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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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13.それぞれの名 2

 ソフィアとアリアの仲間達

 いや、誰も見たことのないという聖アィルコンティヌ寺院関係者がこんなにいるとは思わなかったぞ。本当に。

「そう……ですけど、姉を知っているんですか?」

「同じ寺院で修行していたのよ。そっかぁ〜 ノェアの妹さんね〜」

「目元というか目鼻立ちは似ているね〜」

 やっぱりね。ソフィアとヴィオラさんとネメシアさんはわいきゃわ騒いで手が付けられない感じに喜んでいる。アタシとエァリエスさんはちょいとついて行けなくて、笑顔のままで困っているしかできなかったけど。

「で、お姉さんは? 元気?」

「姉は無事に嫁ぎました。ギザキの尽力で……城が壊れてしまいましたけど……」

 え〜と。『無事に』? 『城が壊れた』? なんか話が複雑っぽい表現だなとちょっとだけアタシが悩み出したときにヴィオラさんがソフィアに目配せしてから話を繋げた。 

「そうかい。んじゃワタシも早く婿を見つけて……」 「え? 婿捜しですか?」

 ノィエさんも再び始まったわいきゃわの輪に入って騒ぎ始めた。女3人で姦しいとは言うけど、確かにそうだね。って、アタシも女だけど。

 アタシとか、エァリエスさんみたいにお淑やかなのもいるんだからね。

 ……凄腕の剣士と無差別攻撃黒魔法使いの何処がお淑やかなんだろうって思わなかったよね? ソコ。思わなかったら即座にかつ速やかに、若しくは迅速かつ瞬時に思いなさい。それが世間を巧く渡るコツなんだからね。……同じ表現を何故に繋げる? そういう細かいことは気にしないように。

「え〜と。なんか用があるんじゃなかったの?」

 わいきゃわの騒ぎは放っておいて、ギザキさんに確認する。わざわざ来た以上は用があるはずだ。

「用って言うほどじゃないんだが、一応、礼を言っておこうと思ってね」

 ん? 何のことだ? 負けたのが良かったってコト?

「君達が棄権してくれた御陰で、敗者復活戦が明日、行われることになった。これで払った参加費も回収できそうだ」

 なるほど。そういうコトね。

「問題は……復活戦が一対一じゃなくて乱闘って事よ」

 ノィエさんがわいきゃわの話を止めてこっちの話に割ってきた。ま、心配なんだろうね。

「大丈夫。アタシに負けたって恥じゃないわよ。アタシが強すぎるだけなんだから」

 ちょっと威張ってみる。ま、ソフィアとかヴィオラさんとかエァリエスさんとかに比べたら……アタシが最弱だけどね。

「まぐれで勝ったからっていい気にならないでよ。ギザキの方が強いことは間違いないんだから」

 およ? 随分と強気だな。まさか魔獣とかと戦って勝ったなんて言い出さないだろうな。

「まぁまぁ。それで礼を言っておこうと。ついでにここに宿を変えたから……」

 んむ? ギルド直営の宿なんて値が高い方なんだけどな。でも警備とかが良いからソフィアとアタシは専ら利用しているけど……

 そんなに資金があるのなら参加費なんか……って金貨10枚の方が重要か。でも、なんで?

「それまた何故に?」

「なんか幽霊とか人形遣いとかの騒ぎで……他の宿が満杯なのさ。オレ達が泊っていた宿も満杯になってね」

 満杯になっても先に泊っていたのならば問題ないだろうに。

「まさか……追い出された?」

「安値で泊っていた先客は違約金を払って追い出しても良いぐらいに高騰した。ってことさ。闘技参加者は優先権があったのだが、負けたので失効した。……そんなところさ」

 それでこの宿に……? あ、幽霊と人形遣いとかでこの宿はキャンセル続きという訳か……

「まぁ……幽霊は君との試合の時に見て、問題ないと判ったし。人形遣いが誰か判らないので不安ではあったが……昔の知合いなので個人的には問題ない」

 ふぅん。ギザキさんほどの陰が無さそうな人が信頼できるほどなのか。グレイさんを見直したぞ。……少しだけ。どれぐらいかというと髪の毛の幅ぐらいだけど。

「グレイとは戦場で何回も?」

 何故か嬉しそうなエァリエスさんが尋ねてきた。ん〜? 命の恩人が誇らしいというのも納得……できるようなできないような疑問を禁じ得ないような……

「ん。何回もというほどではないが、少なくとも信用できる。人形遣いだが、間違ったことはしない事だけは確かだ。このオレが保証する」

 人形遣いになったこと自体が人として間違いなのでは? という疑問が激しく湧いてくるのだが。何にしても人形遣いを保証する人なんて初めて見たぞ。大丈夫か? この人。

 まぁ、アタシがこれほどの疑問を持つのもこの町に来るまでアタシも人形遣いを見たこともなかっんで想像がふくらみすぎているからかもしれんけど。

 ふと見れば……言われたエァリエスさんが異常なまでに嬉しそうな事の方も激しく疑問が湧いてくる。他のことには気づかれないように平静を装っていたけど……瞳の輝きが違うからバレバレだよね。でも、隣のヴィオラさんとかソフィアも気づいていないようだけど。まぁ、斜め正面にいたアタシだけが気づいたことなのかもね。

 んで、改めてソフィアはと見れば「何言ってんの。この人? 大丈夫?」みたいな軽めのジト目でギザキさんを睨んでいる。グレイさんを睨む時ほどではないんだけどね。

 で、睨んでいるのに気づいたノィエさんがソフィアを不信の目で睨み返している。


 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。

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