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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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21.思わぬコト 2

 ソフィアとアリアの仲間達

「そりゃ地図在るんだし。手近なところから探っていくつもりだけど……」

 ソフィアが言いたいのは判る。アタシのことを心配してくれているんだ。「危ないことはしないでよ」と視線が物語っている。

「地図ってなに?」とノィエが尋ねてきたので、グレイさんが近くの地図を作ってくれたこととアタシは本来、この町には遺跡探検しに来たことを……前にも言った気がするけど、念のため改めて言う。グレイさんが平伏したのは当然省略。ノィエには関係ないからね。

「へぇ。遺跡探検ね。面白そう」

 ありゃ、食い付いてきてしまった。お嬢様っぽいので……あまり連れて行きたくはないな。

 崖際とか急な山道で「私、こんな所歩けない〜」とか尻込みしそうだし。

「ほう。そんなことを。ノィエもいってみたらどうだ? 闘技場で戦いを見ているのも飽きただろう?」

 ギザキさんがそういうのは……御節介ぶりにちょっと飽きているんだろうな。

「闘技が終わるまで待てない? 私も付いていきたいし」とソフィア。心配性だな。ありがたいんだけど……過保護だぞ。それ。

「だって、終わるのは……まだ5、6日はかかるでしょ? 9日だか10日間の予定なんだし」

 と反論するとエァリエスさんが補強してくれた。

「そうだね。決勝に近付くに従い、試合数は減るし、闘技者にも休息を与えるから……終わるのは6日後の予定だよ」

 ほらね。と、見渡せば心配顔のソフィアに「大丈夫でしょ?」と信頼顔のヴィオラさん、ネメシアさんにエァリエスさん。ん〜アタシのことを知っていないはずの方々が信頼していて、知っているはずのソフィアが心配顔ってコトは……普段のアタシはそんなに危なっかしいコトをしているんだろうか?

「仕方ないわね。後でお呪いするから……でも危ないことはしないでね?」


 その後。

 部屋に戻ると……ソフィアがお呪いをしてくれた。

 何やら呪文を唱えながら……自分の髪をかき上げ……指に絡んだ髪の毛をくるんと回すと……髪の毛が一本の銀針のように……その銀針となった髪の毛をアタシの外出着の襟首辺りに……縫いつけた?

「何したの?」

「精霊界との契約呪文。まぁノーラがいるから大丈夫だと思うけど……精霊界全般に通じる……汎用の呪文ね。これで最悪の事態はなくなるとは思うけど……」

『○ほんまにソフィアは心配性なんやから』

『☆ノーラが余所見してたってアタシがいるから崖から落ちたって大丈夫やのに』

『★洞窟の中で寒ぅなってもアタイがいるし』

『◎……溶岩が流れていても凍らせてあげる』

 頼もしいこと夥し。……ん? だったらソフィアと出会ったときの溶岩の海の件は? ……と、アタシの視線の意味を判ったみたいで、ウェンディが済まなさそうにいった。

『◎……あの時はソフィアに動かないように言われていたし……実際、ワタシが凍らせても次の前の扉は開かなかったと思うよ』

 んむ。確かに。そういう場所だったな。あそこは。

『★せや。この際、アタイらと絆を結んでおこうか?』

「何、絆って? 契約できるの?」

『○契約ってコトじゃないけど……ソフィアが今したお呪いの延長みたいなモンや』

『☆加護しやすいようにする……まぁ。するかどうかはアタシらの勝手みたいになるけど、契約みたいに煩わしくはないで』

「契約って? 煩わしいの」とアタシの疑問にヴィオラさんが応えてくれた。

「その子らの本体は精霊だからね。精霊と契約したら他の精霊とは契約できなくなるというか難しくなる。特に反対の属性の精霊との契約は完全に出来なくなるし……上位や下位の精霊との契約も破棄される。……と色々と面倒な制約があるのさ」

「この子達は……精霊界でも実力者揃いだけど、一旦契約したら……精霊の望む行為をしなければならなくなるし、禁忌とされることも色々と……」

 ソフィアのいつになく真剣な面持ちにアタシはたじろぐ。寺院の規律をきっちりと守っているソフィアが嫌がる? ほどの煩わしさなんだろうか?

『★せやから絆で十分や。それでアタイらが護ったる』

「その絆ってどうやるの?」

 聞けば簡単。要はアタシの髪の毛か切った爪とかを人形達が判る場所というか念を籠められる近くに在ればいいらしいんだけど、面倒だから髪の毛を縫いつけることにしよう。

「もう遅いから、寝ましょ。髪の毛を縫いつけるのは明日の朝で間に合うでしょ?」

 そだね。



 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。

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