勇者召喚
Side:直人
授業中、俺の足元に紫の魔法陣が現れた。
「!?」
驚き周りを見渡すが、魔法陣に気づく者は誰も居ない。視界がぐにゃりと曲がった瞬間―――
教室は街へと変わり床は地べたへと変わる。
唖然と座り込む俺に・・・
「勇者様が現れたぞー」と誰かが言った。その掛け声に周りがわーわーと騒ぎ「勇者様」「勇者様」と声援が鳴り響く。
コツコツ
「貴方がお告げにあった勇者様ですね!」
白色の修道服をまとった桃色髪の少女が手を差しのべてきた。
「・・・え?」
驚く俺はただただ見つめていると、少女は膝をつき俺の手を両手で握る。
「勇者様、この世界は魔族により滅びの道へと辿っております。どうか勇者様のお力添え頂けますでしょうか?」
俺は今、桃色髪の少女に連れられ王宮に居る。真っ赤な絨毯と両脇には白の軍服を着た沢山の近衛兵。数段上には王座に座る小太りのおじさんと周りを囲むように綺麗な女性が4人いる。あれが・・・王様?
「面を上げよ。この者が、異世界とやらから現れし勇者か?」
「左様でございます。大勢の者が勇者様の訪れを目の当たりにしております。」
少女の言葉に王は俺を見る。
「ま、待って下さい。勇者って何かの間違いですよね・・・?」
「いえ、間違いの筈はございません。勇者様は常にただならぬオーラを発しておりますので。」
「ふむ、異世界からきたお主には自覚がないのだな?これから適性神託を受けると良い。お主なら眠れる力に目覚めるかも知れぬ」
「・・・適性神託?」
「この世界の住民は15歳を迎えると皆、適性神託により魔族に対抗する力を授かります。勇者様は神託を受ける前からオーラがございます故に期待が高まるのです。」
「・・・」