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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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3.夢

 ソフィアとアリアの仲間達

3.夢

 その夜。夢を見た。

 すぐに『あぁ、これは夢だな』と思うような夢。

 足元がふわふわしているし、一面の野原に金色の花が咲いて虹色に輝いている。花片の色が金色で……その花片に朝露みたいのが付いていて、虹色に光を反射している。

 そんな花は見たことないし、空は一面に白くぼぉっと……仄かに光っている。

 んとね、純白のシーツ越しに晴れ渡った空をみている感じ。

 そして……野原の真ん中で誰か……少女が1人で座っている。

 花を摘んで1人で遊んでいる感じ。

 楽しそうで……寂しそうな……そんな感じで1人で遊んでいる。

(誰だろう?)

 髪は金色。

(ソフィアじゃないし……ヴィオラさんじゃないし……)

 逢ったことはない……ソレだけがはっきりと判る。

(声をかけようかな)

 少女の方へとゆっくりと進んで……


 ……不意に目が醒めた。

 いや、苦しくて目が醒めた。

 目を開けると……目の前にソフィアの胸元。そして視線のほぼ端までソフィアの胸。

 つまりだ、アタシはソフィアの胸の谷間で溺れて……じゃない、押さえつけられて呼吸困難になっていたというわけだ。ソフィアにも癖がある。寝ている間に何かを抱き寄せて、ついでにぎゅっと抱きしめる癖。おかげで、ソフィアと旅している間、大抵は呼吸困難で目が醒める。

 羨ましい? 呼吸困難になるのが羨ましいなんて変わってるね。人には言わない方が良いよ。そんな嗜好。

 んでだ、今晩は御丁寧に後頭部も何かに挟まっている。まぁ、消去法と感触的にそれはヴィオラさんだな。視界の端にヴィオラさんの腕がソフィアを抱き寄せているのが判るし……

 寺院関係者って抱きしめるのが共通事項の癖なんだろうか? それにしても……ん〜身動きが取れないぞ。調子がイマイチなソフィアを起こすのも忍びないし……朝にはまだ早そうだし……

 ……と、躊躇していたらソフィアが寝言を零した。

「信じて……私は……人形遣いなんかじゃ……ないから。信じて」

 ん〜〜。昼間のあの時、アタシはそんなに変な顔をしていたのかな……

 信じてるよ。……と寝言に声で応えるのはなんだから……背中に手を回してぽんぽんと叩いて序でにさすってみた。

 見上げると……少しだけ安心したような顔になって、すやすやと寝息を立てていく。

 見ているコッチが安心するような寝顔。年上だけど……なんか可愛いな。

 ふと、寝間着から開けたソフィアの右肩の傷痕と鎖骨の間の呪紋様のようなアザが目に入った。

 アタシと出会う前に何処かで受けた傷痕。アザの方はいずれ消えるとしても傷痕は消えないよね。アタシはその傷痕に手を当てて……治癒の魔法を心の中で唱えてみた。

 ぼぉっと手がほんの少しだけ……微かに仄かに光る。ま、ソフィアほどの白魔導師にアタシの術が効くとは思えないけど……ちょっとでも傷痕が小さくなるかもね。いいじゃない。髪の毛の幅程度でも小さくなれば。アタシの術でも……いつかは傷痕が消えるかも知れないし。

 そんなことをしていたら……アタシもいつのまにか夢の中へと戻っていった。



 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。

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