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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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9.その夜の夢

 ソフィアとアリアの仲間達

9.その夜の夢

 その夜。見た夢は……やはり昨日の夢の続きだった。

 金色の花が咲き乱れている草原。歩いていくと……金髪の少女が摘んだ花で冠を作っていた。

『あら。今日は来ないかと思っていた』

(なんで? アタシの夢なんだから見ようが見まいがアタシの勝手でしょ?)

『……ふふっ。ここはアナタの夢の中じゃないわよ。まぁ、普通は夢でしかこれないけどね』

 屈託無く笑う少女。ふと真顔に戻り……アタシの顔を覗き込む。

『どしたの? 変な顔しているよ』

 その瞳は……綺麗な金色。艶やかな黒い睫毛によく似合っている。

(ネメシアさん? だよね?)

 にっこりと笑う。よく見ると金髪も黒髪が混ざって……濃い金髪に仕上がっている感じだ。

『そだよ? なんか変?』

(いや、ソフィ姉ぇとかがネメシアさんの瞳を見ると驚いている感じだから……どんな瞳なんだろうと……)

『普通でしょ? まったくソフィアとかは驚き過ぎなのよ』

(そかな? 滅多に驚かないんだけど……)

『ま、良いじゃない。それより遊びましょ』

 それから……花摘みしたり、摘んだ花でネックレスとかティアラとかクラウンとかを作ったり……追い駆けっこしたりして遊んだ。

 ふと気づくと……草原の端に突き刺さっているのは銀の鎖が巻き付いた十字架のような剣。

 エァリエスさんの……魔剣……だね。

『どしたの?』

(あの剣……どうして持っているの?)

 剣を見て、悲しそうな顔になって……アタシに笑いかけて応えた。

『あの剣はね……』


 ……と、目が醒めた。

 ソフィアに抱きつかれていたわけではなく、ヴィオラさんに押しつぶされたわけでもなく……単に二人の間で暑くて目が醒めた。いや、何か音がした? しなかった?

「……あじぃ」

 ともあれ暑い。毛布を剥いで起きあがってみる。

 夏が間近だというのにこの町の夜は寒いぐらいに涼しい。夜の冷気で身体を冷やす。

 部屋の片隅にソフィアの光の杖が窓からの月明かりでぼぅっと淡く光っている。魔王を討つという伝説の杖。

 その反対側の部屋の隅の椅子に……あれ? 魔剣というかネメシアさんがいない。

「ん? 何処に? んをわっ」

 見渡しているアタシをソフィアの腕が毛布の中へと引きずり込んだ。

「アリア……寒いわよ」

 見ると……やっぱり寝ている。寝言だな。もう一度、腕から逃れて起きようかと考えているアタシの上にネメシアさんの腕が降ってきた。

「んぎゃ」

 動けない。いや、無理に動けば動くことはできるのだが、二人とも寝ているし、起こしてまで起きるほどの気力もない。

 二人ともアタシの反応に気づくこともなく……アタシも夢の中へと戻っていった。



 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。

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