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研究室

そしてなんと、それから1週間で契約が締結してしまった。


後は各国で申請中の特許が認可され次第今回の企業へ譲渡するだけで、既に直人の親父さんから弁理士さんと証券会社さんにお願いされており、俺のやることはなくなった。


俺が払おうと思っていた申請費用等も、エンゲージが出すということになり、お金も使わず……。


また甘えちゃったがいいんだろうか…。


そんなことを思いながら、一応技術の所有権がエンゲージに存在していることを俺が認めるという、形式上の書類があるようで、今日はエンゲージに来ている。


受付で直人を呼ぶと、直人が太田さんと話しながら出てきた。




「あー! アークさん!!」


「あ、お久しぶりです…」


「なんかまたものすごいことやったらしいですね!」


「偶然です…」


「偶然で出来るものじゃないと思いますけどね~。じゃあ、社長さっきの件よろしくお願いしますね!」




と、太田さんは直人に敬礼して行ってしまった。




「いやもう、てんやわんやだわ」


「そうなんだね」




と会議室に向かいながら直人が言った。




「お前が急にホロサンジの話持ってきて、まぁうちの会社にとっていい話ではあるからいいんだけど? いきなり社長やることになったかと思ったら、今度は特許の売買だぞ?」




と会議室のドアを開けながら言う。




「いや、結局直人の親父さんにまた甘えてしまって申し訳ない」




と言いながら俺は座った。




「いや、それはいいんだけどさ全然。てかお前本当にお金いらないの?」


「うん、あれは直人への中学から色々お世話になった恩返しだから」


「いやいや、恩返しが斜め上すぎるし、金額が尋常じゃねーんだけど」


「まぁ元々あんな金額になると思ってなかったし」


「いきなり、ホロサンジからの移籍の件のお金回収出来ちゃったんだけど」


「それならよかった」


「代わりにお前に借りがある感じになっちまったよ」


「いやいや今までの借りを返したのに、また返されるとかわけわかんないから」


「それはそうだけど、はぁ、お前本当お金興味ないんだな…」


「やりたいことができればいいと思ってるぐらいは興味あるよ」


「親父も流石にビビり過ぎてて、なんかないのかって言ってんだけど…」


「んーなんかって言われても、過去の直人への感謝代だからなぁ」


「いやいや、そんな金額じゃないからさ、普通はね、一般的な話ね」


「そうなのかな」


「そりゃそうだろ! お前これ自分でやってたら全部自分のもんだったんだぞ??」


「んーまぁ別にそこにはそれほど興味ないしさ。証券会社に知り合いとかいないし」


「あー! もうわかったけど、まじでなんかねーの??? 例えばー…研究室が欲しいとか!」


「あ、それはめちゃくちゃ嬉しいかも。家でやってて、徹夜がりのあに見つかると、怒られるんだよ…」


「………もう理由が不純でしかなさすぎる…」


「でも母さんが淹れてくれるコーヒーがないな…」


「もーー、高校の時もなかったんだからそんぐらいいいだろうが! そしたらエンゲージの中にお前の研究部屋作ってやる。あと、ついでにもう研究員と言うことで給料も払うよ。もうこれでいいだろ?」


「うん、直人がいいならそれでいいよ。でも俺自分のやりたいことしかやらないよ?」


「あーうん、何ら関与しない。関与したってわからんし」


「そっか。それならそれでお願いします」


「もう会社もわけるから、好きにしてくれ!」


「なんかパソコン買いたいときとかはどうしたらいい?」


「そこら辺は親父の会社で出来る人紹介しとくからその人に言え!」


「わかった」


「会社名も決めろよ」


「代表者は嫌だよ。目立ちたくない」


「わーってるよ、代表者は俺にしとく」


「会社名は、んー…xゲージで」


「未知数ね、いいんじゃん。ゲージシリーズだけど…」


「じゃあそれで」


「わかったよ」





そう話して俺は、技術の所有権がエンゲージにあることを認める書類に捺印して、その日は終わった。


直人にこれまでの恩を返したつもりだったのに、社員になってしまった。


てか、そうなると配信での収益どうしたらいいんだろう。


今度直人に聞けばいいか。


別にもうこうなったらアークが所属しててもいいや。


元々配信はがっつりやるつもりがなかったから、迷惑かけると嫌だと思って断っていたが、こうなると逆に所属にしてお金のこととか全部やってもらった方がいいかもしれない。


いや間違いなくそうだな。


それに、ゆきはさん達が転生せずに移籍になったから、アークの配信に頼ることもないだろう。


よし、そうしよう。




そんなことを思いながら、家に帰り、コーヒーをもらいにキッチンに行くと、ダイニングに莉乃愛が座ってスマホをいじってた。




「あ、あっくんお帰りー! 今日遅かったね!」


「あ、うん、直人と話してて」


「そうなんだ! ねーこれ見て!」




と持っていた雑誌のようなものを見せてきた。


そこには、RinoとYukiとして、莉乃愛と雪菜さんが2人でポージングして載っていた。




「めっちゃよくない?!」


「ふ、2人ともすごい綺麗だね…」


「ふふふ! なんたって、西の中里と東の菅谷だからね!」


「なんか懐かしいねそれ」


「そうだね~。んで直人とは何? 新しい会社の話?」


「あ、いや、実は俺も直人の親父さんの別のグループ会社に所属することになった」


「えぇぇぇ??? あっくんが??? 動画配信者として???」


「いや、研究員として」


「意味わかんないんだけど…」


「詳細は今度発表が出たら話すけど、ちょっとVゲージとは別のことで直人の親父さんに協力してもらってその延長線上で…」


「よくわかんないけど、あっくんも同じ所ならずっと一緒だね!!」


「まぁ俺は籠ってるだけだと思うけど…」


「それは家でも変わんないね!」


「そ、そうだね…」




そう言って2人で「ふふふ」と笑った。

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