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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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7.魔剣と人形遣い 1

 ソフィアとアリアの仲間達

7.魔剣と人形遣い

 話は聞くだけ聞いて……それぞれ自分の部屋に戻っていった。

 と、言っても、アタシとソフィアとヴィオラさんで一部屋取ったから、そこに入っただけで、幽霊のネメシアさんもついてきたけど……まぁ、幽霊だから宿代も取られんだろうから何処にいても良いだろうし。エァリエスさんはここのギルドというか宿に傭兵……じゃなくて警護要員として雇われているらしいので用意されているという部屋に戻っていって……人形遣いのグレイさんは? まぁ、いいか。

 んで、昼食は部屋で取ることにしたのだが……ま、なんか食欲がないのは、アタシもソフィアもヴィオラさんも同じようで……部屋のテーブルには手が着いていない八条麦のパンと紫カビの堅チーズと大蜜蜂の黒蜂蜜。典型的な菜食メニューだけどそれは尼僧ということで宿の方で気を回してくれたのだろう。

 そうそう。ヴィオラさんとネメシアさんは外に出て行った。なんか、ネメシアさんに連れられてヴィオラさんが連れ出されていった感じでもあるんだけど……まぁ、今居るのはソフィアとアタシの二人きり。あ、人形達は相も変わらずアタシに引っ付いているけどね。

 で、ソフィアもなんか呆けている。アタシも気が乗らない。それというのも……剣術師さんの話が凄すぎた所為だろう。

 剣術師のエァリエスさんの小さい頃の記憶はなくて、気がついたら知らないお婆さんと傭兵みたいな仕事をしていて……その内、お婆さんとも別れて……この辺ははっきりとは言わなかったんだけど、多分、仕事のトラブルか、何処かの戦に巻き込まれてお婆さんが亡くなった感じだ……一人でいろんな仕事をしていたら、とある事で軍勢に取り囲まれたときに……何故に囲まれたのかもはっきりとは言わなかったけど、多分コレも仕事のトラブルだろう……人形遣いのグレイが助けてくれたのはいいとして……その際にグレイは亡くなってしまったと。んで、亡くなるときに剣に封印呪をかけられて人を殺めることはできなくなり、ついでに『復活する』と言われて……それを信じて待っていたら……幽霊をつれて顕れて、しかも記憶を一部、忘れていて(しかもエァリエスさんに関することは殆ど忘れたようだ)更にはその幽霊の支配下というか手下になっていた。……ということだ。

 判った? アタシはなんかまだ判らない。というか釈然としていない。

 何故に釈然としていないのかもよく判らないけど……兎に角、納得していない。


 何故だろう? こんな感じ、前にもあったな……


「ちょっと良いかい?」

 不意に……ドアがノックされ、エァリエスさんが尋ねてきた。

 どうぞと部屋に招くと……ドアの外で廊下に座っているのは……グレイさん? エァリエスさんだけが中に入ってドアが閉められた。なんか変な呪紋様の木の箱を肩に背負っている。

「グレイさんは?」 一応、気になって確認する。

「あぁ。良いんだってさ。やっぱり、脱籍したから白魔導師関係は苦手みたいだね」

 椅子に腰掛け、箱を下ろしてアタシとソフィアの顔と……壁に立てかけてある杖をゆっくりと見てから……確認してきた。

「あの泣き虫の大猫娘と……幽霊は?」

「ん。なんか、用事があるみたいで出て行った。ネメシアさんに何か用事?」

 なんか馴れ馴れしいぞ。アタシ。初対面に近いのに……まぁ、あれだけ波瀾万丈な身の上話を聞いたせいかも知れないけど……

 アタシの言葉にふっと微笑んで、ちょっとだけ安心した感じで『そう』と小さく応えた。

 エァリエスさんの右の紅い方の瞳は……見ていると何というか少しずつ苛立ってくるのは何故だろうと思いながらも碧い方の瞳は見ていて安心してくるのも……何故だろうね。傷があるけど左の顔の方が好きだな。傷は……見ていると心苦しくなってくるけど、右の瞳ほどじゃない。

 ……何を言っているんだ? アタシは。

「用事があるのは……アンタ達。まぁ大した話ではないんだけど……」

 もう一度、アタシとソフィアを見て……戸惑う感じで続きを言った。

「一緒に……」

「……一緒に?」

 口を閉じて……なんか頭痛が始まったような感じになって……言い切った。

「旅してくれないかっ?」

 なんで? というか、昨日から同行人が増える一方で、今更2,3人増えてもどうでも良い感じなんだけど……でも、なんで?

「エァリエスさんと? ですか?」

 なんか、ソフィアも構わないという感じなんだけど……念の為、確認している。という感じ。

「いや、アタシじゃなくて……あの幽霊と」

 はぁ? 幽霊をアタシ達に押しつける……という事かな?

「あの幽霊が持っている剣はね……」

 言葉を切って……ソフィアを見て、それから改めて杖を見て……目を閉じてから……続けた。

「魔剣なんだ。アタシにしか抜けない……あらゆるモノを切り刻むことができうる魔剣。幾多の血を、穢れを吸わせてしまった魔剣。……だから、一緒に旅して……何処かの……誰も辿り着けないような場所に隠すか……破壊してくれないか?」

 魔剣? あの剣が? ええぃ。また、ややこしくなってきたっ!


 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです。

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