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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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17.夢の中で 2

 ソフィアとアリアの仲間達

(ヴィオラさんも……いや、年相応かな? 見た目は)

『ヴィオラも……祝い返しの翌日に寺院に入れられたんだったかな? 私が4歳で入ったんだから……同じ御先祖さんの生まれ変わりかも知れないんだから入りなさいって言われてね』

(ん〜? 眼は金色じゃないよね? ちょっと金色っぽいけど……)

『ヴィオラは牙とか爪が鋭いのよね。赤ん坊の時に鋼の鎧を爪研ぎに使ってボロボロにしたんだって』

(げ……) そんな仔猫がいたら絶対に飼いたくないぞ。

『まぁ、成長するに従ってね、鋭さに磨きがかかって……岩とかでも簡単に撫で切っちゃうのよね。あの子ぐらいよ。白魔導師なのに爪先でどんな剣でも受け止められるのは……』

 あ〜 闘技場で相手の切っ先を受けていたのは爪先だったのか。道理で白魔導師なのに剣を受け止められるのかと……え?

(つ、爪先で?)

『そうよ。掌とか指先で受け止めたら火傷しちゃうじゃない。白魔導師なんだから』

 そりゃ、そうなんですけど。剣の威力を受けるコトが出来ると言うことは……爪先自体が剣に匹敵する切れ味というか……強度を持っているということ……だよね? ……爪切りはどうしているんだろうと下らない疑問が湧いてくるけど……放っておこう。

(凄い切れ味なのね)

『ん。でも、白魔導師だとあんまりそれを発揮する場面がないのよね』

 そりゃそうだよね。

(ヴィオラさんが寺院に入ったのは……一瞬、怪力とかかなと思ったんだけど)

『ん〜 力は関係ないわね。寺院に入るのは……法力が凄いとか法術の覚えが早いとか……そんな子が集められるのよ。……大抵は、本人がそういう資格……というか法力があることを自覚しないうちにね』

 自覚しない……つまり?

(進んで入る子って居ないの?)

『居ないわよ。私が知っている限り……あ。ラディアは希望していたって言っていたけどね。大抵は入って直ぐに帰りたがって……泣いているわね』

 寺院って……楽しく無さそうだと思っていたけど、本当に楽しく無さそうなところだな。

(ソフィアは最初は喋らなかったって……ヴィオラさんが言っていたけど……)

『そうね。でも私とは同室だったから……私が人形が羨ましいって言ったら……黙って貸してくれた。それからは打ち解けたわよ。少なくとも私とは……』

(ふぅん。そうなんだ……)

『他の子達とだって……さっきの精霊との喧嘩の一件からは……打ち解けていたわ。指導尼僧様達からは「他の修行尼僧達が甘えてしまいます。手助けするのは自重なさいませ」って言われてたけど……事ある毎に手助けしていたわね。それで、ある時からは寺院よりは精霊界での修行とかを主にしていたけどね。その精霊達からも疎まれたモノだから……こうして寺院を出て旅をすることを赦されているのよ。ソフィアは』

(はぁ〜 なんか、凄すぎて……ついて行けないなぁ)

『気にしない。アナタも大したモノよ。陣形態なんて高位法術を憶えて使いこなせているなんて……』

 そう? いや〜。実はアタシもそうじゃないかと……

(自慢して良い?)

『良いわよ。ソフィアとかに法術の使い方の基礎を習ったら……撃形態とか獄形態も使えるようになるわ。私が保証する』

(そ、そなの?) たはははは。誉められるのって慣れないなぁ。

『でも……使っちゃダメよ。法力が無くなって……倒れちゃうから』

 おーい。どっちなのさ。

(そんなに疲れるの?)

『そうね。撃形態なら1日に1回程度なら使えるかもね。何度も使えるのは……ソフィアか……少なくともヴィオラ並みに法力量がないと……』

(そんなに……)


 ……と、目が醒めた。

 ソフィアに抱きつかれたか……と見れば確かに目の前に形の良いデカいのが2つ、寝間着を押し上げているけど……抱きしめられてはいない。背後に目の前のより更にデカいのがあるけど……後ろから抱きしめられているわけでもない。

「あれ?」

 何か音がした? しなかった?

 起きあがり部屋を見渡して……ソフィアの杖はある。ネメシアさんとエァリエスさんの剣は無いけど……それは、いつもだっけ?

 夏ちょい前の夜の冷気が部屋に漂っているけど……寒いというほどではない。

 そっと寝床を抜け出して……窓から外を見てみる。別に外で音がしたわけでは……ないな。

 窓の下は大通り。闘技場から南へと延びる通りだ。勿論、通りには誰もいない。

 窓を開けて……南を見てみる。通りの先は……町はずれに小さな広場。その先は崖。ちょうど、二つ月が通りの先の崖上の上空に浮かんでいる。

 紅い月と蒼い月の明かりが通りを照らし……首を振って闘技場の方を見ると……闘技場が紫色に輝いて……あれ?

 闘技場の真ん中に立っている柱の上が黒く陰って……その先の通りが見えない。そして……闘技場の所に誰か……大男? 誰だ? あれは……エァリエスさんの……というかネメシアさんが持っている剣を奪った大男? 何をしているん……

「きゃあっ」 不意に後ろから抱きしめられて小さく声を上げてしまった。

「アリア。風邪引いちゃうわよ。さっ寝ましょ」

 ソフィアがアタシを抱きかかえて窓を閉めて寝床へと強制連行。ベッドの所でヴィオラさんも寝惚け眼で出迎えている。って、ソフィアっ! 変なとこを触ってるってばっ!

 きゃうっ! っと、ソフィアとヴィオラさんに挟まれてアタシは夢の中。

 その後に見た夢は……忘れてしまった。



 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。

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