女子の集団
そして莉乃愛の学校と雪菜さんの学校の卒業式当日となった。
「お前の親はもう行ってんだろ?」
「あーうん、俺が昨日の卒業式休んだから、唯一の卒業式だって喜んで行ったよ」
そう直人と2人で、莉乃愛と雪菜さんの学校のある駅近くのハンバーガー屋で話していた。
あの陽キャクラスメイトにからまれでもしたら、流石に1人はきつすぎると思い、直人も呼んだ。
そして、四谷高校の卒業式は昨日だったのだが、俺は欠席した。
出席する理由ないし…。
「しかし、卒業式を欠席するとか、なんかもう本当お前らしいな」
「だって…」
「あーあー、わかってる。理由がないだろ? まぁそりゃそうなんだがなぁー」
「寒いし」
「まー別にいいけどな。んで、りのあちゃんとはいつ合流するの?」
「連絡するって言われてる」
「とりあえず、りのあちゃんの件解決してよかったな」
「うん、まずは親に相談しろって親父に苦言を言われたが…」
「あぁ、俺に相談した時親に相談してなかったのか?」
「うん」
「そりゃ言われるわ」
「その時親父に、にやつきながら「無駄に賢いやつが陥りやすい罠だ」って言われたのが、今思い出してもムカつく…」
「あはは(笑) お前の親父さん、お前に効果的に響く方法をよくわかってる」
「ぐ……」
「まぁとりあえず解決はしたんだし、そう気にするなよ」
「うん、あ、りのあから連絡来た」
「んじゃ行くかー」
そして直人と一緒に莉乃愛の高校に向かった。
高校の正門の近くで莉乃愛に『正門外だよ』と連絡して暫くすると、女子生徒の塊が校舎から出てきた。
絶対近寄りたくない一団ではあるのだが……。
チラッと中心辺りに莉乃愛と華蓮さんが見えた。
まぁそうだよね…。
「おーすげーなりのあちゃん。めっちゃ下級生に囲まれてる」
「文化祭の時もそうだったけど、りのあって女子人気すごいよね」
「まぁやっぱりあこがれるんじゃねーか? 美人だしスタイルいいし。wiwiでモデルもやってて、更に話しかけやすいしな」
「そういうもんなのかな…」
直人とそんな話をしていると、その集団が集団ごと移動してくる。
り、りのあ、まずその集団をどうにかしてからきてほしい!!!
そして正門前にいる俺と直人の近くまで来ると、
「おーあっくん! 正門のこの看板のところで写真撮ろう!」
と正門わきに飾られた卒業式の看板を指さす。
「い、いや、りのあ…」
と俺がもごもごと喋ると、集団から、
「菅谷先輩! 彼氏さんですか?!?!」
「え、この人?」
「横の人?」
と女子たちの視線がこっちを向く。
とうの莉乃愛は、
「えーーーー! そういうわけじゃないけどーー、えーー?」
みたいにわけわかんないことを言ってる。
「り、りのあ。と、とりあえず、皆をどうにかしないと…」
「あ、そっか! 皆ごめんね! ちょっと写真撮るから看板前行かせてー!」
あ、いや、そうじゃなく……。
その集団をどうにか処理してほしかったのだが……。
そう思いつつも、莉乃愛に手を引かれて看板前に移動し、
「直人ー! 撮ってー!」
「あいよー、ちょっとごめんねー」
と直人がスマホを構えて、
「んじゃ行きまーす! ハイチーズ! もう1枚行きまーす! ハイチーズ」
そう言って、手に卒業証書の入った筒を持った莉乃愛とツーショットの写真を撮った。
「あーあっくん! 私も入るー!」
「え、それなら俺もー! あ、これお願いできる?」
と、直人が集団の一人の女の子にスマホを渡し、華蓮さんと2人で一緒に並んだ。
そして4人で写真を撮った後に、今度は集団の中から彩春ちゃんと茜ちゃんが出てきて6人で撮った。
その後、りのあは集団の子達とそれぞれ写真を撮っていた。
俺と直人は少し離れた場所でその光景を見つつ、
「あんなに楽しそうに笑ってるし、助けてあげてよかったんじゃねーの」
「そうだね」
と話していた。
それから結局30分ぐらいかかって、
「ふーー! お待たせー!!」
「JKりのあは今日が最後だからねー!」
と、莉乃愛と華蓮さんがこっちに歩いてきた。
「よーし雪菜のところいこう!」
「行こう行こう!」
そう言って、雪菜さんの高校の方に二人が歩き出すと、
「おああああああああああああああ! 幼馴染くんじゃねーかー!!!!!!!!!!」
「写真撮ろうぜえええええええええええ」
と、勉強会に来ていた男子3人が駆け寄ってきた。
「え、あ、いや…」
というものの、既に腕を持たれ看板前に引きずられていく。
「あー俺撮るよー!」
「あ、さんきゅー!」
「んじゃいくよー!」
そう直人が言って、3人の男子と並んで写真を撮った。
「菅谷も来いよー!」
「さっき教室で撮ったから別にいいじゃんー」
「そうだがぁ…」
「用事あるからー!」
「ぐぅ…んじゃま! またどこかでなー!」
「えーまたは嫌だなぁー」
「はぁ?! 寂しいくせに!」
「え、ミリも?」
「ちな、俺らの誰かが実は好きだったの! とかそういうのねーの?!」
「ミジンコほども!」
「ぐ…み、三好!」
「死ね!」
と華蓮さんが肩にかけてるバッグで殴った。そして、
「ほら、あっくんいくよー!」
と言う莉乃愛に引き連れられて、俺達は雪菜さんの学校に向かった。