もちろんダメだよ!」


「なぜ…」


「一人暮らししたい理由はなんなの?」


「…通う時間がもったいない……」


「それもあるでしょう! でも、絶対違うはず!」


「……徹夜できないから……」


「ほらー! だからダメ!」


「で、でも、流石に俺もこの年だし一人暮らしぐらい…」


「そう言って、一人暮らしして体壊したら元も子もないでしょ!!」




ある意味母さんよりお母さんだな……。


母さんなら「あら~気を付けるのよ」ぐらいで終わりそうなもんだが、ここ最近の俺の生活は、母さんより莉乃愛の方がよく見ている。


まぁ2徹してフラフラになったりもしたから、わからないでもないが……




「で、でも、今作りたいものがあって…」


「じゃあ私も一緒に住む!!!!!!!!!!」


「えぇ?!」





はぁ?!?!


それは流石にまずいでしょうよ莉乃愛さん……。


と思い莉乃愛の方をみるが、ドンっとしていたって真剣な感じだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の体調管理出来ない主人公は文句言えないよね(´・ω・`)
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