表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生チートに出遅れて  作者: 月灯 雪兎
第7章 博士の行方
29/60

4.時差ボケ?

 カンパネルラ学院大学中央学舎(がくしゃ)屋上に、簡易(かんい)発着場があった。


 乗っていた小型偵察挺(ていさつてい)は、ヘリコプターやオスプレイ、最新鋭戦闘機と同じように垂直離発着を実行した。


 いつの間にヨースケこんなこと出来るように……。

 取り残され感を覚えつつ、今回(そろ)った俺たち8人は、大学内の食堂でテーブルを囲んでいた。


「そもそも何で飛行中の乗り物なんかに転移したんだ?」


 俺はまずそこから整理しようと思ったが、正直全体的な情報量が多そうで、少し困っていた。


「あ! 端末石板に置いてきてしまった!」


 戻り方わからない。

 もう一度ロクハラの洞窟に(もぐ)ればいいのか?


「サーテジェイブ、ヨースケ持ってる?」


 アルがヨースケに(たず)ねた。


「あ? あるぞ。これだろ?」


 (ふところ)から、犬顔のヨースケが懐中時計を取り出した。


「同じじゃのぅ」


 生還(せいかん)した変態爺さんが(つぶや)いた。


「同じものがあるから、そこに吸い寄せられたんじゃないでしょうか?」

「可能性はあるのぅ」

 と、クリスに爺さんが答えた。



「それで、ヨースケ。それぞれの状況整理しようか」


 俺たちは、それぞれがおかれた状況について、それぞれが説明しつつ、一つずつ整理していった。


 まず、ミシェルが現世ではアイドルで、双子の姉クリスと二人で溪村(たちむら)瑞希(みずき)クリスティーナとして活動、桐葉(きりは)さんは二人の母親で、社長兼マネージャーでもある。


 御条先生とうちの母親の友だちでもある。



 知り合ったばかりだったミシェルは軽トラに()かれ、目の前、腕の中で消失。

 それから、御条先生に大量の課題をだされて、ミシェルを探す為の下準備として帝東大学に入り、同時に格闘技もやり始めた。


 ()しだとかなんとかについては、適当に誤魔化(ごまか)してしまったが、ヨースケはニヤニヤして聞いていた。


 この小さい爺さんは帝東大学の竜胆兼彦(りんどうかねひこ)名誉教授(めいよきょうじゅ)

 母親と御条(ごじょう)先生は、その教え子で、俺もその研究室に入ったばかりだった。


 夢でミシェルの様子を見ていたことを話すと、双子だからシンクロするのかなーと、クリスとミシェルがお互いの手を(にぎ)って同調していた。


 ミシェル、クリス、桐葉さんが並ぶと、美人が(そろ)い過ぎて(まぶ)しい。


 クリスが、リアルリトのほっぺをつまんで伸ばして遊んでいる。

 夢では見てたけれど、本物見れて嬉しいんだろう。

 リトはミシェルと同じ顔の子からいつもと違う扱いをされて、複雑だけど、悪くはないというような顔で、されるがままだ。


 ヨースケは、どうやら電車で乗り過ごしたと思って降りたら気味の悪い無人駅で、(あや)しい老紳士(ろうしんし)の誘導で改札を出て、不意に自覚した怪異(かいい)に恐怖を覚えて、逃げに逃げたら見知らぬ砂漠で倒れてて、アルさんに拾われて……と、こっちはこっちで壮絶(そうぜつ)だった。


「老紳士って、シルクハットに燕尾服(えんびふく)、モノクル付けて、持ち手の先端に大きな宝石付いたステッキ持った?」


「そうそう! 何で知ってんだ?」


「私たちも時の坩堝(るつぼ)ってところで会ったのよ」


 食いぎみに聞いてきたヨースケに、桐葉さんが答えた。


「そいつにこのワンドとヨースケが持ってるのと同じサージテイブだっけ? それを渡されて、操作したら現世で、交差点の事故現場に飛ばされて……」



「でも違う事故だったんだろ? あと、サーテジェイブな」


「何かまどろっこしいなぁ」


 あまり(しゃべ)らなかったミシェルが喋った。


「まぁ、今日は再会のお祝いだね!」



「あ、そういやその被り物、外せるのか?」

「あー、外せるぞ。ちょっと今髭面だけどな」


 スポッという感じで犬の被り物をとるヨースケ。


「なかなかのイケメンじゃの」


 髪はあまり伸びないのか、黒い短髪に外側上がりに真っ直ぐ伸びた眉。

 ちょっといい加減さを匂わせる、少し垂れた目。

 いつも不敵な口許は、失踪当時と同じだった。

 少し老けたか?


「か、被り物だったんだ……」


 ミシェルが驚いた顔をしてる。


「知らなかったの?」

 リトは知っていたらしい。


 本物だ。


「4年ぶりか……生きてて良かった!」


 俺は思わずヨースケに抱きついた。


「はぁ?! 何言ってんだ! 確か15年近くは経ってんぞ!」


 俺を押し返し、眉をひそめるヨースケ。


「え? って、待て待て待て待て。どういうことだ?」


「はい、博士計算機」


 どういう空気の読み方か、リトが電卓っぽいものを渡してきた。

 随分ハイテクなタッチパネル式だ。

 ペンと紙まで何処かから出してきた。


「ん? 博士?」


 ミシェルの頭にハテナが浮かんだ気がした。


「ありがとう」

 俺は息を整えた。


「さて……。


 ミシェルとヨースケの失踪が、俺が高校1年の12月。

 そこから大学1年の9月に大学で転移が起きる。

 時の坩堝からすぐ現世に飛び、また飛んで変な病院へ。

 そこでミシェルを連れ出しこの世界へ転移。

 そこでリトと出会い、この世界で小半年(現世の約半年)を過ごす。

 それから日を待たず再び時の坩堝へ飛び、今回の転移で現在。


 やっぱり約4年だよな」


「貸してみろ」


 電卓と紙とペンを奪い取るヨースケ。


「まず、俺は思わずこの世界の988年、シュクラン付近の砂漠に迷い込んだ」


「多分、988年白樺だね」


「ふむ。それから飛空挺でこのミズホの国に来たのが989年20日梅で、この日にイオリを拾ったんだ。


 この世界での半年、まぁ現世の1年くらい経ってから989年3日向日葵にリトを赤子の拾って、今996年8日桃だから、16年くらいだな」


「あのー。向日葵とか梅とか、よくわからないんですが……」


 クリスが手を挙げて、遠慮がちに(ささや)いた。


 この場にいる、現世からの転移組にも分かるように、紙に書く時『◯◯年梅・上季の1、2月◯◯日』と書きつつ、口頭でも言うことにした。


『現世1年=今世約2年』が前提ということも周知しておいた。



 後は、ヨースケが箇条書きに整理していった。


*****************

988年白樺・下季の11、12月の15日

 ヨースケ、アルに拾われる。



989年梅・上季の1、2月20日(45日後)

 ミズホの国に移り、イオリ8歳を拾う。

 この時ヨースケ16歳。


989年向日葵・上季の7、8月3日【小半年(現世の約半年)後】

 赤子のリトを拾う。

 この時イオリ8歳、ヨースケ17歳。

 ヨースケは4月3日生まれだから、『桃・上季の3、4月3日生まれ』ということにしたらしい。


990年柿・下季の1、2月28日

 イオリ失踪。

 この時誕生日を梅・上季1、2月20日としていたイオリは11歳、リトは2歳、ヨースケ18歳。


*****************


 誕生日は上季と下季で年に二回くるというのも、予備知識として周知した。


 そこから現在、996年桃・上季3、4月の6日だから、現在31歳という計算になった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ