表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/49

バスタードという男

お久しぶりです、ブクマをしてくれた方、ありがとうございます!

『私』の名は、バスタード。バスタード・オルトリンデである。私は生まれつき「異形」の体を持っていて、それが元でいじめを受けていた……。人を嫌い、人を破壊することに喜びを感じるようになったのはその時からだろう。


 いくつもの村を襲い、人を殺し続けてきた。私は、紛れもない異常者であるという自覚がある。この六本の腕は、二本一組として作用している。つまり、三つの能力を持つことが出来るのだ。同時に、人格も三つある。3人の人間がひとつに合体させられたと言う考え方で合っている。


 あの日、最後に戦った少年はアクセローザを殺すことが出来た。多分、『俺』も殺してくれるだろう。


 唯一心残りなのは、最深部の一人……奴を解き放ってはいけない。奴が出る前に、何とかしなければ。残念だが『私』の能力で自害はできない。人殺しなどしたくは無いのだ。




 ――――『俺』は奪うことで進むことが許される……だから殺すのさ。『俺』の能力で自害はさせない――――




 ――

「ニクス、何踏ん張ってるのよ!」

「今なら空間を引き剥せる! クロイトを投げ込んだんだ、こいつを引っ張れば童河岸は逃げられねえ!」


 手から飛び出している真っ黒いヒモの様に伸びたカビを力いっぱい引っ張りながら、ニクスは叫ぶ。だが、カビはどんどん細くなっている。さっき過去に飛ばされたせいか、上手くコントロールできない。


 ギリギリまで耐えたが、クロイトがちぎれてしまった。地面に尻もちを着く。突然気分が悪くなり、その場に吐いてしまう。息苦しい。足が動かない。疲労が溜まりすぎているのだ。


 虚ろな目で、ニクスはまた振り出しに戻った事を痛感した。悔しいが、撒かれてしまった以上こちらから探し出す術が現状ない為待機するしかない。


 街の人々に両肩を支えられ、誰かの家に運んでもらう。椅子に座らせられ、水がテーブルに運ばれてきた。

 お礼もそこそこに水を飲み干すと、家主らしい青年に連れられてライシスが入ってきた。


「あいつ、最近噂になってる危険人物なんだろ? 撃退してくれてありがとう。ゆっくり休んで行ってくれ」

「……感謝……する」

「体力が少ないのに無理するからそうなるのよ」


 ライシスに痛いところを突っ込まれ、口を閉じる。無理は毎度のことだがそろそろ体を労わったほうがいいかも知れない。分かってはいるが、能力が未だに制御不能になる所を考えると、もう少しの無理は仕方ない。


『いちいち無駄な動きをするな。それする度に俺の思考と相反する奴が出る』

「そうなのか……そうなの?」

『俺は一であり全、個であり群だ。単一のものでない以上個性がある』


 脳内の声は非常に苛立っている様子だ。こちらの多重人格は相変わらず会話が成り立つので本で読むほど大変なことではない。


 さて、どうしたものか……。と座っていると、目の前に皿が置かれる。顔を上げると、家主がにこやかに言った。


「カブの黒酢漬けだよ。元気が出るから食べな」

「ありがとうございます……」


 ひとつまみ口に入れると、その酸味が目を覚ます。シャキッとした感覚と深い味が次のひとつを食べたくさせる。食欲は恐ろしい……ライシスも摘むと、目をぎゅっとつぶって居るが小さく「おいしい」と言っているのが聞こえた。


 2人で皿を平らげると、疲れはほんの少し取れ、満足感が残った。


 しばらく休むと、家に入れてくれた彼にお礼を述べ、また組合に向けて戻る。組合に戻ると、ニクスにとっては嬉しいことに、ライシスにとっては嬉しくないことに、ベクターが来ていた。


「あれ? ベクター何してるの」

「お前らを迎えに来たんだよ、童河岸とやりあったんだろ? 倒せなくとも大体三月程経ったし経験もある程度積めたろう。うちに帰るぞ」

「わざわざ迎えにこなくても良かったのに」


 ライシスは面倒くさいと言った表情だが、ベクターも同じような顔をしている。


「フィラーからの命令だ、仕方ねえだろ。護衛なら俺が最適だし、お前の回復魔法じゃ魔力は回復できねえだろ? ニクスの体はお前じゃなく俺達よりだからよ」


 彼女の目がきつくなった。ニクスはとりあえずライシスの所に行って肩に手を置く。少しこちらを見ると、ニクスの頭をぽんぽんと叩き、肩を貸してくれた。驚くべき進歩だ。こんな事があるなんて……! 驚きながらベクターの所に行くと、彼がアレスハーウィンに挨拶と共に何か言っている。直ぐに踵を返すと三人はゼクトオンを後にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ