【菅谷莉乃愛視点】果たして
年末に父親から連絡が来ていたことを、あっくんに相談した。
すっかり忘れてて、少し遅くなっちゃったけど…。
自分の抱える問題よりも、これまでにわたしが改造に改造を加えたあっくんが、「んーー…」と真剣に悩んでる姿が、正直かっこいい。
この前、華蓮に「あっくんのことが好きなの?」と聞かれた。
初めて好きかどうかということを考えると、正直わからなかった。
もちろんあっくんのことは大好きだし、わたしにとっては特別だ。
色々迷惑をかけちゃうことがいっぱいあるけど、あっくんはいつも助けてくれるし、つきあってくれる。
正直、ご飯食べてても、ゲームしてても、何しててもかっこいい。
それが好きってことなのか? と言われると、よくわからない…。
好きって何だろう。
とりあえずバカなわたしにはわからないから一旦置いておこう。
そして今回もあっくんが色々調べて、動いてくれて、弁護士の先生をあっくんのお父さんに紹介してもらい、父親と話をすることになった。
あっくんが途中お父さんに怒られているのを見た時は、いつも先回りで考えを持ってるあっくんでも失敗するんだなぁと不思議な感覚になった。
怒られて、お父さんに嫌味を言われてムカついてるあっくんもカッコよかったけど…。
そして当日、再びわたしの家に行くと、なんだか昔より随分すさんだ感じの父親と、これまたドラマに出てきそうな胡散臭い感じの人がいた。
冷静に話を聞くつもりだったのに、途中から意味不明で、結局感情的になっちゃった。
その瞬間にあっくんに声をかけられて、沸騰したやかんのようにヒートアップしたわたしの頭は、シューっと音を立てるかのようにクールダウンした。
正直あれは恥ずかしかった…。
ヒートアップしていることが自分でわかっていて、あっくんになだめられた瞬間に温度がさがっていくという、なんてわたしの頭は単純なんだと。
その後徳丸さんを家に呼んでからは、徳丸オンステージ。
胡散臭い安居っていう人は逃げて行っちゃうし、父親は反論の一言もない。
反論っぽく言ったことと言えば、お金がないってことだけだ。
まぁお金がない理由はよくわからないけど、ないなら自分で働きなよ……。
自分の父親ながら本当ダメな人なんだなと再認識した。
徳丸さんは解決する方法があるということだったが、「関係者がわたしの為にもちよった費用」と言うのは初耳だった。
徳丸さんの事務所に移動する車の中であっくんに聞いてみると、あっくんのお父さんが出してくれるということらしい。
いやいや。
いやいやいやいやいや!!!!
そんなほいっと出すような金額じゃないじゃん!
と思いつつも、あっくんのお父さんの例えがわかりやすく、納得できないこともなかった。
でも、やっぱり…と思っていたが、というか今でもむしろ思っているが、わたしの未来のためにと言ってくれてるお父さんをあんまり否定するのもどうなんだろうと思い、一旦納得した。
そして徳丸さんの事務所で、父親に最後の別れを言い、わたしはなぜか泣いてしまった。
別に悲しくもないし、つらいとも思っていない。
むしろ縁が切れてせーせーする! ぐらいの気持ちなのに、今日で最後かもと言われた父親を見たら涙が出た。
本当に理由がわからない…。
なんかこう、胸にあるつっかえが取れたのと同時に、お母さんも一緒だった小さい頃の菅谷家の記憶自体も薄れていくような、なんかそんな感じだ。
でも、帰りの車で落ち着いてから、気持ち通りすっきり前を向けた!
わたしは幸せにならなくちゃいけない!
卒業式にはお父さんとお母さんも来てくれて、あっくんも来てくれた。
あっくんは来てくれたというより、約束して来てもらった感じだけど…。
皆で写真を撮って、いい思い出になった。これも幸せへの第1歩!
そして何より、ちゃんとしたあっくんとのツーショット写真は海以来久しぶり!
今までもタイミングはあるにはあったんだけど…結構他に人がいるからちゃんとしたツーショットは撮れなかったのだ。
すぐに、あっくんとのLIMEの背景写真として使ってる! なんかわたし女子!!
「っと言うわけでさー、華蓮だけの内緒だけど、1,000万円あっくんのお父さんが払っちゃったのだよー」
と、今日泊りに来ている華蓮にわたしが話しかけると、
「まじ」
と、驚愕の表情を浮かべた。
「うんー」
「やばいね…。そんなお金ポンって出るんだ…」
「ポンってでたのかどうかはわからないけど、まぁみんなの雰囲気見てるとポンって感じだね…」
「まじか。でもお父さんは別にそれを返せとかそう言うことは言ってないんでしょ?」
「まーったく、でもさ、一応わたしは本当の子どもではないわけじゃん?」
「まーそうだね」
「それで果たしてこのままでいいのかと…」
「んーーーー! ムズイねそれーーー」
「しかもさ、いつもだったらあっくんに相談したら考えてくれるのにさ、今回はさ「別にいいんじゃん?」で終わりだよ?」
「なるほどーー。頼みの綱の頭脳が使えないと…」
「でもさー、あっくん家お金持ちっぽいからさ、果たしてわたしが将来そのお金を返して喜ぶのかとも思うんだよね…」
「難しいよねー。「あ、そうなんだ、別によかったのに」ぐらい言われそう…」
「そうなんだよーーー! それで華蓮マネージャーに聞いてみた!」
「んーーー、まぁここは難しいことはやめて、とりあえず1,000万貯めるということを考えたら?」
「それでー?」
「たまったらその時考える!!」
と、華蓮がドヤっと言った。
「まぁでも確かに? たまってない時に考えても意味ないか!」
「そうだよ! 考えたってないんだもん!」
「確かに!」
「それにたまるころには、もしかしたら何かお父さんやあっくんの家に返して喜ぶものがあるかもしれない!」
「確かに過ぎる!」
「お父さんが車を欲しがってるとか! 夫婦で旅行に行きたいとか!!」
「ある! よーし、そうとわかったら、とりあえず読モ増やそーっと!」
「あたしは本当はりのあのマネージャーがやりたいよ~」
「そんなに稼ぎはありませーん」
「りのあがモデルになっちゃうから、あたしは捨てられた…」
「そーんなことないよ! わたしを一番昔から一番近くで支えてくれたのは華蓮と華蓮の家だよ!」
「これからもがいいーー!」
「そう言われてもーーーー」
そうやって2人で話していたら、気付いたら深夜3時になってた。




