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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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26.遺跡の中へ 1

 ソフィアとアリアの仲間達

26.遺跡の中へ

 と、その時。

 後ろで……岩が軋む音が響き渡った。ソフィアが素早く明灯の術で作った輝く珠を崖の上に放つ。光りに照らされて様子がわかる。崖下の砂がまるで意志を持っているかのように集まり、岩となり……或いは砂のまま崖を這い上がって岩と固まり……岩の固まりが集まり岩塊となって崖に張り付いていく。

 時が戻っていくかの様に……

「これは?」

「何が起こっているの?」

 ギザキさんとノィエが呟く。

「呪いが解かれたのか?」

 エァリエスさんが意図せずに正解を呟く。ソフィアとヴィオラさんは何が起こっているのか判っているようで黙って状況を眺めている。ネメシアさんは……『やっぱりソフィアには敵わないな』という感じで……ソフィアを寂しげに見ている?

 数息の間に……崖下の砂は総て元の姿へと戻り……小さな広場はかなり広めの岩の広場となった。

 そして端には二つの大岩。

 岩の間には……刻みつけられた階段ができている。

「さぁ……行きましょ。仕上げが待っている」

 アタシの言葉に……全員が先へと進んだ。


 先に進むソフィアが岩の階段を杖で突いて確かめながら進む。

 階段は崖に沿って進み、東から西へと回り込んで……最初の大岩の下あたりで洞窟の入り口に辿り着いた。改めて周りを見渡せば……周囲の岩壁にも石柱のリレーフが刻まれているのが二つ月の月明かりと明灯の珠の光りに浮かび上がって……荘厳な遺跡であることを物語っている。

「こんな……遺跡が?」

「こんな所に?」

「古の遺跡とは……コレか」

 疑問を口にするのはギザキさんとノィエとエァリエスさん。

 他の人達……寺院関係者は遺跡がなんなのかは既に気がついているようだ。アタシだって……ソフィアと出会った時の精霊の力を具現化した遺跡の一件が無かったら驚きまくっていただろう。

 洞窟の入り口の両脇には石柱のリレーフ。

 リレーフに刻まれている呪紋様は……絵地図に書かれていた古文字と同じだ。

 ならば……順序は判っている。

「ネメシアさん。……先導してくれる?」

 アタシの言葉にネメシアさんはとびっきりの笑顔で応えてくれた。やっぱり、末裔の方に役目は譲らないとね。

 ん? まだ判らない?

 んじゃ黙ってみてなさい。


 洞窟から入って……程なくして小さな部屋っぽい場所に出た。部屋の先には洞窟が続いているけど……その先に何があるのかも判っているけど、今すべきなのは前の洞窟へと進むコトじゃない。部屋の真ん中に飛び出た腰までの高さの石柱に刻まれた文様は……精霊文書で見たヤツだ。まだ読めないけど、意味は判っている。ネメシアさんが手に持つ剣を石柱の上に置く。と、前と左右の岩壁が砂が崩れるかのように落ちて……洞窟への口が開いた。洞窟の上には何かの呪紋様。これも読めないけど、意味は判っている。

「最初は……新しき光へ……東だよね?」

 アタシの言葉にネメシアさんはにっこりと笑って応えた。東の方、つまりは右へと進む。やがて広めの場所。そして壁には……石刀を振り翳した姿の石像が並んでいる。

「最初の……試練の間だね」

 石の床に刻まれたムーマ文字。単語しかわからないけど意味を繋げれば……と、一歩踏み出した瞬間に石像達が動き出したっ!

 瞬後にエァリエスさん達が応戦した。

「気をつけてっ! 胸とかの七芒星を打ち抜けば動きは止まるっ!」

 床の大文字は『技』。続く文様が『印を打つ』とある。石象たちの動きは素早く……直ぐには七芒星を打たせてはくれない。

 でも、時間の問題だった。

 エァリエスさんとソフィアが直ぐに息を合わせて、二人で応戦するようになると簡単に打ち抜いていく。七芒星を打ち抜かれた戦士は砂に変わって……散っていく。グレイさんとギザキさんも息を合わせて……何処かの戦場で組んでいたのだろう……瞬く間に総ての戦士を砂に変えていく。ヴィオラさんはちょっと手間取っていたけど……何か意地で戦士に頭突きを喰らわせて額の七芒星を打ち抜き……最後の一体を砂に変えた。

「ふぅ。こんなのが続くのかい?」

 ヴィオラさんの問いに黙って頷くネメシアさん。

 この二人は……本当に姉妹のようだな。



 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。


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