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【中里雪菜視点】事務所からの連絡

ゴールドランクに到達してからしばらくしたころ、配信名のSNSに1通の連絡が届いた。




『初めまして。突然のご連絡失礼いたします。私は株式会社ホロサンジの太田と申します。白風さんの実況配信もよく拝見させていただいております。

白風さんは現在個人で活動していらっしゃると思いますが、もしよろしければ弊社に所属頂くことをご検討いただけないでしょうか?

このようなご連絡も多く受け取られていらっしゃるかと思いますが、もしご興味あればご連絡いただけますと幸いです。ご連絡はDMでもメールでも構いませんのでご検討の程よろしくお願いいたします。oota@horosanji.co.jp 』



 

多くのバーチャル配信者が所属している事務所からの連絡だった。

 

最近、こういった「事務所に所属しませんか?」というような内容の連絡もチラホラもらっていたが、あまり現状の環境を変えることを考えておらず、とりあえず考えますとだけ返事していた。

 

しかし、ホロサンジと言えば、バーチャル配信者の事務所としては最大手。数十万人の登録者がいるような有名なバーチャル配信者は全員ホロサンジだ。


でもこの連絡してくれた人は本当にホロサンジの人なのだろうか…




「んー…」


「どうしたのお姉ちゃん? さっきから「んー」「ん-」うなってるけど?」




配信をしていない時はよく私の部屋に入り込んでる彩春が聞いてきた。




「あ、声に出てた? ごめん。自称ホロサンジの人から、ホロサンジに所属しないかって連絡がきたんだよね…」


「おーーー! ホロサンジ! 大手じゃん! お姉ちゃん凄い! ってかなんで自称なの?」


「いや、SNSで連絡来てるし実際わからないじゃない?」


「んー、どれどれ」




そう言って、彩春がパソコンの画面をひょいっと見に来た。




「メールアドレス書いてあるし本物なんじゃない?」


「んー、どうなんだろう…」


「ってか、もし本物だったとして、お姉ちゃんどうするの? なんかこれまでは考えますーって言って、実際は動く気ない感じじゃなかった?」


「うーん、そうなんだけど、今回はホロサンジだからさぁ」


「確かにねぇ。ホロサンジはちょっとわけが違うよねぇ」


「どうしようかなぁ」


「でも、事務所に所属したら機材とか手配してくれるし、歌やら踊りやら3Dやらいろいろできるんじゃない?」


「うーん、それはそうなんだろうけど…」


「もしかしてゲーム以外やりたくないとか?」


「いや、別にそういうわけじゃないし、他のこともやれるならやってみたいし個人だと限界あるのはわかってるんだけど……事務所に所属するとなると断れないことってのもきっと出てくるんだろうなと…」


「んー、まぁそういうのもあるのかもしれないけど、なんかホロサンジの配信者の人とか見てると、あんまりそういう強制感がある感じしないけどなぁ。それに別のことやってみたいんなら、別にいいんじゃない?」


「まーそうなんだけどさぁ……ほら…顔出し強制されたら……」


「あー…そっちか。まぁホロサンジの人で顔出ししてる人多分いないからそんなことはないと思うけどー…実写に耐えうるレベルではないからという可能性もなくはないのか…?」


「それは私にはわからないけど、なんか中学の時や高校の周りみたいになっていくと嫌だなぁって思って…」


「まぁ西の中里だしねー。今年からは東にも中里いるんだけどなーーー!」


「でもホロサンジに所属したら色々できるよね…んー…実際どうなのか相談したいけど、ちょっと同性の人には相談しにくいうえに業界のことがある程度わかる人じゃないと…」


「お姉ちゃんの知り合い女の人ばっかりだもんねーー! 「私可愛いから顔出しさせられるんじゃないか不安なんです!」 なんて相談できないよねぇーーーー」


「笑い事じゃないよぉ。バーチャル配信始めて、結構自分の思ったことを喋れるようになってきていいなぁと思ってたのに…」


「まぁお姉ちゃん合わせるタイプだからねぇーーー。 あ! いるじゃん! 同性じゃない上にそこそこ業界のことわかってる上にお姉ちゃんのこともよく知ってる人 !」


「「アークさん!」」


「いやでも、流石にアークさんでも「私、実物が可愛いんですけど」なんて言えるわけないじゃんーーー!」


「まぁそれもそうか。そうしたら、会って相談しちゃえば? そしたら言わなくてもわかるくない?」


「ええ、わかるかな? ってか見たら可愛いってわかるだろってのも結局一緒じゃない?」


「とはいっても、その実物が可愛いということを無しにして話せる内容じゃないじゃん」


「それはそうだけど…んー…でも一回相談してみようかな」


「それがいいよー! アークさんも四谷高校だから頭いいし!」


「でた、彩春の謎の頭いい人理論…」


「頭が良ければなんでもできるー!! ということで、相談にのった妹は欲しい帽子があるんだけどーー?」


「はいはい、わかったよ。あとでURL送っておいて」


「イエーイ!!」




アークさん迷惑じゃないかな…でも相談できそうな人アークさんしかいないし…

 

そうして、その日の夜アークさんにリアルで会って相談したいと話したところ、リアルでは人とまともに会話ができないから友達と一緒ならいいということになった。



いや、私も社交性高いわけじゃないけど、これだけ配信で喋ってたら流石に喋れると思うんだけど、それすら難しいっていったいどういうことなの? でもなんか可愛いな。


なんて思いつつも、妹も連れていくと言ったので彩春に大丈夫か聞かないと。




「彩春ー、いいー?」




そう言って彩春の部屋をノックした。




「いいよー! どうしたのお姉ちゃん?」


「あのさ、アークさんに事務所のこと相談しようって言ってたじゃん? 相談したら、八代さんも一緒ならいいってことになったから、彩春も来て欲しいだよね」


「なぜ、あかねのお兄ちゃんがそこで出てくる」


「なんか、アークさんリアルだと他人とまともに会話ができないんだって」


「うわー、スーパー陰キャじゃん。どうするの脂ぎったキモデブとかだったら…」


「まぁそれは相談とは関係ないしさ、とりあえず明後日の夕方彩春も来てくれない?」


「明後日の夕方かー。部活だけど、面白そうだし休むからいいよ!」


「ありがとー!」


「場所はどこなの?」


「あー決めてなかった。」


「あかねの家わかるから、私が適当に決めようか?」


「いい? ありがとう!」


「面白そうだしあかねも呼ぼーーー!!」




といってスマホを操作しだしたので、私は自分の部屋に戻った。




『あかね氏。生きているか』

『生存している』

『面白い情報を手に入れたぞ』

『なになに』

『白風あげは

 リアルで会う

 アークと八代兄』

『なんだそのビックイベントはwwwwwそしてなぜまたうちの兄貴がいるww』

『うちのお姉ちゃんがちょっと業界のことで相談したいことがあるらしいんだけど、アークさんリアルでは他人とまともに会話できない人種らしい』

『スーパー陰キャじゃんwwwそれ脂ぎったキモデブとか来るんじゃないのwww』

『私と同じ反応なんだけどwww』

『まぁそういうことらしく、八代兄に白羽の矢が立ったわけだ』

『いつ? 私も行く』

『明後日の夕方』

『うわーーーーー、明後日は無理だーーーー!!!! 部活のランキング戦があるから休めないーーーーーーー。悔しすぎるーーーー!!!』

『なんと! では当日の模様は拙者が報告しよう』

『ぐ…た…頼む……あっ、てかそうすると、西の中里にうちの兄貴が会うことにもなるんじゃん。ちょっと待ってて』

『ん、確かにそうだね。ビックイベントすぎて気が付かなかった』

『これ、会ったときに兄貴に見せて。(あかねが指を突き出した自撮り写真の上に「中里姉妹と連絡先交換禁止!聞きたかったら1人1億円!!」とコメントが書いてある)』

『承った! ってか八代兄、東の菅谷紹介してがんばってるんでしょ? 聞いてくるかな』

『100パー聞いてくる。いろははなめてるよあいつを。』

『ま、これがあれば大丈夫か!』




こうして私は、アークさんこと湯月新さんとリアルで会うことになった。

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[良い点] テンポが良くて面白い [一言] いやホロサンジは草なんよ
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