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「御機嫌よう、エレナ様」
「まぁ!ユフィ!」
とぎゅっと両手を握てくださいます。
可愛いですわ。
「お身体の具合大丈夫なのですか?」
「えぇ、もう大丈夫よ!お手紙もありがとう。凄く嬉しかったわ!」
「いえ、本当はお見舞いに伺うべきだったのですが…」
「ふふ、アルヴィンにとめられたかしら?」
「…はい」
「姪にかっこ悪いところ見せたくなかったのよ」
パチッとウインクします。可愛いですわ。
お体の具合が良くなかったのはエレナ様ですのに叔父様がかっこ悪いところ見られたくなかったというのはよくわかりません…叔父様とエレナ様は誰もが認める相思相愛みなが羨ましがる夫婦です。私も羨ましいですわ。
「それよりもおめでとう」
「え、あ…ありがとうございます。」
「あら?その反応はなにかしら?」
あまり直接言われないのでまた忘れてしまってましたわ…。相変わらず視線は痛いですけれど…
「またいらっしゃい。ここでは誰が聞いてるかわかりませんから。」
「ありがとうございます…」
エレナ様は微笑み、手をぎゅっと握ってくださいます。エレナ様はいつも暖かいのです。
「さて、今日は楽しんでね。ロフレイン公爵様とは初めての夜会でしょう?婚約パーティーは後日あるかもしれないけれど寄り添っていなさい?後で私もアルヴィンと一緒に行くわ。」
「はい」
エレナ様と別れロフレイン様を探す。
どこにいらっしゃるのかしら?お父様と一緒にいらっしゃらないし…。どこかしら?
キョロキョロと行儀悪くならないように周りを見回すがいらっしゃらない。もう…どこよ…。
「あらぁ?、エルントラ伯爵令嬢じゃなくって?」
「………」
後ろから声をかけられます。めんどくさいですね。声だけでわかります。めんどくさいですね。(2回目)
「ちょっと!!無視なんていい度胸ね!」
一息ついてくるっと向き直り
「ごきげんよう、キャリー様?」
「婚約したそうね?」
「ありがとうございます。お陰様で婚約致しました。」
「おめでとうとは言ってないわよっ!」
「確かにそうですね…失礼致しました。」
この方がブロンソン伯爵令嬢、キャリー=ブロンソン
エミリーが言っていた方だ。
とりあえず顔を赤くしてキャンキャンおしゃられてます。夜会やお茶会で毎回めんどくさいんですよね。(3回目)これだけ大きな声で騒げば誰が気づくのも時間の問題…。よろしいのかしら?今日の夜会のルールを承知でこのような事を…相変わらず頭が弱っ…いいえ、可愛らしいですわね。
「キャリー様?あまり大きな声を出されては…出入り禁止になりますわよ?」
「うるさいわねっ!なんであなたなのよ!なぜ先なのよ!」
「はい?先とは?」
「何故あなたがっ…」
「失礼。私の婚約者が何か無礼でも?」
あらまぁ…間に合いませんでしたわ。本当にめんどくさい。(4回目)
そこにはロフレイン様が私の肩に手を置き抱くように居られ後ろには叔父様、エレナ様が立っておられました。
おぉ、キャリー様の顔が一瞬赤くなり冷めていかれますわ。周りから黄色い悲鳴となんだなんだと言う野次馬です。
「申し訳ありません。少し手違いがありまして騒がせてしまいました。何も起こってはおりませんわ。シャルド公爵様ご夫妻、お越しのお客様方大変お騒がせ致しまして申し訳ありません。」
「………」
あら、納得いきませんかしら?めんどくさいので(5回目)納得して欲しいですわ。にっこりと私はロフレイン様に向けて微笑みます。
「…そうですか。」
「姪がお騒がせをしまして申し訳ありません。特に何も無かったようですのでゆっくり夜会の続きをお楽しみください。」
叔父様が場を占めるくれる。キャリー様は固まっていらっしゃいますけれど大丈夫なのかしら?
「キャリー様?大丈夫ですか?」
固まってますわ…。大丈夫かしらと思っていたらキャリー様はブロンソン伯爵様が引き取っていかれました。
ふぅ…絡まれると思ってましたけどここまでになるとは…
3人並ぶと怖いわね。皆様美形に爵位が爵位だし、注目浴びるし威圧感勝手についてくるし怖いのよ。
「大丈夫ですか?」
考えていると顔を除きこまれました。近くに顔があることに吃驚して後ろにすっと下がります。飛びのかなかっただけ褒めて欲しいですわ…。
「え、えぇ、大丈夫ですわ。」
「そうですか?」
「はい」
そんなダメに見えてるのかしら?