5.5
本日はフィリシオsideです。
気が向けば時々息抜き程度に上げようかと…
「珍しいですね…彼女があんなに好意を示すとは……」
「あぁ、エミリーナ様か…エミリーナ様はユフィの母親のような存在なんだ……」
「母親…ですか?ですが…」
「んー…まぁ…」
なんだか歯切れが悪い。
「エルントラ伯爵?」
「んん、悪い、ちゃんと言おう。だが少し場所を変えようか。」
と言って伯爵と私は人気がないテラスの端に移動した。
伯爵はポツポツと話し始める。
「今の私の妻は皆知っての通り後妻だ。後妻との結婚は政略だったが夫婦の仲は悪くない。兄のトラヴィスはまぁある程度大きかったし受け入れていた。だがユフィはまだ小さかったが何もわからない歳でもなかった。初めは寂しいようだったが一時を境に急に大人びたというか…感情が薄くなったというか…感情が薄い笑顔でお母様と呼びだした。お母様と呼んでいるのを聞いて喜ばしいはずなのにさっと血の気が引いた……。今もその違和感が何なのか正確には分からない。妻は表立ってユフィを避難することはしていなかったが前妻に似たユフィを受け入れるのはなかなか難しかったのか。ユフィにも動揺していた。同じ歳になる義妹がいた事もあるかもしれないが…今ではほとんど会話もない。私やトラヴィス周りも動揺していてそこに直接触れるのを恐れた。そこにエミリーナ様が私の兄アルヴィンに嫁いできた招待を受けて会うとたちまちあの子はエミリーナ様に懐いた。エミリーナ様は前妻に似ている訳では無いが中身というかユフィに対する接し方が似ていてね…2人でお茶をして話してる姿は前妻が……リリィが生きてる頃のようだったよ…。」
確かにエミリーナ様といる時のユフィは枷が外れたようだ。
久しぶりにあったユフィは別人のように大人しかった。
何があってそうなったのか気になってはいだが…
彼女はその中で何を思ったのだろう。
またあの笑顔を俺に向けてくれる時が来るだろうか。
俺は遠い昔出会った幼い女の子の姿を思い浮かべていた。