2.宿にて 1
ソフィアとアリアの仲間達
2.宿にて
結局、山賊さん御一行を途中の町のギルドに引き渡したとかなんやらで、目的の町には辿り着けずにちょっと手前の外れ宿……町は大抵、日暮れと共に門を閉めるからね。そんな時に閉め出された旅人用の宿……で一息ついた。
しかし……見渡すと、アタシ、ソフィア、ソフィアの人形4つ、プラス……大猫娘のヴィオラさん。随分と大所帯になったモノだ。今朝まではアタシとソフィアの2人旅だったのにな。とはいえ、その時は人形達は動きを止めてジッとしていただけだから……増えたのはヴィオラさんだけとも言えるな。ふむ? 合ってる? なんかまだ混乱しているようで思考回路の結果に自信がない。
そうそう。『思考回路』って単語はソフィアがたまに使うんでアタシも移って使っている。意味判る? 判るの? へぇ〜 寺院用語らしいんだけどね。違うのかな?
まぁ、兎に角。ヴィオラさんは首に人化の魔石のネックレスを下げてソフィアの予備の尼僧服を着て晩御飯を頬張っている。
ネックレスの鎖が切れていたんで、樹綿の紐で繋いであるのは……まぁいいとしてだ。
人化した今は……やはり大猫娘。
結構な美人でソフィアより頭一つ背が高くて、手足も長くて胸とかお尻とかが2割増……いや、サイズとしては5割増か? 服のサイズが合わなくて胸の谷間とか、腰のくびれとかが惜しげもなく見せ放題になっているんだけど……なんか色気が皆無なのは何故だろうね?
多分、アレだ。健康的すぎて色気が皆無というタイプだな。
「いやぁ、マイッタよ。久々に人間界に来たらあの暑さでしょ? ちょっとクラッとしたついでにコケちゃってさ。その時に人化の魔石も落としちゃってね。慌てて拾おうとしたら先に山賊の……御頭だっけ? ……に拾われてさ。奪い返そうにも暑さでノビちゃってて……ほんと助かったよ」
ネコミミとシッポがあってヒゲがないのは良いとしてもだ……なんか故郷方面地方のオバチャンみたいな口調と態度はナントカならんのかな。ソフィアも苦笑いしながら頷くだけだ。
「確認したいんだけど……」
アタシがちょっと醒めた感じで言葉を挟むと……ソフィアはちょっと引きながらアタシの次の言葉を待っている。
そこまで構えんでも良いとは思うんだけど……そんなに人形遣いに間違われるのが嫌なのかな? ま、あんなのが好きなのがこの世にいるとは思えんけど。
「この子達はなんでソフィアにくっついて旅していたの? それに話す時に変な記号が頭に浮かぶんだけど、ソレは何?」
アタシが指さすのは自分の頭の上と両肩とついでに胸元。
なんでか正体が判ってから、ウェンディはアタシの頭の上でグデ〜としているし、サーラとアェリィが両肩にひっついているし、ノーラは胸元のポケットを定席位置にしている。
「その子達は……」
ソフィアが言いかけるとヴィオラさんが割って入って説明し始めた。
「その子達はソフィアが寺院を出るときの試練で出会った精霊達のミダル……分身だよ。変な記号が浮かぶのは実際に声で話しているんじゃなくて頭の中というか意識に直接話しているから。変な記号ってのは意識が繋がった信号みたいなモノなのさ」
よく判るようなワカランような説明だな。
「試練? って何したの?」
「永遠の焔、永遠の風、永遠の石、永遠の氷をそれぞれの精霊の世界に一人で行って取ってきたのさ。ソフィアが取ってきたのはワタシとかが団体で行ったときより大きくて質の良いのを貰ってきたんだよ。ま、あんだけのを取ってこられたら、寺院長もソフィアが旅に出るのを止められないって。ははは。いやぁ、しかしアレは凄い大きさだったね」
感心しきりのヴィオラさんについても疑問がある。
「ヴィオラさん? ちょっと聞きたいんだけど……黒魔術とかは使えないの?」
読んで頂きありがとうございます。
これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。
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