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聖霊の街  作者: 葛城 炯
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0.復活

 ソフィアとアリアの仲間達

0.復活

 二つ月が満月の夜。

 霧が辺り一面を包み続け、旅人達が新たな道を見つけて、誰も近付く者が居なくなった峠の道。

 旧き路……の名残の跡

 街道の名残らしき路の跡に1人の少女が地面に座って祈り続けていた。

 霧が雨となり、降り続ける中で少女は祈り続けていた。

 もし……その光景を旅人が見たら……腰を抜かしてすぐに立ち去っていただろう。声なき悲鳴と共に……

 何故ならば……少女の身体は透きとおり……雨粒もまた少女の身体を濡らすことなく地面に落ちて水溜りとなっていく。

 つまり……幽体。

 幽体の少女が祈りを捧げているのは……街道跡脇の大木。

 朽ち倒れるかと見える様相の大木に少女の霊は祈りを捧げ続けていた。

 不意に……叢雲が峠を包み……槍のような雨が降り始め、雷鳴が響き渡った。

 突如っ! 大木に稲妻が撃ち落とされ……轟音と共に大木は根元から爆発するかのように弾け倒れる。

 その……大木の根元の穴から青白く……ぼぉっと光る手が地面を掴み……痩せた男が這い上がってきた。

 地獄から地上へと昇り来たかのように……

 ゆっくりと辺りを確かめた男は……目の前の少女の霊に気づき……力なく笑った。

「やぁ……貴女でしたか。私を甦らせてくれたのは……ん?」

 上半身を穴から出して、地面に肘をつき男は悩み始めた。

「……あれ? 貴女とは契約していませんが……? なにか御要望でもおありでしょうか?」

 少女は笑い顔のまま、ひらりと手を傍らの草むらを指した。

「おぉ。僧衣まで用意していただけたのですか。……しかし、何故でしょう? そこまでして私を甦らせたというのは? 何が用事でも?」

 少女は……男の言葉に少なからず不機嫌となったようで、一度目を伏せてから……男を睨み付けた。

「うわぉっ! ……と、とととと……あぎゃっ!」

 男は視線に驚き……体勢を崩し、再び穴の中へと落ちてしまった。

「は、はい。そう怒らないでください。貴女の目に睨まれると腰が砕けてしまいますから」

 少女は再び微笑むとすっと立ち上がり、街道へと歩き始めた。

「……あれ? 私への用事は……?」

 少女は問いかけには応えず……右手をくいっと動かすと……男は地面に転げ回った。

「あ……ちょっとネメシアさん。ご無体が過ぎますよっおぉぉおっ」

 微笑みの表情のままで少女の幽霊は……怒っているようだった。



 読んで頂きありがとうございます。

 これはアコライト・ソフィア、アリアとソフィア、闇の剣、岬岩城の姫の後編に当たります。

 感想などいただけると有り難いです

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