プロポーズの言葉
美紗子にプロポーズをした。その夜、彼女は事故に遭い――……
美紗子の死顔は綺麗で、まるで、柩の中で寝ているみたいだった……。
通夜が終わり、俺は自宅のマンションへと帰宅した。喪服を脱いでベッドへと倒れ込む。たまらない喪失感が俺を襲う。
何時の間にか俺は、眠りについていた……。
――――――…………
……と…………しや……
誰かが俺を呼んでる……?
俊……也…………
その声に俊也は驚いた。その声は紛れもなく、亡くなった美紗子の声だった。
……俊……也さん……
そんな……何故声が……どこから…………?
俊也はベッドから降りて、声がする所を探す。
俊也さん……こっちよ……
「美紗子……どこにいるんだ?」
二度と聞けないと思った彼女の声。例え夢でも嬉しく思う。
台所へ行く。すると、後ろの方から彼女の声が聞こえた。
「違うわ……俊也さん。私はベランダにいるわよ」
後ろを振り返ると彼女がベランダに立っていた。
俊也は嬉しくなり、急いでベランダへ行った。
「美紗子……だよ……な?」
俺が少し怯えながら聞くと、美紗子は笑い出した。
「何言ってるのよ俊也さん。美紗子の顔を忘れちゃったのぉー?」
そう言うと彼女は微笑んだ。
「忘れてなんかいないさ。ただ――……」
ただ、君が恐ろしく思ったから……。
俊也がそう言いかけて口をつぐむ。
「ねぇ。プロポーズの言葉、覚えてる?」
美紗子が俊也に聞く。
「あぁ、覚えてるさ。美紗子、君と俺は一緒になる運命だ。片時も離れないでいような――……」
一緒の運命……片時も離れない…………
気付いた時には君に押され落下していた……。
『ドチャッ』
血塗れになった俺の体。
次第に意識が遠退く。
俺の視界に美紗子がいる。
君が俺に微笑み……耳元で囁く。
「これで、一緒になったね……」
私が書いてきた短編小説の中でも長い短編小説ですね。長いという時点で短編では無くなってますが……。この小説は大学1年の頃に書いた小説です。一応、ホラーっぽくしましたので恐がってもらえてたら嬉しい限りです☆