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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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19.霊精と古文書 1

 ソフィアとアリアの仲間達

19.霊精と古文書

 ソフィアに教わったことを書き留めていたノートを広げ、古文書の単語と格闘し、意味をまたノートに書き綴る。ついでに判らない絵文字とか書き写し。こうした方が判らなくても後々の知識となって役立つ。……コトもあるから疎かには出来ないのさ。

「ん〜 判るのはこんな所か?」

 背伸びして、取り寄せた煎棘胡桃茶を一口啜る。

「渋っ〜 煎りすぎだよ。これ」 このお茶は煎りすぎると時間と共に渋さが増す。まぁ、疲れた頭には丁度いいかもしれない。

 ふと、目を窓の方へと投げると……テーブルを挟んで窓を背景に儚い物憂げな椅子に座っている美少女〜という感じで佇むネメシアさん。髪が窓からの光を程よく通して……良くできた一枚の画のようだ。

 ……持っているのがひね曲がった禍々しい感じの十字架のような剣じゃなければね。

 ソフィアが用意してくれた骨董品のティーポットの中の霊精を十字取っ手の儀礼用深杯に注いではゆっくりと飲んでいる。……やっぱり、深窓の令嬢ってのを地でいっている感じ。

 時々、霊精を指につけては……剣の柄から鞘に巻き付けた紫銀の鎖に塗っている。……のは、なんかのお呪いかな?

 『ん? 何? どしたの?』とアタシの方に顔を向けてきょとのんと小首を傾げた。

 くぅ〜可愛いっ! 可愛すぎて年上(だったよね? 確か)というのを忘れそうだ。

「あ、そうだ。人形達を直さなきゃ……」

 巻物とかをちょっと片付けて……昼前に仕入れてきた小物……裁縫道具と小切れのフェルト……巻毛山羊のとか長毛跳兎とかの毛織物の端布をテーブルに広げて……人形達をテーブルに上げた。

『☆なんや?』 『★どしたの?』 『○なんかあったん?』 『◎……おやつ?』

『☆★○ぅおいっ! アタシ(アタイ)(ウチ)達に、んなもんは必要ないっ』

「はいはい。漫才はソコまでにして……」

 アタシは人形達を黙らせてから色々と調べてみると……確かにアチラコチラにと解れやら生地が怪しくなっているのやら……古い繕い直しの糸も直ぐに切れてしまいそうだ。

「アンタ達、随分と痛んできているじゃない。サーラなんかはいつ破けるか判らないぐらいじゃないの」

『★へへ……でも、ソフィアがいつも直してくれるから大丈夫やで』

『☆そうそう。時元修復の術であっという間に元通り』

『○ウチらはそん時はちょっと休むんやけどな。そういや。随分直してもろうてないな』

『◎……1年ぐらいだよ』

「兎に角、アンタ達はちょいと暴れすぎ……ウェンディは大丈夫っぽいから良いとして……」

 アタシはウェンディをテーブルから持ち上げ、頭の上へと置いた。

『◎……ふにゃあぁ〜 気持ちいい〜』 『★あ、ずる〜』

「ずる〜じゃない。サーラ。アンタは全体に危ないわよ。いつも何してんのさ?」

『★ん〜 なんやろね?』

『○サーラはいっつも先制攻撃しようと構えたり、実際に突撃したりしているからね』

『☆そういうノーラはいっつも地面触ったりしているやん』

『★そういうアェリィはよく転けたりしているな?』

『◎……アェリィは本体は空を飛んでいるのが普通だから、こっちでは地面を歩くのが苦手なんだよね〜』

「なるほどね」

 大体の行動パターンが判ってきた。さて……

「んじゃ。本体の修復はソフィアの術に任せるとして……もし今、アタシがアンタ達に補強とかしたらどうなるの?」

『★さぁ?』

『☆あ、一回、サーラの背中が破れかけたんは針と糸で直してなかったか?』

『○そうそう。時元修復でも直りきれないかも知れないっからって術を掛ける前に直してたな』

『◎……その後で術を掛けたら糸が歪んでたから直ぐに外してたよ』

「ふぅむ。んじゃ、今、直す必要はやっぱり無さそうだな……」

 ん? あれ? んじゃ、繕い直し跡のは……? 寺院に行く前の直し? だとすると別れた家族……お母さんとかが繕い直した跡なのかな? ん〜〜 そうだとすると尚更、触らない方が良さそうだな。

 さて? どうしようか?

「ま、取り敢えず、今、できることをしておきますか……」

 ちくちくと端布を縫い合わせたり、寸法測ってみたり、小物の寸法も測って……

 ふと……視線を感じて、目を上げるとネメシアさんが『結構、器用なのね〜』みたいな感じで見ている。

「へへへ。裁縫は得意なんだ。掃除とかは苦手だけどね。料理は……が得意だったからあまりしていないけど、それでも……よりは上手に……」

 あれ? アタシは誰と自分を比べているんだ?

「……って、誰と?」

 疑問を声に出しては見たけど……ネメシアさんが判る訳がない。困り顔で微笑むだけだ。

『★ソフィアは掃除とか洗濯は得意やで』

『☆時元修復の術の延長みたいなモノ〜とかいってたな』

『○でも料理はな〜』

『◎……ソフィアは浄化の術を帯びているからね』

「ん? どういうこと? ウェンディ」


 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。

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