表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖霊の街  作者: 葛城 炯
44/56

23.遺跡探検へと 1

 ソフィアとアリアの仲間達

23.遺跡探検へと

 その朝。朝食を済ませるとソフィアとヴィオラさんとエァリエスさんは闘技場へ。アタシとノィエとネメシアさんと人形達は連れだって地図を片手に遺跡……かも知れない洞窟へと向かった。

「随分、支度に時間かかったわね。何してたの?」

「ん。ちょっとね」

 ノィエに言われて説明する。時間がかかったのは……ソフィアとエァリエスさんの髪をブラシで梳かしてあげていたから。梳かした序でにフィッシュボーンというかスコーピオンティルに編んだけたのさ。

「髪を梳かして貰うなんて……初めてかも」とかなんか嬉しそうにしていたけどあんなに長くて綺麗な濃い金髪なんだからね。少しは綺麗にすればいいのに。ま、予想通りに腰までと届きそうなロングヘアーだったから……思ったよりも美人さんに仕上がったな。ちょっと悔しいぐらいに。

「あぁ、そうか。なんか今日はいつもより綺麗だなと思ったらアナタの仕業だったのね」

「そうだよ。編み物とかは針仕事は得意なんだ」 

 ソフィアも羨ましがるぐらいに美人さんになってたな。ソフィアは寺院の戒律で化粧は禁止されているらしい。でも……ね。化粧しなくてもかなりの美人なんだから贅沢言わないのって言ったげたら嬉しそうにしていた。

 やっぱり乙女だね〜

 ソフィアもブラシかけただけで綺麗さが一段上がるぐらいなんだからちゃんと化粧したら……どうなるのかね。ヴィオラさんもエァリエスさんとソフィアの様子に羨ましそうにしていたから、帰ったらちょっとだけ……いじれないな。短い巻き髪の癖っ毛なんだし。でもまぁ、ブラシぐらいはかけてあげよう。

「ふぅん。エァリエスさんとは昔から親しいの? 髪を弄るなんて」

「いんや。この町に来てからだよ」

 ま、ホントの狙いはブラシに付いた抜け毛なんだけどね。昨夜、ソフィアに言われたとおり自分の髪を人形達に縫いつけようとしたんだけど……アタシの髪ってちょっと赤銅色っぽいから色彩的にイマイチで嫌なんだよね。ネックレスのままなら直ぐに取れるから気にならないけど縫い付けるとしたらやはり気に入らない。それで、ソフィアの深い栗茶っぽい黒髪とエァリエスさんの濃ゆい金髪とで紐に編んだら……目論見通り綺麗に仕上がった。

 一応、言っとくけど黙って採ったんじやないからね。エァリエスさんに「髪の毛少し頂戴」って言ったら徐に剣で一束斬ろうとしたから慌てて止めて、ブラシをかけたのさ。ソフィアも……ブラシかけたことがないって言ってたな。寺院の戒律をソコまで守らんでも良いだろうに。ま、兎に角、御両名の了解済み。

「でも何でそんなことを今朝になって?」

「ま、それは良いじゃない。今朝に思い付いたからだよ」

 絆の話はノィエには悪いけど内緒。こういうコトって人に話すと効果が無くなるような気がするし。出来上がった髪の編み紐は縫いつける時間がなかったから、首飾りにして結んでいる。多めに編んだのをソフィアとエァリエスさんにも渡しておいた。ソフィアは手首に巻いて、エァリエスさんは髪の結び紐の上に巻いていた。二人とも嬉しそうだったな。

 ……迷惑そうの間違いじゃないかって?

 そういう野暮は言わないのっ!


 そういえばとノィエの髪型はと見れば……ロングヘアーを赤と黄と青と緑の編み紐で縛り一つに纏めて右肩から前に下ろしている。素朴に可愛い纏め方だな。

「その編み紐って四力の精霊の?」と聞いてみる。

「そうよ。白魔導師だから、髪を飾っちゃいけないんだけど……まぁ、紐で纏めるぐらいは許容範囲なんじゃない? 一応、精霊にも平等にしているし」

 白魔導師って、本当に戒律とかで煩わしいな。

 しかし、ノィエの格好って……在る意味、山に慣れているのか慣れていないのか判らない格好だ。カシミールというか前合わせの外着に幅の広いズボン……聞けば袴とかいうモノらしい……を穿いて、履き物は……樹のプラットフォーム・シューズみたいなの……これも聞くと高舟小町樹下駄とかいうモノらしい……を履いている。

「その格好で大丈夫?」と一応確認。

「大丈夫。森とかは慣れているわよ」と自信ありげに応える。

 ふーん。んじゃ、お手並み拝見しときしょ。


 山に入ると……ノィエの格好は一変した。いや、着ているモノは変わらないのだけど、紐で足首から膝にかけて縛り上げ……ロングブーツみたいになった。いや履いている下駄とか言うのは一枚の板の……聞けば山岳修行僧が使う天狗下駄というモノらしい……に履き替えて、その樹の履き物に結わえ付けた紐をそのまま足首から膝に縛り上げている。幅の広かったズボンは膝から下が細くなって、山歩きには適した格好に早変わり。上着のやたらと垂れ下がった袖も……デミ・グラブみたいのから編み付けてある紐で縛って細めの袖みたいに仕上げてしまった。

「はぁ……紐でそんなに格好が変わるなんて……」

「驚いた? 城にあった古文書に書いてあったのを見ながら自分で仕立てたんだよ。『駒野威知』とか……なんか当て字ぽいから意味は判らないけど……そんな書簡に書いてあった服飾よ。多少は私のアレンジだけどね」

 ふぅん。針仕事はアタシと良い勝負かな。と、認めてあげよう。でも、『巫女』って言うような気がしているんだけど。元の格好は。



 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ