No.0 序文
ぶっちゃけここは読み飛ばしていいです。
私達が父の、そのまた父の、遠い遠い先祖からの言い伝えが一つある。
「私達は原始の星と呼ばれる、遠い遠いかなたの星に暮らしていた。原始の星は巨大であり、星の数ほどの国があった。故に、それぞれの国が星の名に準えた名を持ち、彼等は『星の主』と呼ばれた。
私達は星の命が終わる前に、流星となり旅立った。
私達は流星とともにこの地に舞い降りた。
『星の主』達は、それぞれが王となり、あるいは神を名乗り、あるいはあえて人と交わり姿を消した。
『宵の主』は覇者となり、強大な魔導を人々に授けた。
『暁の主』は救世主となり、光の名の下に人々を導いた。
……私達、『数の主』は流浪の旅を続けた。その末に悟った。
いつの世も争いが絶えず、災害は降りかかり、民は苦しみ続ける。所詮は滅んだ星の子、故郷のままに振舞えばいずれこの星すら捨てねばならなくなる。
だから、『数の王』は世界の片隅に、僅かな空間の歪みを作り、それを転移と不可視の結界で覆った……それは丁度、熊の巣穴のように深く広く、それでいて外からは草むらに覆われて決して見えないような……
私達は世界の裏側で、永遠に平穏な世界を築き上げたのだ」
この言い伝えの真偽は分からない。
ただ私達がいる『世界』は、次元を隔てた遠い世界ではない――貴方達がいる世界の本当にすぐ傍で、カードの表裏ほどしか離れていない……そんな世界だ。だからそれには間違いはない。
間違いがあるとするならば、流浪の旅で得た世界中の英知をかき集めたとしても、外界から完全に隔絶された箱庭を作り上げたとしても、決して理想郷になどなりはしない――人は欲望を前にして、たとえ血を分けた家族であっても醜く争う。
これは、近くて小さな異世界の、たった五つの王国の中でも最大の国家にして大罪を犯した七人の王女達によって八つ裂きにされた国、ヌメロス王国に渦巻く謀略、冷戦、悪意……
……をそっちのけに繰り広げられる、可憐な王女と素直になれない執事長の恋愛喜劇である。
ご覧いただきありがとうございます。
誤字脱字報告・感想等いただけるとありがたいです。
本作品は中編(10エピソード、30話程度? )の予定ですが、
個人的な事情により更新が不定期になることを
予めお詫び申し上げます。
タイトルにBlanksとかついてるけど、
元々本編(未完成・未投稿)が(無駄に)長編で
「メインヒロインのミリアが6,9,12,15~16歳頃」だから
その『空白』である「ミリアが14歳頃」に話を絞っているだけのことです。
そこ、7~8とか10~11もとんでるとか言わない。