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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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28.それぞれの道へ 1

 ソフィアとアリアの仲間達

28.それぞれの道へ

 石像に突き刺さっていた石の槍はソフィアの浄化の術と時元修復の術で消えた。

 町に戻って見てみたら4つの闘技場は一つの大きな闘技場となっていた。石の槍が4つに割っていたんだね。操られていた町の人々は……なんか悪酔いしているような面持ちだったけど……闘技場の異変で目を丸くしていた。


 夜が明けて……

 アタシ達は……宿に戻って食堂で黙ったまま。

 ギザキさんとノィエは「まだ信じられない」といった感じで誰とも無く視線を投げては虚空を見直している。ヴィオラさんは目を閉じて……感慨深げだ。グレイさんは祈りを捧げるかのように静かに瞑想している。エァリエスさんは頬杖を付いて誰とも視線を合わせない。

 そしてソフィアは骨董の深杯を手に取り……2度、3度と振り、霊精で深杯を充たし……静かにテーブルに置いた。


 そして深杯を両手で持ち……ゆったりと飲むのは……



 ネメシアさんだ。


 なんか随分と小さくなって、背中に白く眩い半透明の翼が生えているんだけど……ぷんすか怒っている。

 なんでも、精霊ノギの計らいかなんかで妖精界に行けたらしいんだけど『アナタはここにいる必要はないでしょ?』とか言われて人間界に戻ってきたらしい。

 『死んで幽霊になっても冥界に行けないし、一族の汚名を晴らした御褒美か何かで妖精になったというのに妖精界に行けないなんてっ! どういうコトよ。コレっ?』なんて怒っているんだけど……アタシ達は苦笑いするしかないというか、聞かれても困るというか……

 ま、兎に角、精霊ノギの聖剣の守護妖精となったらしい。


 それからは……闘技が粛々と進んだけど……何故か誰も剣で傷つくことはなかった。ソフィアの言葉に因れば闘技場の横の壁の呪紋の効果により闘技場に上がる人は『石の身体』となるらしく、剣での闘いは意味が無くなってしまった。元々、この闘技場自体は精霊ノギへの祈りを捧げ、そして精霊ノギの祝福を受けるモノとして創られたらしいのだ。兎に角、結果として闘いは体術勝負となり、背中を床に着けた方が勝ちということで進められた。そして決勝に残ったのは予想通り、ヴィオラさんとギザキさん。その時点で「勝っても意味がないから」とヴィオラさんは棄権。ま、相手が居るんじゃ婿捜しとしては確かに無意味だね。

 その間にアタシとノィエはソフィアと一緒に町の西側の洞窟やら遺跡跡っぽいのを探索。ソフィアの術で守護遺跡っぽいのは総て修復、そして結界処理。東側のは闘技の間のギザキさんとヴィオラさんの闘いがないときにみんなで探索して、同じく修復して結界処理した。

 エァリエスさんはソフィアの術に目を丸くしていたけど……「流石だね」って感心していた。ソフィアもエァリエスさんに誉められて嬉しそうだったな。なんでそんなに嬉しいのかは知らないけど。


 そうそう。

 エァリエスさんの名前は「イリヤ・フレイア・ネメシア」となった。

 「イリア」は「エァリエス」から『過去』と『否定』という単語を除いて、人名っぽくすると「イリア」になるらしい。本当は『イリス』になるらしいんだけど「神様の名前というのは恐れ多い」という本人の意見と、雰囲気的に長女っぽいので、「ア」の類する語尾ということで決まった。「フレイア」と「ネメシア」は本人の希望。そう。ソフィアの名前の一部とネメシアさんからだ。命名式に立ち会ったのはアタシとグレイさん。グレイさんはエァリエスさんの命の恩人だからね。ギザキさんとノィエとヴィオラさんは証明者として立ち会ったんだけどね。


 それから……いつの間にか全員の身体の何処かしらに精霊の紋……精霊ノギの紋章のアザができていた。「契約か沈黙」ってコトだったから全員が精霊と契約……というか祝福を授かったということなんだろう。ソフィアとイリアさんとノィエは鎖骨の間。ソフィアのは前にあったアザの直ぐ下だった。ギザキさんは両肩に。グレイさんは胸にあるらしい。アタシは……何故か眉間。まぁ、アタシのは気合いが入ったときとか、術を使うときぐらいしか出てこないようだから良いけど……女の子だぞ。ちっとは紋章の場所も考えて欲しいモノだ。ヴィオラさんは両肩、両腿、そして鎖骨の間と眉間。全部出ていたけど……元々が眷族というか末裔だから良いのかもね。


 そんなこんなでなんだかんだと日々が過ぎ……別れの日が来た。



 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。

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