表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/49

異未来の炎剣 対するは極限生物

カビは最強。

 太陽の剣、その正体は太陽光パネルである。アゼタは自分の知らない装置の名前を上げ、バスタードはそれに対して『転生者』という言葉を返した。


 自分は普通の人間だと思っていた、ほんの少しだけパワーはあるが、この世界における一般的な人間の範疇であるという自負があった。


 しかし、周りの目は思っていることと乖離していた事で、普通では無いことを知る。それに、今の彼の言葉で初めて分かった。まさか、アゼタはこの世界の人間ですらないとは。


『お前、俺の言ったことを忘れたのか? 俺とお前は同一人物だ』

「……ってことは俺はアゼタってことか?」


 彼の言葉で思い出した。まさか、自分自身が―――――


「ほぉ……俺は理解したぞ。本当はひとつの人間だったが、何かが起きてクソガキとカビに魂と人格が二分割されたと」

『その通り、俺は怒と楽。ニクスは喜と哀を持っている。二人でひとつの人間だ』


 すると、バスタードの体が直ぐに異形化する。商店街を襲った時のメリメリという音と共に阿修羅と化した。


「それなら話は早ぇ。まずは本体にダメージを与えてから能力を引き剥がして焼けば詰みだァ……ガラ・フレア!」


 剣を突き上げ、柄にある薄いスイッチを上にスライドする。透明な剣が真っ赤に輝き、陽炎が発生すると熱線の雨が降り注いだ。前に喰らったガラ・フレアと全く違う形状に面食らうニクスだったが、光もカビと同じように無形だ。


「星病みの大盾たいじゅん!」

『構成物の20パーセントを消費……』


 今まで吸収してきた鉄分をカビの組織の隙間に編み込みながら五角形の盾を動かした。だが、その熱線の全ては防げずカビの部分だけ焼けてしまった。


「防ぐとはなぁ!」


 砂煙を貫いて拳が迫るが、ニクスは色々な経験を積んできている。拳の一発程度当たるはずもない。腕で防ぐと体を滑らせ、衝撃をいなしながら懐に飛び込む。素早いアッパーカットを真ん中の顔に当てると衝撃と砂煙が舞い上がる。


 ついに、ムカデの時のように空の雲が吹き飛んだ。曇り空が一瞬にして快晴に変わる。太陽の光を帯びたガラ・タエナ・アキセリィは輝きを増すが、それを振るうことを許さずカビの連打を食らわせる。


「うっ!! ぐぉぉあ!!」


 間違いなく致死量以上のカビを体内深くにぶち込まれても尚、苦しむ程度だ。バスタードの生命力には毎度驚かされる。


「『終わりだ!』」


 今回はニクスにもはっきり見える、少々くたびれた白衣を着こなす研究者の姿が。これがアゼタとニクス、二人の前世の姿なのだ。先程のレイヴァー戦でも現れた大量の兵器に加え、カビで象られた恩人達《組合メンバー》の武器が現れる。


『Mk-15ファランクス起動 87式対戦車誘導弾発射』

「巨人の剛大剣! バルーチェナイフ!」


 ファランクスの銃身が回転するより先にガラ・タエナが勝手に動きだして縦に両断する。さらにその場で回転し、誘導弾も爆発する。


 ニクスは剣がバスタードから離れた瞬間を見逃さなかった。さらに、アゼタの声が残念そうではあるがまだ大量に手が残っている事を示している。


『まだある』


 ガラ・タエナはバスタードの元に帰ってきた。もうカビの毒を無力化したのか掴むと鬼気迫る形相で光を放とうとする。


 ――が、聖剣はバチバチと放電するだけで熱線が放てない。


『さっきの誘導弾の爆発で内部端子が壊れたな、太陽光パネルは内部の衝撃に弱い。俺らが生きていた時もその脆さは解決していなかった』

「なんだと……?」

『技術水準を顧みずにオーバースペックの武器を持つからそうなる。お前が死ぬまえに聞いておくか、誰から技術を提供された?』


 聖剣を破壊され、はじめてバスタードの声に焦りの色が見え始めた。


「俺が知るか……」

「まあどちらにせよこの武器は完全に壊させてもらうぞ。お前の体もな」

「舐めるな、まだまだこれからだァ……!」


 素早く槍を構えると喉笛めがけて突く。勝った――――



「なっ!?」


 なにかに足を取られてバランスを崩した。それでも槍を突き出す腕を止めなかったが、バスタードの右の顔に刺さった。


「ギャァァァァ!!」


 刺さった顔が叫び声を出す。その声になにか仕掛けがあったようで、ニクスの動きがフラフラとおぼつかなくなる。


 すぐさま殴り飛ばされ、観客席まで吹っ飛ばされる。場外に出てしまうと敗北だ。ニクスはあの手を使う事にした。


「交代だ」

「英断だ……」


 アゼタで無ければカビとの一体化はできない。カビを散らしながら同化し、完全に胞子になると場外の境目ギリギリで反撃に向かう。


 その時、ニクスとバスタードを同時に何かが貫いた。二人は思わず、上を見る。


 そこには一種組合のメンバーが何十人という数で立っており、一人が放った攻撃がニクスを巻き込んだのだ。


「な、なんで……」

『手柄欲しさか…………』


 性質上人を疑えないニクスと違い、アゼタは見抜いていた。人間など、どこの世界でも同じである。手柄を立てないと上には行けない。蹴落とさなければ蹴落とされる。プライドばかりが膨れ上がってそれで身動きが取れなくなる、醜い種族が人間だ。


「クソガキまで巻き込むとは……俺以上のやり口だ」



 組合メンバーが抗議しに向かう。というか、既に攻撃し始めている。ニクスの意識が完全に消えたが、アゼタに人格の主導権を渡していたため、髪色や目の色が変化する。


「まさかあの時の言葉を実行する事になるとは……」


 今までの攻撃とは違う、漆黒の魔弾が何発も放たれた。その向かう先は――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ