目白東中学校クエスト
登場人物
ハルナ:どこにでもいそうな女の子と見せかけて実は魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を身につけている。
カーター:ハルナのパートナーであるネコのような容姿を持った妖精の男の子。持ち前の明るさと豊富な知識によりハルナの戦いをサポートする。
そこは隠された二十四番目の特別区“目白区”。
目白区立第一中学校の生徒であるハルナは魔法少女であり、妖精のカーターと共に闇の勢力から世界の平和を守っていたのでした。
その日、ハルナは闇の力によって生み出された生命体“ホムンクルス”と戦っていました。カーターはそんなハルナの様子を陰から見守っていました。
槍を持つそのホムンクルスに向けてハルナはマジカルブラスターを撃ちました。そのホムンクルスは手にする槍でハルナの放った魔法弾を弾き、ハルナに向かって走り出しました。ハルナはそのホムンクルスの振り回す槍をかわして、そのホムンクルスに蹴りを入れました。さらに怯んだそのホムンクルスに向けてマジカルブラスターを撃ってそのホムンクルスをふっ飛ばしました。
「ウッ……!ウウッ……!」ふっ飛ばされたそのホムンクルスがよろめきながら立ち上がりました。そしてそのホムンクルスはその場から逃げ出しました。
「逃がさない!」そう言ってハルナがマジカルブラスターを構え直しました。
「うわああっ……!」その瞬間、カーターの悲鳴が聞こえてきました。
ハルナがカーターの方を見ました。するとカーターは学生服を着た一人の少年に捕まっていました。
「あなたは……!?」ハルナが言いました。
その少年は何も言わずにカーターを連れてその場から立ち去ろうとしました。ハルナは急いでその少年を追いかけましたが、すぐにその少年を見失ってしまいました。
変身を解除してその少年を探すハルナの元へ、ハルナと同じ目白第一中学校の生徒でありハルナが魔法少女であることを知るハナコが駆けつけてきました。
「ハルナちゃん……!」ハナコがハルナに呼びかけました。
「ハナコちゃん……。」ハルナがハナコの方を見ました。
「さっき、ハルナちゃんのパートナーによく似たネコを連れた男の子を見かけたんだけど……。」ハナコが言いました。
「えっ……!?」ハルナが言いました。「その子、今どこにいる!?」
「えっ……?」ハナコが言いました。
「そのネコ、私のパートナーだよ!」ハルナが言いました。「さっき拉致られたんだ!」
「そんな……!」ハナコが言いました。「やっぱり……。」
「それで、どこにいるの、その男の子……?」ハルナが言いました。
「えっと、分からないけど、あの制服は……。」ハナコが言いました。
「私達の学校のじゃ無かったね。」ハルナが言いました。「二中のでも無いし……。」
「あれは目東の制服だよ。」ハナコが言いました。
「目東……?」ハルナが言いました。
「聞いたこと無いの、ハルナちゃん?」ハナコが言いました。「目白東中学校、私立の中学校だよ。」
「私立……?」ハルナが言いました。
「うん、すっごく頭良い学校なんだよ。」ハナコが言いました。
「そこの生徒が私のパートナーを……。」ハルナが言いました。「取り戻しに行かなきゃ……!」
「ムリだよ、ハルナちゃん!」ハナコが言いました。
「どうして……?」ハルナが言いました。
「だって相手は私立だよ?勝てるハズ無いじゃない……。」ハナコが言いました。
「それでも行かなくちゃ……!」ハルナが言いました。「このまま黙って引き下がるワケにはいかないよ!」
「ええっと……。」ハナコが言いました。「だったら私も一緒に行く!一緒に戦おう!」
「いや……。」ハルナが言いました。「これは私の問題だから……ハナコちゃんを巻き込む訳にはいかないよ。」
「でも……!」ハナコが言いました。
「大丈夫……!」ハルナが言いました。「きっと上手く行くよ!」
「ハルナちゃん……。」ハナコが言いました。「分かったよ。それじゃあ、頑張ってね!」
「うん!」ハルナが言いました。
ハルナはスマートフォンを片手にその中学校の前へやって来ました。
「ここが目白東中学校か……。」ハルナが呟きました。「この学校の生徒にカーターが……。」
ひとまず目白東中学校の前までやって来たハルナでしたが、よその学校に近づくのは躊躇われた為、その場で立ち尽くしていました。
そんなハルナの前に一人の少女がやって来ました。
「そこで何してるニャ?」その少女がハルナに言いました。
「えっ……?えっと……。」ハルナが言いました。ハルナはその少女の喋り方に違和感を覚えましたが、自分がその中学校の前にいることに対する違和感の方が大きかった為に、あまり気にはしませんでした。
「あなたは……?」ハルナがその少女に言いました。
「私はキャロライン。キャリーって呼んでニャ。」その少女が言いました。
「キャリー……?」ハルナが言いました。その少女の顔立ちはどう見ても日本人のものであり、ハルナにはキャロラインという名前が本名には思えませんでした。
「アイドル的な人……?」ハルナが言いました。
「ニャ……?」キャロラインが言いました。
「ここの学校の人……?」ハルナが言いました。
「まあ、そんな感じニャ。」キャロラインが言いました。
「なるほど……。」ひとまずハルナはキャロラインが目白東中学校の地下アイドルであると認識しました。
「この学校に用事ニャ……?」キャロラインが言いました。
「うん……。」ハルナが言いました。「ちょっと、人を探してて……。」
「誰を探してるニャ?」キャロラインが言いました。
「えっと……。」ハルナが言いました。「顔を見れば分かるんだけど……。」
「だったら中に入ると良いニャ!」キャロラインが言いました。「中に入ればみんなに会えるニャ!」
「でも……。」ハルナが言いました。
「遠慮は要らないニャ!」キャロラインが言いました。「私も一緒に行ってあげるニャ!」
「うん……。」そう言ったハルナは他の人と一緒ならよその学校にも入れると考えていました。「ありがとう。」
「それじゃあ行くニャ!」キャロラインが言いました。
ハルナとキャロラインは目白東中学校の校舎へと入りました。春休みの時期なので校舎の中にもそこまで多くの生徒達がいる訳ではありませんでした。
「この学校は自主自立をモットーとしている学校ニャ。」廊下を歩きながらキャロラインが言いました。
「自主自立……。」ハルナが言いました。正直ハルナは目白東中学校のことに関心がありませんでしたが、キャロラインの話に一応耳を傾けておくことにしました。
「だから先生達は生徒達の活動に深くは干渉せずに、課外活動なんかは生徒主体で行われているみたいニャ。」キャロラインが言いました。
「課外活動……。」目白東中学校のことに関心が無いハルナはキャロラインの言葉を適当に繰り返すだけでした。
「今の時期の活動なんかがそうニャ。」キャロラインが言いました。「だからこの時期にここでこの学校の先生達に会うことはあまり無いニャ。」
「なるほど……。」ハルナが言いました。「そりゃあ良いことだね。」
「ナツキはサイアクだって言ってるニャ。」キャロラインが言いました。「この学校は入試でガリ勉を集めてソイツらが勝手に勉強して勝手に卒業していくのを待つだけのインチキ学校だって言ってるニャ。」
「へえ……。」ハルナが言いました。「ナツキって誰……?」
「私の友達ニャ!」キャロラインが言いました。
「この学校の生徒……?」ハルナが言いました。
「そうニャ!」キャロラインが言いました。「この学校の生徒は優秀だと言われているニャ。でもナツキによると本当に頭が良い子は国立の目白中学校に行ってるからこの学校の生徒は頭が良いように見えてそこまででも無い微妙なヤツばかりみたいニャ。」
「そっか……。」ハルナが言いました。ハルナは“ナツキ”とはキャロラインの本名であり、この話はアイドルであるキャロラインの本音なのだと解釈していました。しかしそんなことはハルナにとってはどうでも良いことでした。
「この時期はみんな各部毎に集まっているニャ。きっとキミの探している子もどこかの部に所属しているハズニャ。」キャロラインが言いました。「どの部から探してみるニャ?」
「部……クラブか……。」そう言ってハルナは考えました。「ネコに興味があるなら生物部かな……?」
「生物部……飼育棟に怪しげな水槽をいくつも並べているあのクラブニャ?」キャロラインが言いました。
「怪しげな水槽……?」ハルナが言いました。「なんかイメージと違うな……。」
「他の部が良いニャ?」キャロラインが言いました。
「男の子なら運動部かな……?」考えた末にハルナが言いました。
「男の子なら運動部が好きとは限らないニャ。」キャロラインが言いました。
「まあ、そうだよね。」ハルナが言いました。
「特にこの学校の運動部は微妙みたいニャ。」キャロラインが言いました。
「それもナツキ情報?」ハルナが言いました。
「まあ、そんなところニャ。」キャロラインが言いました。「この学校の大体の運動部はいくら頑張っても学力が伸び悩んでいるハンパなヤツらが身を寄せ合ってはしゃいでお互いの傷を舐めあう哀れな集まりだと言ってるニャ。」
「そうなんだ……。」そう言ったハルナはナツキの毒舌ぶりにやや好感をよせていました。自分以外の人間のことを悪く言う人間は良い人間であるとハルナは感じていました。
話しながら歩いていたハルナとキャロラインの少し先で一人の男子生徒が大柄な男子生徒に絡まれました。
「あそこに人がいるニャ。」キャロラインが言いました。
「なんかヤバそうだね。」ハルナが言いました。
「おっきな子はバスケ部の生徒ニャ。」キャロラインが言いました。
「アメフト部じゃなくて?」ハルナが言いました。
「アメフト部なんて流行ってないニャ。」キャロラインが言いました。
「そうなんだ……。」ハルナが言いました。
「ちなみに、あのバスケ部員に絡まれてるのは……?」ハルナが言いました。
「物理部の部長ニャ。」キャロラインが言いました。「確かショウとかいう名前ニャ。」
「カツアゲでもされてるの?」ハルナが言いました。
「この学校の生徒はそんなことしないニャ。」キャロラインが言いました。「ただ、軽く殴って日頃の憂さを晴らそうとしているだけニャ。」
「なるほど……。」ハルナが言いました。
次の瞬間、ショウが魔法の瓶を取り出して絡んで来た生徒をふっ飛ばしました。
「今のは……!?」ハルナが言いました。
「魔法ニャ……!」キャロラインが言いました。
「魔法……!?」ハルナが言いました。
ショウがハルナとキャロラインに気付きました。
「ひとまず逃げるニャ……!」キャロラインが言いました。
「うん……!」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは走ってその場から立ち去りました。
「フッ……!」逃げ去るハルナとキャロラインを見てショウは不敵に微笑みました。
ハルナとキャロラインは校舎の外まで走って来ました。
「ひとまず追っては来ないみたいニャ……。」キャロラインが言いました。
「この学校には魔法使いがいるの……!?」ハルナが言いました。
「きっとあの瓶ニャ……!」キャロラインが言いました。「ショウは魔力を操る装置を作ったに違いないニャ……!」
「魔力を操る装置……。」ハルナが言いました。「そんなものを作れるなんて……!この学校の生徒はホントに微妙な子ばかりなんじゃないの?」
「一部はホンモノもいるニャ。」キャロラインが言いました。「例えば、国立目白中学校の受験日にたまたま体調を崩してた子とか、進級して急に覚醒した子とか……。」
「なるほど……。」ハルナが言いました。
「それにしてもあんなモノを作るなんて……。」キャロラインが言いました。
「まあ、冷静に考えて大発明だよね。」ハルナが言いました。
「イヤな予感がするニャ……。」キャロラインが言いました。
「魔力の研究をしていたなら、もしかして……。」ハルナが呟きました。ハルナはカーターを連れ去った生徒はショウが会長を務める物理部の部員だと考えていました。
「フン!」そこへ突然槍を持ったホムンクルスが姿を現しました。
「アイツは……!」ハルナが言いました。
「バケモノニャ……!」キャロラインが言いました。
ハルナが変身しようと身構えました。
そこへ一人の少女が歩いてきました。
「ナツキ……!」キャロラインが言いました。
「ナツキ……?」ハルナが言いました。「彼女が……?」
「キャリー、私はあなたを守る。」そう言ってナツキは腕に装着したマジカルチェンジャーを構えました。「変身。」
その瞬間、ナツキの装着するマジカルチェンジャーから「Change!」の電子音声が発せられ、ナツキが変身しました。
「彼女は……!?」ハルナが言いました。
「ナツキ……。」キャロラインが呟きました。
「フン!」そのホムンクルスが槍を構えました。そしてナツキに向かって走り出しました。「ハアーッ!」
ナツキが黙ってマジカルチェンジャーに指を当てると同時にマジカルチェンジャーから「Fatal Arts」の電子音声が発せられました。
「マジカルパンチ!」そう言ってナツキが向かって来たホムンクルスを魔力を纏った左手で殴りました。
「ウアアアッ……!」ナツキのパンチを受けたそのホムンクルスはふっ飛ばされて校舎の壁に激突しました。
「スゴい……。」ハルナが呟きました。
「ウッ……!ウウッ……!」そのホムンクルスがよろめきながらも体勢を立て直し、ナツキににじり寄りました。
「マジカルソード。」ナツキがそう言うと同時に魔法の剣“マジカルソード”が召喚され、ナツキはそれを手にしました。
「フン……!」そのホムンクルスが槍を構え直しました。
ナツキがそのホムンクルスに向かって走り出しました。
「マジカルマーダー!」ナツキが走りながらそのホムンクルスをマジカルソードで切りつけました。
「ウッ……!ウアアッ……!」ナツキに切りつけられたそのホムンクルスは炎上しながら倒れ込み、そのまま消滅しました。
ナツキは黙って構えを解きました。
「ナツキ……。」キャロラインが言いました。
そこへ生徒会の役員達がナツキの前に姿を現しました。
「ナツキ、この学園でまたその力を使ったな?」一人の役員が口を開きました。
「えっと……。」ハルナは困惑していました。
「彼らは生徒会で、彼は会長のダイキニャ。」困惑するハルナの耳元でキャロラインが囁きました。
「生徒会……。」ハルナが呟きました。
「君の持つその力は許されるものでは無い。」ダイキが言いました。
「別に……あなた達の許しなんて必要無いから……。」ナツキが言いました。
「今すぐその力を放棄するんだ!」ダイキが言いました。「さもなくば……!」
「さもなくば……?」ナツキが言いました。「あなた達に何が出来るって言うの?」
「ナツキ……!」ダイキが言いました。
そこへ一人の女子生徒が走って来ました。
「ナツキ……!」その女子生徒が言いました。
「ミチル……。」ナツキがその女子生徒に対して言いました。
「行こう、ナツキ!」ミチルが言いました。「あの人達とは関わらない方が良いよ!」
「あなたの言う通りね、ミチル。」そう言ってナツキはミチルと共にその場から離れていきました。
「ナツキ……!待て、ナツキ……!」ダイキが言いました。しかしナツキはそのまま去っていきました。
そこへ今度はショウ率いる物理部の生徒達が姿を現しました。
「生徒会の諸君、今日も精が出ることで……。」ショウが言いました。
「アイツは……!」ハルナが言いました。
「ショウ……!」キャロラインが言いました。
「ショウ、何の用だ?」ダイキが言いました。
「別に……。」ショウが言いました。「ただ伝えに来ただけさ。この学園は僕達のモノになるってね。」
「何……?」ダイキが言いました。
「フッフッフッ……!」ショウが不敵な笑みを浮かべなら魔法の瓶を取り出しました。
「何だそれは?」ダイキが言いました。
「フルボトルは知っているかな?」ショウが言いました。「尤もこれはフルボトルでは無いのだが……。そうだな、魔法瓶とでも言っておこうか。」
「魔法瓶だと……?」ダイキが言いました。
「そう!正真正銘の魔法の瓶さ!」そう言ってショウがその瓶を掲げると同時に他の物理部員達が変身しました。
「バカな……!」ダイキが言いました。
「ハッハッハッハッハッ!」ショウが言いました。「君達は魔法の力を排除しようと考えているようだが僕は違う!魔法の力をモノにしたんだ!」
変身した物理部員達が生徒会の役員達を倒していきました。
「さあ、僕に服従するんだ!さもないと命を落とすことになりかねないぞ!」ショウが言いました。「ハッハッハッハッハッハッハッハッ!」
「くっ……!おのれ……!」そう言ってダイキは他の役員達を置いてその場から走り去りました。
「私達も逃げるニャ……!」キャロラインがハルナに言いました。
「でも……!」ハルナが言いました。「このままにはしておけないよ!」
瞬く間に生徒会の役員達を倒し終え、さらにダイキを追いかけようとした物理部員達の前にハルナが立ちはだかりました。
「君か……。一体何者なのかな?」ショウが言いました。「この学校の生徒じゃ無いみたいだが……?」
「変身!」そう言ってハルナがマジカルチェンジャーで変身しました。
「ほう……君も魔法使いか……。」ショウが言いました。
「これ以上誰かを傷つけさせはしないよ!」ハルナが言いました。
「良いだろう。」ショウが言いました。「君は危険そうだ。僕が直々に君の相手をしてあげるよ。」
魔法の瓶の力でショウが変身しました。
「フフフフ……!」ショウが言いました。「君に僕を倒せるかな?」
「マジカルブラスター!」そう言ってハルナは魔法の拳銃“マジカルブラスター”を召喚して構えました。「ハアッ!」
ハルナはマジカルブラスターを撃って魔法弾を放ちました。しかしその瞬間、ショウは素早く横に跳んでハルナの放った魔法弾をかわしました。
「速い……!」ハルナが言いました。
「そんなものかい、君の攻撃は?」ショウが言いました。「だったら今度は僕の番だ!」
ショウが左手から魔法弾を放ってハルナを攻撃しました。
「うわああっ……!」ハルナはショウの放った魔法弾を受けて地面に倒れ込みました。
「フッ……!」ショウが言いました。
「くうっ……!」ハルナが立ち上がろうとしました。しかし立ち上がることが出来ませんでした。
「やれやれ……。」ショウが言いました。「これはこの学校の問題だ。部外者である君が関わるべきじゃない。」
「部外者なワケ無い……!」ハルナが言いました。「私のパートナーを攫っておいて……!」
「君のパートナー……?何のことだ?」ショウが言いました。
「とぼけないでよ……!」ハルナが言いました。
「別にとぼけてなんかいないさ。」ショウが言いました。「いずれにせよ、これ以上邪魔をするようであれば部外者と言えども容赦はしない。大人しく自分の学校へと帰るが良い。」
そして物理部の部員達はその場から去っていきました。
「くうっ……!」ハルナが悔しそうに声を上げました。
「ハルナ……。」キャロラインがハルナの傍に寄りました。
その学校の外でハルナとキャロラインは話をすることにしました。
「ショウ……物凄く強かった……。」ハルナが言いました。
「ショウはレベル7の最上級魔法使いニャ。」キャロラインが言いました。「さらにあの不思議なボトルの力で普通の魔法使いには無い特性を身につけているみたいニャ。」
「普通じゃない特性……?」ハルナが言いました。「確かに速くて、オマケに手から砲弾まで発射してたけど……。」
「きっとあのボトルで変身したからニャ。」キャロラインが言いました。
「うーん……。」ハルナはショウを倒す方法について考えました。
「ナツキならショウを倒せるかも知れないニャ。」キャロラインが言いました。
「ナツキ……。」ハルナが言いました。
「ナツキはレベル8の魔法使いで、敵を倒す度に魔力を回復する特殊能力を持っているのニャ。」キャロラインが言いました。「いくらショウが特異な魔法使いだとしても、ナツキのレベルなら十分勝てる可能性があると思うニャ。さっきの戦いでナツキの魔力が足りないということも無いニャ。」
「それにしても、ナツキは何者なの?生徒会と対立していたみたいだけど……。」ハルナが言いました。「それにあなたとナツキ、一体どういう関係なの?」
「そうニャ……。」キャロラインは考えながら言いました。「この姿を見せるのが一番良さそうニャ。」
次の瞬間、キャロラインの姿がネコのような姿へと変わりました。
「もしかして……!」ハルナが言いました。「あなたは……!」
「そう、私は妖精ニャ。」キャロラインが言いました。「こっちの姿が真の姿ニャ。」
「なるほど……。」ハルナが言いました。「それじゃあナツキとあなたは……。」
「パートナーニャ。」キャロラインが言いました。
「そっか……。」ハルナが言いました。「そうだったんだ……。」
「私とナツキの過去について話すニャ。」キャロラインが言いました。
「うん。」ハルナが言いました。
当時キャロラインは世界の平和を脅かす闇の勢力から自身の身を守るべく、強大な魔力を持った人間のパートナーを探していました。そして目をつけたのがナツキでした。
キャロラインはナツキに会って単刀直入に魔法少女になって自分を守って欲しいと頼みました。始めは戸惑っていたナツキでしたが、最終的には快くキャロラインのパートナーになったのでした。
キャロラインの頼みはあくまでキャロライン自身の身の安全を確保することであり、また闇の勢力もキャロラインを狙って行動を起こすことはありませんでしたので、ナツキが魔法少女として戦う機会はさほどありませんでした。ただ、ナツキとキャロラインは常日頃から行動を共にして友情を育んでいました。
そんなある日、ナツキの通う目白東中学校に一体の怪人が現れました。
ナツキはキャロラインと他の生徒達を守るべく魔法少女に変身してその怪人を倒しました。
キャロラインはナツキの活躍に感謝していました。しかし目白東中学校の他の生徒達はナツキの持つその力を忌み嫌い、ナツキを排除しようと試みたのでした。
そしてナツキは目白東中学校での居場所を失い、キャロラインとも会わなくなって行方を晦ましていたのでした。
キャロラインがハルナにナツキと自身の過去について話し終えました。
「そんなことが……。」ハルナが呟きました。
「そうなのニャ。」キャロラインが言いました。
「ナツキは正義の為に戦っていたのに……。」ハルナが言いました。
「みんなはナツキの力を闇の力と同じくらいに恐れているのニャ。だからこの世界からナツキを排除しようと考えたのニャ。」キャロラインが言いました。
「うん……。」ハルナが言いました。
「確かにナツキの持つ力は強大ニャ。でも、ナツキは邪悪じゃ無いニャ。私の為に戦ってくれたニャ。」キャロラインが言いました。
「ところでなんだけど……。」ハルナが言いました。「ナツキの力を表すのに“レベル”とかいう表現を使ってたよね……?」
「使ったニャ。」キャロラインが言いました。「ナツキはレベル8ニャ。」
「レベルって何……?」ハルナが言いました。
「ニャ……?」キャロラインが言いました。
「その表現よく知らないんだけど……。」ハルナが言いました。
「レベルはレベルニャ。」キャロラインが言いました。「その人の実力を表す表現ニャ。」
「レベル8が最強なの……?」ハルナが言いました。
「えっと……。」キャロラインが言いました。「分かったニャ。レベルについて説明するニャ。」
「助かるよ。」ハルナが言いました。
「戦う力を持つ存在は基本的に1から12までのレベルを持っているのニャ。レベルが高い程強いということになるのニャ。」キャロラインが言いました。
「なるほど……。」ハルナが言いました。
「レベルは先天的なもので後から上げることは難しいのニャ。」キャロラインが言いました。
「そうなんだ。」ハルナが言いました。「それで、レベル12が最強となんだよね?」
「一応そういうことになるニャ。ただし、神に匹敵する力をレベル10としていて、それよりも高いレベルは神をも超える力を持つ存在を表す為に便宜上存在するだけの、まあ、言うなればオマケニャ。」キャロラインが言いました。
「オマケ……。要するに理論上の値ってヤツ……?」ハルナが言いました。
「理論上の話をすれば、神も理論上の存在ニャ。」キャロラインが言いました。「実際のところはレベル8で最強クラスニャ。」
「そういうことか……。」ハルナが言いました。
「私には一目見るだけでその人のレベルを測定する能力があるのニャ。」キャロラインが言いました。
「だからナツキやショウのレベルが分かるんだ。」ハルナが言いました。
「そういうことニャ。」キャロラインが言いました。
「ちなみに、私のレベルはいくつなの?」ハルナが言いました。
「キミはレベルXの魔法使いニャ。」キャロラインが言いました。
「X……?」ハルナが言いました。「10ってこと……?」
「そんなワケ無いニャ。」キャロラインが言いました。「レベル10はあくまでも理論上の存在と言ったハズニャ。」
「じゃあXって何……?」ハルナが言いました。
「Xは未知数ニャ。」キャロラインが言いました。「要するに測定不能のレベルニャ。」
「未知数……?測定不能……?」ハルナが言いました。「つまり測定出来ないくらいに強いってこと……?」
「自分でそう思ってるのニャ?」キャロラインが言いました。「さっきの戦いを忘れたニャ?」
「いや……。」ハルナが言いました。「だからイマイチ要領を得られないんじゃん。」
「レベルXに関しては説明が難しいのニャ。」キャロラインが言いました。「とりあえずキミのレベルは分からないという認識で問題無いニャ。」
「問題無い……のかな……?」ハルナが言いました。「結局私の力じゃどうにもならないの?」
「それは分からないニャ。」キャロラインが言いました。「レベルが分からない以上レベルを比べることは出来ないのニャ。それに上手く戦えばレベルの高い相手に勝つことも夢じゃないニャ。だから最終的にはやってみなくちゃ分からないとも言えるニャ。」
「まあ、そうなるよね。」ハルナが言いました。「だったらやってみるしか無いか……。」
「応援するニャ。」キャロラインが言いました。
そこへナツキがやって来ました。
「キャリー……。」ナツキが言いました。
「ナツキ……!」キャリーが言いました。
「ナツキ……。」ハルナが呟きました。
「別のパートナーを見つけたの?」ハルナを見てキャリーが言いました。
「ち、違うニャ……!」キャロラインが言いました。「この子はその……!」
「ハルナ……。」ハルナが言いました。
「ハルナ……?」ナツキが言いました。
「うん。パートナーを探しにこの学校に来たんだ。」ハルナが言いました。「そしたらキャリーに会って……。」
「なるほど……。」ナツキが言いました。
「そうニャ!」キャロラインが言いました。「私のパートナーはナツキだけニャ!」
「別に、他の子を探してくれても良かったんだけど……。」ナツキが言いました。
「イヤニャ!」キャロラインが言いました。「私はナツキと一緒が良いニャ!」
「私は……。」ナツキが言いました。しかしそれ以上の言葉は出てきませんでした。
「物理部が学校を支配しようとしているみたいだけど……?」ハルナが言いました。
「どうやらそのようね。」ナツキが言いました。「私には関係の無いことだけど……。」
「どうして……?」ハルナが言いました。「このままじゃ、この学校のみんなが……!」
「くっ……!」ナツキが悔しそうに言いました。
「ナツキ……。」キャロラインが言いました。
「とりあえず、キャリーが無事なら問題は無いわ。」ナツキが言いました。「私の勤めはキャリーを守ることだから……。」
「ナツキ……。」ハルナが言いました。
「ハルナ……。」ナツキが言いました。
「何……?」ハルナが言いました。
「物理部の連中は見境無く人を襲っているワケでも無く今のところはどちらかと言えば大人しくしているみたいね。そしてダイキはどこか安全なところに身を隠してる。」ナツキが言いました。
「そうなんだ。」ハルナが言いました。
「変身した物理部の部員達がダイキを探し回っているわ。邪魔さえしなければ襲われることも無いみたいだけど……。まあ、事実上物理部が学校全体を支配していると言っても過言ではない状況よ。」ナツキが言いました。
「うーん……。」ハルナが言いました。
「モチロン他の部の連中は支配されることを快くは思ってない。勝てるハズの無い相手にケンカをふっかけて返り討ちにされる連中もいるわ。」ナツキが言いました。「でも、それはソイツらの自業自得よ。」
「そうなのかも知れない……。」ハルナが言いました。
「ひとまず私はこの状況に手を出すつもりは無い。」ナツキが言いました。「あなたがどう動こうとそれも知ったことでは無いけれど、キャリーを危険な目に遭わせるようなマネは許さないわ。」
「ナツキ……。」キャロラインが言いました。
「私は私のパートナーを見つけなくちゃならない。だから行くよ。」ハルナが言いました。「キャリーが心配なら一緒にいてあげれば良いんじゃないの?」
「それは……。」ナツキが言いました。
「別に大丈夫ニャ。」キャロラインが言いました。「ナツキが一人でいたいって言うなら私はそれでも構わないニャ。」
「キャリー……。」ハルナが言いました。
「ナツキも辛いニャ。そしてきっと私の前で辛さを見せるのはもっと辛いニャ。」キャロラインが言いました。「だから……。」
「とにかく……。」ナツキが言いました。「話は終わりよ。」
ナツキがその場を去っていきました。
「ナツキ……。」ハルナが呟きました。
「学校に戻って生徒達の状況を確かめてみるニャ。」キャロラインがハルナに言いました。
「他の生徒達の状況……。他の部か……。」ハルナが言いました。「物理部に無謀な戦いを挑む子がいるなら、止めなくちゃいけないね。」
「そうニャ!」キャロラインが言いました。
「とりあえず色々な部を見てみよう!」ハルナが言いました。
「分かったニャ!」キャロラインが言いました。
ハルナとキャロラインは校舎に戻って廊下を歩きながら話していました。
「改めて、どの部から見ていくニャ?」キャロラインが言いました。
「物理部と揉め事を起こしそうな部……科学部かな?」ハルナが言いました。
「科学部は廃部になったニャ。」キャロラインが言いました。
「廃部……?」ハルナが言いました。「物理部に潰されたの?」
「違うニャ。」キャロラインが言いました。「と言うか、ナツキによるとそもそも物理部と科学部は仲が良かったみたいニャ。」
「ああ、なるほど……。」ハルナが言いました。「同じ科学系で仲良かったんだ。」
「化学部が廃部になったのは物理部の活動の為に不正軽油を製造して、その時に出た硫酸ピッチを校舎裏に不法投棄したのが原因だそうだニャ。」キャロラインが言いました。
「えっ……?」ハルナが言いました。「ここの生徒達が考えることってやっぱり分からないな……。」
「天才になれなかった人達の哀れな生き方、だそうだニャ。」キャロラインが言いました。
「なるほど……。」ハルナが言いました。
「硫酸ピッチの不法投棄が発覚した際の科学部員達の言い訳は、別に放射性物質を投棄した訳では無いという旨だったそうだニャ。」キャロラインが言いました。
「とても頭が良い人が考えるものとは思えない言い訳だね……。」ハルナが言いました。
「まあ、この話は他の部を回る際の参考にすると良いニャ。」キャロラインが言いました。
「うん……。」ハルナが言いました。
ハルナ達の近くを変身した物理部員が通り過ぎていきました。
「あの人は……。」ハルナが言いました。「物理部の部員だね。」
「ダイキを探しているみたいニャ。」キャロラインが言いました。
「下手に関わると面倒臭そうだけど……。」ハルナが言いました。
「さっきのヤツはレベル1ニャ。簡単に倒せるニャ。」キャロラインが言いました。「物理部はそれなりの人数が集まってるけど、殆ど全員がレベルの低い下級魔法使いニャ。」
「なるほど……。」ハルナが言いました。
「とにかく探索を始めていくニャ!」キャロラインが言いました。
「うん。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは第一実験室の前へとやって来ました。
「ここは物理部の部室ニャ。」キャロラインが言いました
ハルナが第一実験室へと入ろうとしましたが、扉は開きませんでした。
「鍵が掛かってる……?」ハルナが言いました。「当然と言えば当然なのかな。」
「このドアは魔法でロックが掛けられてるニャ。」キャロラインが言いました。「この状態だと突破は殆ど不可能ニャ。」
「まあ、とりあえず今は他の生徒達の安全を優先しよう。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは剣道場へとやって来ました。そこには剣道部の部員達が集まっていました。
「誰だ?」剣道部の部長が言いました。
「私はハルナ。ワケあってこの学校に来たんだけど……。」ハルナが言いました。
「ハルナか……。」剣道部の部長が言いました。「良い目をしている。」
「あ……、ありがとう……。」ハルナが言いました。
「君ならば極意の封印を解くことが出来るかも知れないな。」剣道部の部長が言いました。
「極意……?」ハルナが言いました。
「そうだ。」剣道部の部長が言いました。
「聞いたことあるニャ。」キャロラインが言いました。「剣道部には剣の極意が記された巻物があるらしいニャ。」
「剣の極意……。」ハルナが言いました。
「そうだ。」そう言って剣道部の部長が一つの箱を取り出しました。「巻物はこの箱の中に封印されてている。」
「封印……。」ハルナが言いました。「その箱の中に……。」
その箱には四つの窪みがありました。
「俺達は何年もの間この箱を開けようと努力してきたが、どうやっても開けることが出来ないんだ。」剣道部の部長が言いました。「君にこの箱を開けることが出来るか?」
「えっと……。」そう言ってハルナがその箱を開けようとしてみましたが、その箱は開きませんでした。
「開かないみたいニャ。」キャロラインが言いました。
「うむ……。」剣道部の部長が言いました。「まあ、仕方が無いか……。」
「うん……。」ハルナが言いました。
「だが、また挑戦したくなったらいつでも来て欲しい。」剣道部の部長が言いました。「君ならばいつかきっとこの箱を開けることが出来る、そんな気がする。」
「分かったよ。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは校庭にやって来ました。
「誰もいない……。」ハルナが言いました。「運動部は物理部と仲悪そうだと思ったんだけど……。もうやられちゃった後かな……?」
「今日はサッカー部が校庭を使う日ニャ。」キャロラインが言いました。
「サッカー部ね……。」ハルナが言いました。「活動してないってことはやっぱりキックオフされちゃったのかな?」
「とりあえず部室を見てみるニャ?」キャロラインが言いました。
「ひょっとしたら部室で勉強してるかも知れないしね。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインはサッカー部の部室にやって来ました。そこにはサッカー部員達が深刻そうな顔をして集まっていました。
「君は……?」サッカー部の部長が言いました。「この学校の生徒じゃないみたいだけど……。」
「私はハルナ。ワケあってこの学校に来たんだけど……。」ハルナが言いました。「何か困り事でも……?」
「それが……。」サッカー部の部長が言いました。「恥ずかしい話なんだけど……。」
「言ってみるニャ!」キャロラインが言いました。
「モノを失くしたんだ。」サッカー部の部長が言いました。「大切なモノを……。」
「大切なモノ……?」ハルナが言いました。「それって一体……?」
「像だ。」サッカー部の部長が言いました。
「像……?」ハルナが言いました。
「この部に代々伝わる“黄金の右足像”だよ。」サッカー部の部長が言いました。
「黄金の右足像……?」ハルナが言いました。
「知ってるニャ!」キャロラインが言いました。「サッカー部の部室には右の形をした純金製の像が飾られてるって聞いたことがあるニャ!」
「純金製の像……。」ハルナが言いました。「それって物凄い貴重品だね。」
「ホントに純金で出来てるのか検証はしてないケド……。」サッカー部の部長が言いました。「それが何で出来てるにせよ、この部にとって大切な物なんだ。」
「なるほど……。」ハルナが言いました。
「一刻も早くあの像を見つけ出さないと……。」サッカー部の部長が言いました。「こんな状態じゃサッカーの練習だって出来ないよ。」
「確かにそんな場合じゃないかもね。」ハルナが言いました。
「とは言うものの、今は物理部の連中がなんかやってるし……。」サッカー部の部長が言いました。「不審な動きをするのはマズい気がするんだよね。」
「まあ、今の状況でモノ探しするのは危険だね。」ハルナが言いました。「アイツらに目をつけられると大変だよ。」
「ああ。」サッカー部の部長が言いました。「なかなかに困った状況だ。」
「大丈夫!」ハルナが言いました。
「えっ……?」サッカー部の部長が言いました。
「もしその像を見つけたら持ってきてあげるよ!」ハルナが言いました。
「ああ、ありがとう。」サッカー部の部長が言いました。
「ハルナに任せるニャ!」キャロラインが言いました。
「ああ。」サッカー部の部長が言いました。「それじゃあとりあえずよろしく。」
ハルナとキャロラインは美術室をにやって来ました。そこでは美術部の部員達が絵を描いていました。
「おや……?」美術部の部長が言いました。「誰かな?」
「私はハルナ。ワケあってこの学校に来たんだけど……。」ハルナが言いました。
「うーん……。」美術部の部長が言いました。
「ん……?」ハルナが言いました。
「顔立ちは悪くないけど、絵画のモデルとしては上品さに欠けるな。」美術部の部長が言いました。
「そりゃあ、私はどちらかと言えば下品だからね。」ハルナが言いました。「下品過ぎて国立の学校には通えなかったんだ。」
「まあ良い。」美術部の部長が言いました。「ここで会ったのも何かの縁だ。少し頼まれごとをして貰えないだろうか?」
「絵のモデルも出来ない私に何が出来ると思う?」ハルナが言いました。
「実は我が部に代々伝わる芸術作品が無くなってしまったんだ。」美術部の部長が言いました。「それを探して貰いたい。」
「ああ。」ハルナが言いました。「モノ探しに品性は関係無いもんね。」
「そうだな。」美術部の部長が言いました。
「分かったよ。」ハルナが言いました。「そこまで言うなら探してきてあげるよ。あなた達はここでのんびり上品な絵を描いてて良いよ。」
「ありがとう。」美術部の部長が言いました。
ハルナとキャロラインは将棋部の部室にやって来ました。そこでは将棋部の部員達が将棋を指していました。
「君は……?」将棋を指していた将棋部の部長がハルナに言いました。
「十秒。」将棋部の部長と対局していた部員が言いました。
「私はハルナ。ワケあってこの学校に来たんだけど……。」ハルナが言いました。
「二十秒。」その部員が言いました。「一、二、三……。」
「おい、待て。」将棋部の部長がその部員に言いました。
「待ったは無しだ。」その部員が言いました。
「おのれ……!時間切れで負けるくらいなら、自ら命を絶ってくれるわ!」そう言って将棋部の部長が歩の駒を打ちました。
「二歩だと……!?」その部員が言いました。
「二歩……。」ハルナが言いました。
「禁じ手ニャ。」キャロラインが言いました。「それを行った瞬間、その棋士は敗北となるニャ。」
「禁じ手により自ら敗北の道を選ぶとは、何というヤツだ……。」その部員が言いました。
「この対局、俺の負けだ。」将棋部の部長が言いました。「だが覚えておけ、真の意味でお前が俺の勝つことは不可能であると。」
「くっ……!」そう言ってその部員は離れた位置へと移動していきました。
「それで、何の用だ?」将棋部の部長がハルナに言いました。
「えっと……何だっけ……?」ハルナが言いました。
「何か困り事でも無いかニャ?」キャロラインが言いました。
「そんなこと聞きに来たんだっけ?」ハルナが言いました。
「まあ、聞いておいて損は無いのニャ。」キャロラインが言いました。
「困り事か……。」将棋部の部長が言いました。「ならば丁度良い。」
「何か困ってるの?」ハルナが言いました。「ひょっとして物理部の連中に……?」
「誰の仕業かは知らんが、この部に代々伝わる王将の駒が無くなってしまったんだ。」将棋部の部長が言いました。
「王将の駒……。」ハルナが言いました。
「対局用の駒では無くただの飾りなのだが、やはり物が無くなるというのは良くないからな……。」将棋部の部長が言いました。
「それを探して欲しいと……?」ハルナが言いました。
「もし見つけたらで良いから、知らせて欲しい。」将棋部の部長が言いました。
「分かったよ。」ハルナが言いました。
「だが……。」将棋部の部長が言いました。
「だが……?」ハルナが言いました。
「その王将の駒を見つけても決して取ってはならないぞ。」将棋部の部長が言いました。「あくまで位置を教えてくれればそれで良い。」
「何で?」ハルナが言いました。「どうせならここまで届けた方が手っ取り早いのに……。」
「理由は一つ、我々の世界において打ち歩詰めは禁じ手になるからだ。」将棋部の部長が言いました。
「打ち歩詰め……?」ハルナが言いました。
「歩を打って敵にトドメを刺すことニャ。」キャロラインが言いました。
「要するに、私以外の人がその王将を取らないといけないんだ。」ハルナが言いました。
「そういうことだな。」将棋部の部長が言いました。
「なるほど……。」ハルナが言いました。「それじゃあその王将を見つけたら連絡するよ。」
ハルナとキャロラインは天文部の部室にやって来ました。そこでは天文部の部員達がお喋りをして過ごしていました。
「おや、誰だ……?」天文部の部長が言いました。
「私はハルナ。ワケあってこの学校に来たんだけど……。」ハルナが言いました。
「ほう……。」天文部の部長が言いました。「何か手伝えることがあれば手を貸すよ。どうせ夜まで活動は無いし……。」
「そう言えば夜中に活動する部ってなんか良いね。」ハルナが言いました。「今まで気がつかなかったけど、天文部って割と神かも……。」
「まあ、活動自体稀だけど……。」天文部の部長が言いました。「それで、手伝って欲しいことって何……?」
「ネコ探し、かな……?」ハルナが言いました。
「ネコは見てないな……。」天文部の部長が言いました。
「そっか……。」ハルナが言いました。「まあ、そうだよね。」
「探し物と言えば、どっかで天体写真儀を見なかった?」天文部の部長が言いました。
「天体写真儀……?」ハルナが言いました。
「望遠鏡ニャ。」キャロラインが言いました。
「とは言ってもミニチュアなんだけど……。」天文部の部長が言いました。
「そのミニチュアが無くなったの?」ハルナが言いました。
「うん……。」天文部の部長が言いました。「この部に代々伝わる物なんだけど、無くなっちゃって……。」
「なるほど……。」ハルナが言いました。「もし見つけたら届けてあげるよ。」
ハルナとキャロラインはとある教室にやって来ました。その教室の教壇に黄金の右足像が置かれていました。
「あっ、アレ……!」ハルナが言いました。
「黄金の右足像ニャ!」キャロラインが言いました。
「アレが……。」ハルナが言いました。
「持っていくニャ!」キャロラインが言いました。
「うん!」ハルナが言いました。
そこへ一人の物理部員が現れました。
「あっ……!」ハルナが言いました。
「現れたニャ……!」キャロラインが言いました。
「戦うしか無さそうだね。」ハルナが言いました。
「ヤツはレベル5の上級魔法使いニャ!」キャロラインが言いました。「油断は禁物ニャ!」
「うん!」ハルナが言いました。「変身!」
変身したハルナとその物理部員が対峙しました。
その物理部員がハルナに殴り掛かりました。ハルナはその物理部員のパンチを腕で防ぎました。
その物理部員は連続でパンチを繰り出しました。ハルナはその物理部員の攻撃を防ぎつつ、そのスキを突いてパンチを繰り出しました。
ハルナはその物理部員が怯んでいる間にフェイタルアーツを発動しました。
「マジカルキック!」そう言ってハルナがその物理部員に跳び蹴りを浴びせました。
その物理部員が変身を解除すると同時にメダリオンを落としました。
「これは……?」ハルナは竜のメダリオンを手に入れました。
さらにハルナは黄金の右足像を手に入れました。
ハルナとキャロラインはサッカー部の部室にやって来ました。
「見つけてきたよ。」そう言ってハルナは黄金の右足像を見せました。
「おお、これは……!」サッカー部の部長が言いました。
ハルナはサッカー部の部長に黄金の右足像を渡しました。
「ありがとう!」サッカー部の部長が言いました。
「良いんだよ。」ハルナが言いました。
その頃、その少年はとある部屋にいました。その部屋の中央にはカーターがいました。
「くうっ……!動けない……!」そう言ってカーターはもがいていました。
「俺の魔法で君の力は封じられている。」その少年が言いました。「大人しくしていて貰おう。」
ハルナとキャロラインはとある教室にやって来ました。その教室の教壇に芸術作品が置かれていました。
「アレは……?」ハルナが言いました。「もしかして……。」
「芸術作品ニャ!」キャロラインが言いました。
「でも、あまり上品には見えないな。」ハルナが言いました。
「前衛ニャ。」キャロラインが言いました。
「とりあえず回収しておこうか。」ハルナが言いました。
そこへ一人の物理部員が現れました。
「あっ……!」ハルナが言いました。
「現れたニャ……!」キャロラインが言いました。
「戦うしか無さそうだね。」ハルナが言いました。
「ヤツはレベル5の上級魔法使いニャ!」キャロラインが言いました。「油断は禁物ニャ!」
「うん!」ハルナが言いました。「変身!」
変身したハルナとその物理部員が対峙しました。
その物理部員がハルナに殴り掛かりました。
ハルナはその物理部員のパンチをかわして、その物理部員にキックを浴びせました。
ハルナの攻撃を受けて怯んだその物理部員が教団の上に置いてあるその芸術作品にぶつかってしまい、その芸術作品が壊れてしまいました。
「あっ……。」ハルナが言いました。
体勢を立て直したその物理部員がハルナに魔法弾を放ちました。
ハルナは素早く横に転がって飛んできた魔法弾をかわしました。
「これ以上長引かせないよ!」そう言ってハルナはフェイタルアーツを発動しました。
その物理部員がハルナに向かって走り出しました。
「マジカルキック!」ハルナがその物理部員に跳び蹴りを浴びせました。
その物理部員が変身を解除すると同時にメダリオンを落としました。
「これは……?」ハルナは虎のメダリオンを手に入れました。
「壊れちゃったニャ。」キャロラインがその芸術作品を手に言いました。
「ま、仕方無いよ。」そう言ってハルナはその芸術作品を手に入れました。
ハルナとキャロラインは美術室にやって来ました。
「はい、これ。」そう言ってハルナはその芸術作品を見せました。「ちょっと壊れちゃったケド……。」
「素晴らしい!」美術部の部長がその芸術作品を見て言いました。「前よりもずっと良くなっている!」
「えっ……?」ハルナが言いました。
「みんなもそう思うだろう?」美術部の部長がそう言うと同時に他の美術部員達が一斉に頷きました。
ハルナはその芸術作品を美術部の部長に渡しました。
「ありがとう!」美術部の部長が言いました。
「うん。」ハルナが言いました。
「もしよければ、絵のモデルになってくれないか?」美術部の部長が言いました。「君がモデルならきっと良い絵が描けると思うんだ。」
「やめとくよ。」ハルナが言いました。
「そうか……。」美術部の部長が言いました。「残念だけど、諦めよう。」
ハルナとキャロラインは廊下を歩いていました。
「そう言えば……。」ハルナがキャロラインに言いました。「ナツキは何部なの……?」
「新聞部ニャ。」キャロラインが言いました。「昔の話だけどニャ……。」
「新聞部……。」ハルナはナツキの毒舌ぶりに納得した気がしました。
「メディアに憧れて入部したみたいニャ。とは言うものの、メジャーな話題に関する記事は書かせて貰えて無かったみたいニャ。」キャロラインが言いました。
「なるほどね……。」ハルナが言いました。「それはそうと、自主自立の学園なら新聞部も色々な記事を書けたんじゃないかな?」
「そんなことは無かったみたいニャ。」キャロラインが言いました。「新聞部の活動は先生達によってかなり制限されていたみたいニャ。」
「そうなんだ……。」ハルナは妙に納得したような気持ちで言いました。「やっぱそういうもんだよね。」
「それでも新聞部の部員達は報道の自由を主張して先生達とは対立していたみたいニャ。」キャロラインが言いました。
「それで廃部とかにはならなかったの……?」ハルナが言いました。
「廃部になったニャ……。」キャロラインが言いました。
「ああ、やっぱり……?」ハルナが言いました。
「化学部の話は覚えているニャ?」キャロラインが言いました。
「硫酸ピッチを不法投棄して廃部になった話なら……。」ハルナが言いました。
「アレは一応この学校始まって以来の大事件だったニャ。」キャロラインが言いました。「だから新聞部の部員達も張り切ってその事件を記事にしたニャ。」
「始めから隠蔽出来るような事件でも無いんだし、問題無いんじゃないの?」ハルナが言いました。
「書き方が問題だったニャ。暴投棄という見出しで若干茶化した風な内容で記事を書いたのニャ。」キャロラインが言いました。「その書き方が先生達の機嫌を損ねたらしくて、最終的に廃部になったみたいニャ。」
「気負い過ぎて空回りしちゃったんだ……。」ハルナが言いました。
「その記事にナツキは絡んでなかったみたいだけど、ナツキも物凄く怒ってたニャ。この学校の先生達は自主自立の言葉を自分達の都合の良いように利用して、いざ都合が悪くなったらその言葉を無かったことにする卑怯者だと罵っていたニャ。」キャロラインが言いました。
「なるほど……。」ハルナが言いました。「まあ、この学校の生徒達が権力に憧れる理由も分かる気がしてきたよ。」
「ちなみに、余談になっちゃうけど、その記事のせいでただでさえ人の少なかった野球部は無駄にイメージを落として結果として廃部になったニャ。」キャロラインが言いました。
「野球部……基本的にメジャーな部なのにね……。」ハルナが言いました。
「一般的な野球部は硬式ニャ。でも、この学校ではケガのリスクが高い硬式球は禁止されてて軟式野球をやっていたニャ。」
「暴投で毎回デッドボールでも安心だね。」ハルナが言いました。
「とにかく、探索を続けようニャ。」キャロラインが言いました。
「うん。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインはとある教室にやって来ました。その教室の教壇に王将の駒が置かれていました。
「アレは……。」ハルナが言いました。
「王将の駒ニャ!」キャロラインが言いました。「将棋部の人に教えてあげるニャ!」
「うん。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは将棋部の部室にやって来ました。
「ハルナか。」将棋部の部長が言いました。「王将の駒が見つかったのか?」
「うん。」ハルナが言いました。「ついてきて。」
ハルナとキャロラインは将棋部の部長と共にその教室へとやって来ました。
「あそこニャ!」キャロラインが言いました。
「おお!」将棋部の部長が言いました。「あれぞまさしく我が部に代々伝わる王将の駒!」
そこへ一人の物理部員が現れました。
「お前は……!?」将棋部の部長が言いました。
「物理部の部員ニャ!」キャロラインが言いました。「レベルは5……強敵ニャ……!」
「どうやら戦うしか無さそうだね……!」ハルナが言いました。「変身!」
ハルナが変身しました。
「変身した……!?」将棋部の部長が言いました。「歩がと金になったということか……!」
その物理部員がハルナに殴り掛かりました。ハルナはその物理部員のパンチを防ぎ、逆にパンチを繰り出しましたがその物理部員に防がれてしまいました。
ハルナとその物理部員はお互いのパンチを防ぎ合って戦いました。
「このスキに王将を……!」そう言って将棋部の部長がその王将の駒に近づきました。
その瞬間、その物理部員が将棋部の部長に向けて魔法弾を放ちました。
「うおっ……!?」将棋部の部長が間一髪で飛んできた魔法弾をかわしました。
「大丈夫……!?」その物理部員にパンチを浴びせたハルナが言いました。
「くっ……!」将棋部の部長はすっかり怖気づいてしまいました。「どうやら分が悪いようだな……!」
将棋部の部長が走ってその教室から出ていきました。
「まるで飛車だね。」ハルナが言いました。
ハルナのパンチを受けて怯んでいたその物理部員が体勢を立て直しました。
「そろそろ詰ませて貰うよ。」ハルナはフェイタルアーツを発動しました。
その物理部員がハルナに向けて魔法弾を放ちました。ハルナはジャンプしてその魔法弾をかわしました。
「マジカルキック!」ハルナはそのままその物理部員に跳び蹴りを浴びせました。
その物理部員が変身を解除すると同時にメダリオンを落としました。
「これは……?」そう言ってハルナは亀のメダリオンを手に入れました。
「駒はどうするニャ?」キャロラインが言いました。
「こうなったら私が持っていこう。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは将棋部の部室にやって来ました。
「はい、これ……。」そう言ってハルナはその王将の駒を見せました。
「おお、持ってきてくれたか。」将棋部の部長が言いました。
「私が取ってきたけど、この際良いよね?」ハルナが言いました。
「うむ……。」将棋部の部長が言いました。「打ち歩詰めは禁じ手だが、突き歩詰めならまあ問題は無いだろう。」
「それにハルナはと金ニャ!」キャロラインが言いました。
「と金ってのもどの道パッとしないよね……。」ハルナが言いました。
「気にしちゃダメニャ!」キャロラインが言いました。
「とにかく、ありがとう。」将棋部の部長が言いました。
一人の物理部員が廊下を歩いていました。その様子をダイキが陰から窺っていました。
「おのれショウ……!」ダイキが呟きました。「この僕に牙を向くなんて……!」
ハルナとキャロラインはとある教室にやって来ました。その教室の教壇に星霜のアストログラフが置かれていました。
「アレは……?」ハルナが言いました。
「天体写真儀ニャ!」キャロラインが言いました。
「天体写真儀……。」ハルナが言いました。
そこへ一人の物理部員が現れました。
「あっ……!」ハルナが言いました。
「現れたニャ……!」キャロラインが言いました。
「戦うしか無さそうだね。」ハルナが言いました。
「ヤツはレベル5の上級魔法使いニャ!」キャロラインが言いました。「油断は禁物ニャ!」
「うん!」ハルナが言いました。「変身!」
変身したハルナとその物理部員が対峙しました。
その物理部員がハルナに殴り掛かりました。ハルナはその物理部員がパンチを繰り出す前にキックを浴びせました。さらにハルナは怯んだその物理部員に連続でキックを浴びせました。そしてハルナはフェイタルアーツを発動しました。
「マジカルキック!」ハルナはその物理部員に跳び蹴りを浴びせました。
その物理部員が変身を解除すると同時にメダリオンを落としました。
「これは……?」そう言ってハルナは鳥のメダリオンを手に入れました。
さらにハルナは星霜のアストログラフを手に入れました。
ハルナとキャロラインは天文部の部室にやって来ました。
「探していたのはこれであってる?」そう言ってハルナが星霜のアストログラフを見せました。
「おお、それだよ!それそれ!」天文部の部長が言いました。
「はい、どうぞ。」そう言ってハルナが星霜のアストログラフを天文部の部長に渡しました。
「ありがとう!」天文部の部長が言いました。「助かったよ。」
ハルナとキャロラインは剣道場を訪れました。
「また挑戦する気になったか?」剣道部の部長が言いました。
「うん。」ハルナが言いました。
「今度こそ極意の封印を解けると良いが……。」そう言って剣道部の部長がその箱を出しました。
ハルナは物理部の部員達との戦いで手に入れたメダリオンをその箱の窪みにはめました。するとその箱が開き中から巻物が出てきました。
「これは……!」剣道部の部長がその巻物を手にしました。
「その巻物に剣の極意が……?」ハルナが言いました。
「どれどれ……。」剣道部の部長がその巻物に記されている文を読みました。「最強の剣は混沌より生まれる。」
「どういう意味……?」ハルナが言いました。
「分からない。」剣道部の部長が言いました。「だが、修行を続けていればいつかこの文の意味が分かるかも知れない。」
「どうだろうね。」ハルナが言いました。
「ひとまず俺の見込み通り君は極意の封印を解いてくれた。」剣道部の部長が言いました。「ありがとう。」
ハルナとキャロラインは第一実験室の前にやって来ました。
「鍵が開いてる……。」第一実験室の扉に手を掛けながらハルナが言いました。
「どうやら魔法が解除されたみたいニャ。」キャロラインが言いました。
「誘っているの……?」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは第一実験室に入りました。
「カーター、ここにいるの?」ハルナが言いました。
次の瞬間、陰から物理部の副部長が姿を現しました。
「コイツは……!?」ハルナが言いました。
「レベル6の魔法使いニャ……!」キャロラインが言いました。
「変身!」そう言ってハルナは変身しました。
そこへ他の物理部員達が入って来ました。
ハルナは次から次へと入ってくる物理部員達をパンチやキックで倒していきました。その間に物理部の副部長が徐々にハルナに近づいてきました。
物理部の副部長がハルナにパンチを浴びせました。
「うあっ……!」物理部の副部長の攻撃を受けてハルナが怯みました。
物理部の副部長は怯んだハルナを蹴り飛ばしました。
「ううっ……!」ハルナが立ち上がりました。
物理部員達がハルナに殴り掛かりました。
ハルナは近づいてきた物理部員達を殴り倒しました。
「マジカルブラスター!」ハルナがマジカルブラスターを構えて、物理部の副部長を撃ちました。
物理部の副部長が怯みました。ハルナはマジカルブラスターを放ってフェイタルアーツを発動しました。物理部の副部長はゆっくりと体勢を立て直しました。
「マジカルキック!」ハルナが跳び蹴りを繰り出しました。
それと同時に物理部の副部長も跳び蹴りを繰り出しました。
殆ど同時に跳び蹴りを繰り出したハルナと物理部の副部長でしたが、ハルナの方が高くジャンプしていたこともあり、ハルナの跳び蹴りが物理部の副部長に直撃ました。
物理部の副部長はそのまま床に叩きつけられ、変身を解除しました。そして物理部員はそれ以上入って来なくなりました。
「ここにいたのはコイツだけ……?」ハルナが物理部の副部長を見ながら言いました。「カーターは……?」
そこへショウが入って来ました。
「やあ。」ショウが言いました。
「ショウ……!」ハルナが言いました。
「副部長を倒したみたいだね。」ショウが言いました。「君は関わるべきでは無いと言ったハズだが……?」
「私は私のパートナーを探しているだけだよ!」ハルナが言いました。
「君のパートナーのことなんてホントに知らないんだけどね。」ショウが言いました。「でも、ここまで邪魔されて今更君を見逃す程僕も甘くは無い。」
「決着をつける?」ハルナが言いました。
「ああ。」ショウが言いました。「屋上に来るんだ。そこで決着を着けようじゃないか。」
そう言ってショウは部屋を出ました。
「行こう、キャリー。」ハルナが言いました。
「分かったニャ。」キャロラインが言いました。
ハルナとキャロラインは屋上へとやって来ました。そこにはショウがいました。
「ショウ……!」ハルナが言いました。
「それじゃあ始めようか。」そう言ってショウは魔法の瓶を構えました。「変身。」
ショウが変身しました。
「変身!」そう言ってハルナも変身しました。
ハルナがマジカルブラスターを構えました。
「フフフ、君の攻撃など通用しない。」ショウが言いました。
ハルナがマジカルブラスターを撃った瞬間、ショウは横に跳んでハルナの放った魔法弾をかわしました。
「ハアッ!」ショウが魔法弾を放ってハルナを攻撃しました。ハルナは体を逸らしてショウの攻撃をかわしました。
ハルナがマジカルブラスターを構え直しました。その瞬間、ショウは素早く跳んでハルナの前から姿を消しました。
「ハハハハハッ、どこを狙っている?」ショウが言いました。「もうそこに僕はいないよ。」
ハルナがマジカルブラスターをショウに向け直しました。しかしその瞬間にまたショウは移動しました。
「君に僕は倒せない。」ショウが言いました。「ハアッ!」
「うあっ……!」ハルナはショウの放った魔法弾を受けてふっ飛ばされました。
「フッ……!」ショウが不敵な笑みを浮かべました。
「くうっ……!」ハルナがよろめきながら立ち上がりました。
「ハハハハッ!」ショウは笑いながらハルナの周囲を跳び回り、ハルナを翻弄しました。ハルナはショウを捉えることが出来ず、反撃することが出来ませんでした。
「これでどうかな?」そう言ってショウが再び魔法弾を放ってハルナを攻撃しようとしました。
「ハアッ!」その瞬間、ハルナがショウよりも早く魔法弾を放ってショウを攻撃しました。
「ウアッ……!」ハルナの攻撃を受けたショウが怯みながら後退しました。「くっ……!」
「やったニャ!」キャロラインが言いました。
「僕を怒らせたね……?」体勢を立て直しながらショウが言いました。「きっと今の攻撃を後悔することになるぞ……!」
ハルナがマジカルブラスターを構え直しました。
次の瞬間、ショウが素早く左右に跳びながらハルナへと近づいていきました。そしてハルナに近づいたショウはハルナの持つマジカルブラスターを叩き落としてハルナにパンチを繰り出しました。
ハルナは次々と繰り出されるショウのパンチを後ろに下がりながらかわしていきました。
「ハアッ!」ショウの攻撃のスキを突いてハルナがパンチを繰り出しました。
「ウッ……!」ハルナのパンチを受けたショウが怯みながら後退しました。
「ハアアッ!」ハルナが続けてキックを繰り出しました。
「ウアアアッ……!」ハルナのキックを受けてショウはふっ飛ばされました。
「ハアーッ!」ハルナが倒れ込んでいるショウに向かって走り出しました。
「くうっ……!」ショウがよろめきながら立ち上がりました。「ハアッ!」
ショウの放った魔法弾がハルナに向かって飛んでいきました。
「フッ!」ハルナは走りながら前に転がってショウの放った魔法弾をかわし、さらに地面に落ちたマジカルブラスターを拾い上げて構えました。
「なっ……!」ショウが動揺した様子を見せました。
「マジカルショット!」ハルナが魔法散弾を放ってショウを攻撃しました。
「ウアアアアッ……!」ハルナの放った魔法散弾を受けたショウが叫び声を上げながら後ろに倒れました。
ショウの持っていた魔法の瓶が地面の上を転がりました。
「ううっ……!」ショウの変身が解除されました。「まさか……この僕が負けるなんて……!」
「私のパートナーについて知っていることを話して。」ハルナが言いました。
「知らないって言っているだろう……?」ショウが言いました。「僕は君のパートナーなんかに興味は無い。ただ、魔法の力を使いたかっただけさ……!」
「その為に私のパートナーを攫ったんじゃないの?」ハルナが言いました。
「いいや……。そんなことする必要は無かったさ、僕の実力を以ってすればね……。」ショウが言いました。
ハルナは黙っていました。
「ナツキの力を見た時思ったんだ……僕ならアレと同じ力を操れるとね……。」ショウが言いました。「そして実際にそれが出来た……。でも、君には敵わなかったよ……。フフフ……。」
「どうやらホントに知らなさそうだね……。」ハルナが言いました。
「私もそう思うニャ。」キャロラインが言いました。
「だったらもうここに用は無いか……。」そう言ってハルナはキャロラインと共にその場から離れようとしました。
「待て……!」ショウが言いました。
ハルナとキャロラインが足を止めてショウの方を向きました。ショウは地面に転がっていた魔法の瓶を拾い上げて体を起こしました。
「まだ終わってはいないぞ……!」ショウが言いました。
「何を言っているの?」ハルナが言いました。「あなたの魔力は既にゼロだよ?」
「魔法瓶にはもう一つの力がある……!」ショウが言いました。「使用者の魔力がゼロになった時に一度だけ使用者を再変身させ、攻撃を行うことが出来るんだ!」
ショウが変身して真っ直ぐハルナに跳びかかりました。
「これが最後の一撃だ!」ショウが言いました。
「フッ!」ハルナが凄まじいスピードで向かってくるショウに向けてマジカルブラスターを構えました。「ハアッ!」
「ウアッ……!」ハルナの攻撃を受けたショウがふっ飛ばされて地面の上を転がり、ショウの変身が再び解除されました。そしてショウはそのまま動かなくなりました。
ハルナの足元にショウの持っていた魔法の瓶が転がってきました。ハルナはため息をついて変身を解除し、魔法の瓶を拾い上げました。
そこへダイキがゆっくりと手を叩きながら姿を現しました。
「あなたは……!」ハルナが言いました。
「ダイキ……!」キャロラインが言いました。
「素晴らしい。」ダイキが言いました。「ショウを排除してくれるとは……。」
ハルナは黙ってダイキを見つめました。
「君はうちの生徒では無いな。国立の生徒でも無い。」ダイキが言いました。「生徒会室に来てくれ。君に感謝の気持ちを伝えたいんだ。」
「えっと……うん……。」ハルナが言いました。
「油断はしない方が良い。」ダイキが言いました。「ショウを倒したが、そのボトルの力が失われていなければ残った部員達は変身したままだ。出くわせば戦いになるだろう。」
「確かにそのボトルからはまだ力が感じられるニャ。」キャロラインが言いました。
「もしそうならこのボトルの力を止めたいところだけど、私には止め方が分からないかも……。」ハルナが言いました。
「とにかく気をつけることだ。」ダイキが言いました。「僕は先に行って待ってる。」
ダイキがその場を去りました。
その少年はカーターに掌をかざしました。カーターはその少年によって魔法を封じられており、どうすることも出来ずにいました。
その瞬間、カーターを中心に魔法陣が生成され、何かが起ころうとしましたが、その魔法陣はすぐに消え去り、結局何も起こりませんでした。
「妖精の魔力でも無理か……。」その少年が呟きました。
「一体何を企んでいるんだ!?」カーターは言いました。「ボクを生贄に何かしようとしてたな?」
その少年は黙っていました。
その少年とカーターの様子を少し離れたところからミチルが見ていました。
ミチルの元へナツキがやって来ました。
「何をやっているの?」ナツキがミチルに訊ねました。
「分からない。」ミチルが言いました。
「ナツキ……。」その少年がナツキに気付きました。「来ていたのか。」
「そうね、アラタ。今来たところよ。」ナツキが言いました。「何をしているの?」
「儀式さ。」アラタが言いました。
「儀式……?」ナツキが言いました。
「ダイキ達は君のことを排除しようと考えている。」アラタが言いました。「その内君を倒す方法を見つけ出し、君のことを殺そうとするに違いない。だから更なる対抗策を練っているんだ。」
「そんなことする必要無いよ。」ミチルが言いました。「連中に関わらなければ……。」
「本当にこのままで良いと思っているのか、ミチル?」アラタが言いました。「ナツキは何も悪くないんだぞ?それなのにアイツらは……!」
「でも……!」ミチルが言いました。「だからと言って……。」
「それで、対抗策って何?」ナツキが言いました。「何の儀式を行おうとしているの?」
「ブレード・オブ・カオスを生成する。」アラタが言いました。
「ブレード・オブ・カオスだって……!?」カーターが口を開きました。
「ブレード・オブ・カオス……?」ナツキが言いました。
「あらゆる物を破壊するとされる伝説の剣さ。」アラタが言いました。「その力さえあれば連中はナツキに手出し出来ない。」
「伝説の剣……。」ナツキが言いました。
「ブレード・オブ・カオスを生成するには特別な生贄がいる。」アラタが言いました。「その生贄が見つからないんだ。」
「そんな武器、ナツキには必要無いよ!」ミチルが言いました。「だって……!」
「俺はこのまま連中の思い通りになるなんて許せない……!」アラタが言いました。「ナツキは何も悪くないのに、アイツらは……!」
「アラタ……!」ミチルが言いました。
「私の心配なんてする必要は無い。」ナツキが言いました。
「ナツキ……!」アラタが言いました。
「私にはどうすることも出来ないから……。」ナツキが言いました。
「ナツキ……。」ミチルが言いました。
「その妖精は必要無いんでしょ?」ナツキが言いました。「だったら解放してあげて。今の私の願いはそれだけよ。」
「分かった……。」アラタが言いました。「でも、ブレード・オブ・カオスは必ず作り上げる。それが俺の正義だ。」
ハルナとキャロラインは生徒会室にやって来ました。そこにはダイキの他に生徒会を支持する生徒達が集まっていました。
「来てくれたか。」ダイキが言いました。
「うん……。」ハルナが言いました。
「諸君!」ダイキが集まっている生徒達に向かって言いました。「彼女は魔法使いだ。彼女がショウを倒してくれた!」
集まっている生徒達は表情を変えずに黙ってダイキの話に耳を傾けていました。
「今からこの場で彼女の持つ力の運用方法について話し合おう!」ダイキが言いました。
「えっ……?」ハルナが言いました。「どういうこと……?」
「君の持つ力は素晴らしい。」ダイキがハルナに言いました。「だからこそ僕達はその力の使い方を考えなければならないんだ。」
「私の力の使い方……?」ハルナが言いました。
「そうだ。」ダイキが言いました。「素晴らしい力はみんなの為に存在する。君もそう思うだろう?」
「うん……。」ハルナが言いました。
「みんなの為に存在する力の使い方はみんなで決めなければならない。そうだろう?」ダイキが言いました。「だからこの場で決めるのさ、みんなの意見を聞いてね。」
「でも……。」ハルナが言いました。
「君は難しいことを考える必要は無い。」ダイキが言いました。「難しいことは僕達が考えてあげるよ。君はみんなで決めたことをみんなの為に実行してくれれば良いんだ。分かり易いだろう?」
「私は……私のパートナーを探さなくちゃいけないし……。」ハルナが言いました。
「僕達の言う通りにしてれば君のパートナーもすぐに見つかるさ。」ダイキが言いました。
「どうして……?」ハルナが言いました。
「世の中はそういう風に出来てるからさ。」ダイキが言いました。「みんなの為に君が頑張れば、みんなだって君の為に力を貸してくれる。そうなれば君だって幸福になれるさ、みんなと一緒にね。」
「下手な理屈だね。」ハルナが言いました。
「そう思うのは君が僕の話をちゃんと理解出来ていないからさ。」ダイキが言いました。「もう一度話すからよく聞いてみて。」
「私のことを甘く見るのは勝手だけど、私はあなたの支配は受けないよ。」ハルナが言いました。
「支配するとか支配されるとかそういう考え方は良くないよ。それは君も分かっているハズでしょ?僕達は別に君のことを支配したいと思っている訳じゃない。僕達はただ君の力が正しく使われることを願っているだけなんだ。」ダイキが言いました。「これは君の為なんだよ。」
「あなたの狙いは私にナツキを倒させることだよね?」ハルナが言いました。
「別にそんなこと思っちゃいない。僕達はただ平和を望んでいるだけさ。」ダイキが言いました。「そりゃあナツキが世界の平和を脅かすような行動に出れば排除しなければならないと思うけど、そうなったら君だって同じことを思うだろう?」
「じゃあ、あなた達は私に何を望むの?」ハルナが言いました。
「それを今から話し合おうとしているんじゃないか。」ダイキが言いました。「ほら、そんな風に人を疑ったりせずに、もっとゆっくりと人の話を聞いてみても良いんじゃないかな?」
「嫌だ。」ハルナが言いました。「私は用事があるから、行かなくちゃ……。」
ハルナがキャロラインの手を引きその部屋を出ようとしました。
「そうはいかない!」ダイキがそう言ったその瞬間、集まっていた生徒達がハルナとキャロラインを囲みました。
「ニャアアッ……!」キャロラインが生徒達に捕まりました。
「キャリー……!」そう言ったハルナも生徒達に捕まえられてしまいました。
「大人しく僕達の言うことを聞いてくれれば良かったんだが、手っ取り早い方法を試すとしよう。」そう言ってダイキがハルナの頭に謎の装置を被せました。ハルナはその装置を外そうともがきましたが、他の生徒達に捕まっていて身動きが取れずにいました。
「その装置は何ニャ……!?」キャロラインが言いました。
「これは精神を破壊する装置さ!」ダイキが言いました。「聞こえているかな?今からこの装置を使って君の精神を壊してやろう。」
その装置を被せられたハルナはダイキの言葉が聞こえても何も言うことが出来ずにいました。
「そんな装置……一体どうやって……!?」ダイキが言いました。
「決まってるだろう?前にショウが作ったのさ!」ダイキが言いました。「ショウは僕達の味方だと思ってたんだけどね……。ナツキの力が彼を狂わせてしまったようだ。まさか僕達を裏切ってこの学校を支配しようとするなんて……。愚かな奴だよ……。」
「愚かなのはキミの方ニャ……!」キャロラインが言いました。「装置を使って人の心を壊そうとするなんて……!」
「そう簡単に人の精神は壊せない。賢い人間だとこの装置の力に耐えてしまう。だが、彼女はどうだろうか?」ダイキが言いました。「彼女はこの装置の見せる幻想に精神を破壊され、僕らの言いなりになる!」
「やめるニャ!」キャロラインが言いました。
「さあ、始めるぞ!」そう言ってダイキがその装置を起動しました。
「ハルナ……!」キャロラインが叫びました。
ハルナは幻想の世界にいました。
「ここは……?」ハルナが呟きました。
「さあ、僕達に服従するんだ!」どこからともなくダイキの声が響き渡りました。「さもなくば君はこの世界で永遠に苦しみ続けることになる!」
「ダイキ……!」ハルナが言いました。
次の瞬間、ハルナの周囲に“ファミリア”と呼ばれる怪人が多数出現しました。それらの怪人はハルナが魔法少女として初めて戦った相手でした。
「コイツらは……!」ハルナが言いました。
その世界でハルナの腕にマジカルチェンジャーは無く、ハルナは変身出来ない状態でした。そんなハルナにファミリア達が襲い掛かって来ました。
「私は……逃げない……!」そう言ってハルナは変身していない状態でファミリア達と戦い始めました。この時のハルナは変身している時と同じくらい強く、ファミリア達と次々と倒していきました。
「フン……!」ファミリア達を倒したハルナの前に今度は剣を持ったホムンクルスが姿を現しました。
「くっ……!」より強い敵を前にしてハルナは怯んだ様子を見せました。
「ハアーッ!」そのホムンクルスがハルナに襲い掛かりました。
そのホムンクルスは手にする剣でハルナを何度も切りつけました。
「うあああああああっ……!」ハルナは叫び声を上げて地面に膝をつきました。
ハルナが苦しそうに顔を上げると、そこにそのホムンクルスの姿は無く、ダイキが姿を現しました。
「さあ、降参するんだ。そうすれば楽になれるぞ。」ダイキが言いました。「それとも、今よりももっと激しい痛みを味わいたいか?」
「降参なんてしない……!私は……!」そう言ってハルナは立ち上がりました。
「ほう、思っていたよりもしぶといようだな。」ダイキが言いました。「ならば望み通り、さらなる苦痛を味わわせてやろう。」
次の瞬間、ダイキの姿が消え、ハルナの周囲に多数のゾンビ達が出現しました。
「いい……!」ハルナが辛そうな声を上げました。
ゾンビ達がハルナににじり寄りました。そしてその内の一体が背後からハルナの耳に齧りつきました。
「うわああああああっ……!」ハルナが叫び声を上げました。「や……やめて……!」
ハルナが懸命にもがいてそのゾンビを振りほどきました。
「ううっ……!」ハルナが痛そうに耳を押さえました。「イヤだ……!」
「そろそろ降参する気になったか?」ダイキの声が響き渡りました。
「降参なんてしないよ……!」そう言ってハルナは構え直しました。
「私は……。」ゾンビ達の間から今度は一人の魔法少女が姿を現しました。
「えっ……!?」ハルナが言いました。
「一緒に行こう?」そう言ってその魔法少女は魔法の拳鍔“マジカルダスター”を構えました。
その魔法少女がハルナに殴り掛かりました。ハルナはゾンビに囲まれながらその魔法少女の攻撃をかわしました。
「やめて……!」ハルナがその魔法少女に向かって叫びました。「私はあなたを倒したくない……!」
ハルナの叫びも空しく、その魔法少女は攻撃を続け、とうとうハルナはその魔法少女のパンチを受けて怯みながら後退しました。
「ううっ……!」ハルナはよろめきながら体勢を立て直しました。
「ハアーッ!」その魔法少女が再びパンチを繰り出しました。
「くうっ……!」ハルナは仕方なくパンチを繰り出しました。
「うっ……!うああっ……!」その魔法少女はハルナのパンチを受けてそのまま倒れました。
「何で……こんなこと……!?」ハルナが言いました。
「君が降参をしないからだ。」再びダイキが姿を現してハルナに言いました。「大人しく降参すればこれ以上苦しまなくて済む。さあ、早く降参しろ。」
その瞬間、再びゾンビ達がハルナににじり寄りました。
「降参なんて……。」ハルナが言いました。「降参すればこの世界から抜け出すことが出来るの……?」
「そうだ。」ダイキが言いました。「それしかこの世界から抜け出す手立ては無い。」
「この世界……。」ハルナが呟きました。
次の瞬間、ハルナは背後から近づいたゾンビの一体を殴って倒しました。
「まだ苦しみを味わうか?」ダイキが言いました。
「この世界は私の心の中の世界……。」そう言ってハルナはマジカルダスターを拾いました。「だったら私の力でこの世界から抜け出すことが出来るハズ……!」
次の瞬間、ハルナは変身し、さらにハルナの手にするマジカルダスターに魔法の刃が生成されて剣のような形になりました。
「バカな……!」ダイキが言いました。
ハルナは魔法の刃でゾンビ達を切っていきました。
「ハアーッ!」ハルナはゾンビ達を倒しながらダイキに切りかかりました。「ハアアッ!」
その装置を被せられたまま動かなくなっていたハルナでしたが、その瞬間、ハルナのマジカルチェンジャーが反応し、ハルナが変身すると同時にその装置が破壊されました。
「まさか……!」ダイキが言いました。「装置の力を打ち破ったのか……!?」
「ハルナ……!」キャロラインが言いました。
「あなたの野望はここまでだよ!」ハルナが言いました。
「おのれ……!」ダイキが言いました。「後もう少しで平和を実現出来たというのに……!」
「計画は失敗だね。」ハルナが言いました。
「いや、まだだ!」ダイキが言いました。「まだこっちには人質がいる!」
他の生徒達がキャロラインを押さえつけました。
「ニャアアアッ……!」キャロラインが叫びました。
「ソイツを傷つけられたくなければ大人しく言うことを聞くんだ!」ダイキが言いました。
「とうとう来るところまで来たね。」ハルナが言いました。
「黙れ!」ダイキが言いました。「こうなったのもお前がバカだからいけないんだ!」
「こんなことして、ナツキが黙っていないニャ……!」キャロラインが言いました。
「この状況ならナツキも手出しは出来まい!」ダイキが言いました。「さあ、どうする!?」
「だったらこうするニャ!」そう言ったキャロラインがネコのような姿になり、生徒達の手から離れました。
「何……!?」ダイキが言いました。
他の生徒達がキャロラインを追いかけましたが、キャロラインは素早くハルナの元へと移動して人間の姿へと戻りました。他の生徒達はハルナに近づくことが出来ずにその場から離れていきました。
「こんなことが……!?」ダイキが言いました。
「で、次の一手は……?」そう言ってハルナがダイキにマジカルブラスターを向けました。
「降参だ……。」ダイキが言いました。「僕が君と戦ったところで勝ち目は無い……。」
「そっか……。」ハルナが言いました。「それじゃあ私は行くね。」
ハルナとキャロラインが生徒会室を後にしました。
アラタがミチルと話をしていました。
「そのブレード・オブ・カオスとかいう剣についてだけど……。」ミチルが言いました。「やっぱりナツキにはそんな物必要無いよ。」
「じゃあ君は今のままでも良いというのか?」アラタが言いました。
「そんな剣なんかで今の状況が良くなるとはとても思えない!」ミチルが言いました。
「可能性があるとすればその剣だけだ。」アラタが言いました。「ブレード・オブ・カオスさえあればナツキは……!」
「そんなこと……!」ミチルが言いました。
「妖精の力でもブレード・オブ・カオスを生成することは不可能だった。」アラタが言いました。
「うん。だから諦めよう!」ミチルが言いました。
「諦めて、最後の手段を使うしか……。」アラタが言いました。
「最後の手段……?」ミチルが言いました。
「ああ、そうだ。」アラタが言いました。
ハルナとキャロラインは廊下を歩いていました。
「まだ見てない部も見てみるニャ?」キャロラインが言いました。「それとも中庭で一休みでもするニャ?」
「うーん……。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは飼育棟にやって来ました。そこは水槽が割れて一面が水浸しになっており、生物部の部員達が困った顔をしていました。
「これは……?」ハルナが言いました。
「君は……?」生物部の部長が言いました。
「私はハルナ。ワケあってこの学校に来たんだけど……。」ハルナが言いました。「ここで何があったの……?」
「バスケ部の連中さ。」生物部の部長が言いました。「アイツらがやったんだ。」
「バスケ部……。」ハルナが言いました。
「どうすれば止めさせられるんだ……?」生物部の部長が言いました。
「大丈夫。」ハルナが言いました。「私に任せてよ。」
「う、うん……。」生物部の部長が言いました。
「バスケ部なら体育館にいるハズニャ!」キャロラインが言いました。
ハルナとキャロラインは体育館にやって来ました。そこではバスケットボール部の部員達がバスケットボールの練習をしていました。
「頼もう!」ハルナが言いました。
バスケットボール部員達が練習を止めてハルナの方を見ました。
「バスケットボール部だね?あなた達の悪行三昧、このハルナが許さないよ!」ハルナが言いました。「変身!」
変身したハルナは体育館内を逃げ回るバスケットボール部員達を追い回し、パンチとキックで一人残らずお仕置きしました。
「よし。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは飼育棟にやって来ました。
「バスケ部員達を懲らしめてきたよ。」ハルナが言いました。「これでもう二度と悪事を働くことは無いんじゃないかな?」
「懲らしめたって……!?」生物部の部長が言いました。「暴力を振るったのか?」
「うん。」ハルナが言いました。「当然の報いだよ。」
「暴力に暴力で立ち向かうなんて……!」生物部の部長が言いました。「この悪党め!」
「えっ……?」ハルナが言いました。
「君は悪党だ!」生物部の部長が言いました。「今すぐここから出て行ってくれ!」
「出て行って欲しいならここから出て行くけど、これだけは言わせて貰うよ。ここで飼われている生き物達を救ったのはこの私、あなた達じゃない。」ハルナが言いました。「私の暴力が無ければいずれここの生き物達は皆殺しにされてた。」
「むう……。」生物部の部長が言いました。
「一体何の騒ぎだい?」そこへ一人の生徒がやって来ました。
「あなたは……?」ハルナが言いました。
「バスケ部の部長ニャ。」キャロラインが言いました。
「バスケ部の……?」ハルナが言いました。
「この学校で一番頭の良い生徒ニャ!」キャロラインが言いました。「オマケに背も高くてバスケが良く似合うニャ!」
「ええっ……!?」ハルナが言いました。
「何しに来た?」生物部の部長がバスケットボール部の部長に言いました。「言っとくが、君のとこの部員をやったのは僕らじゃないぞ。ソイツだ。」
「私は悪くない!」ハルナが言いました。
「そうだね。」バスケットボール部の部長が言いました。「彼らがああなったのは全て彼らの責任だと思うよ。」
「何……?」生物部の部長が言いました。
「そんなことよりも……。君達に謝りに来たんだ。」バスケットボール部の部長が生物部の部長に言いました。「うちの部の部員達が君達の水槽を壊してしまって本当に申し訳無い。」
「えっ……?」生物部の部長が言いました。
「二度とこんなことが起こらないように僕の方で気をつけるよ。」バスケットボール部の部長が言いました。
「あ、ああ……。」生物部の部長が言いました。
「君にも迷惑をかけてしまったようだね。」バスケットボール部の部長がハルナに言いました。「名前は……?」
「ハ……ハルナ……。」ハルナが言いました。
「ゴメン、ハルナ。」バスケットボール部の部長が言いました。「許して貰えるかな?」
「うん……。」ハルナが言いました。
「ありがとう。」バスケットボール部の部長が言いました。「それじゃあね。」
ハルナとキャロラインは地学部の部室へとやって来ました。そこでは地学部の部長が一人でいました。
「ん……?」地学部の部長が言いました。「誰だ、君は?」
「私はハルナ。ワケあってこの学校に来たんだけど……。」ハルナが言いました。
「ハルナ、か……。」地学部の部長が言いました。「丁度良い。」
「えっ……?」ハルナが言いました。
「うちの部は人が少なく、今日も俺一人しか来てなくて暇してたんだ。」地学部の部長が言いました。「暇潰しに付き合ってくれないか?」
「えっと……。」ハルナが言いました。「ちょっとだけなら……。」
「よし決まりだ!」地学部の部長が言いました。
「何をするの?」ハルナが言いました。
「ボウリングだ。」地学部の部長が言いました。
「ボウリング……?」ハルナが言いました。
その部屋にはボウリングのピンが並べられていました。
「あのピンを倒せば良いワケ……?」ハルナが言いました。
「ああ。」地学部の部長が言いました。「俺は見てるから、やってみてくれ。」
「うん……。」ハルナが言いました。
ハルナは並べられたピンにボールを投げました。ハルナは一回で全部のピンを倒すことに成功しました。
「奇跡だ……。」ハルナが言いました。
「素晴らしい!」地学部の部長が言いました。「ストライクとは大したものだ。」
「ありがとう。」ハルナが言いました。
「思ってた以上に良い暇潰しが出来た。ありがとう。」地学部の部長が言いました。
「こんなんで良かったなら……。」ハルナが言いました。
ハルナとキャロラインは数学部の部室を訪れました。そこでは数学部の部員達が数学の問題を解いていました。数学部の部員達は問題を解くのに夢中でハルナとキャロラインが来たことに気づいていませんでした。
「行こう、キャリー。」ハルナが言いました。「ここは危険だよ。」
「分かったニャ。」キャロラインが言いました。
ハルナとキャロラインは講堂にやって来ました。そこではブラスバンド部の部員達が演奏をしていました。ハルナとキャロラインはその演奏に耳を傾けていました。
「ブラスバンド部……?」ハルナが言いました。
「そうニャ!」キャロラインが言いました。
「野球部が無いのにブラバンはあるんだ……。」ハルナが言いました。
「演奏を聴いてくれてありがとう。」ブラスバンド部の部長がハルナに言いました。「君は……?」
「私はハルナ。ワケあってこの学校に来たんだけど……。」ハルナが言いました。
「なるほど。」ブラスバンド部の部長が言いました。
「良い曲だったね。特にサビ前のラッパが良かった。」ハルナが言いました。
「ポケモンの曲ニャ!」キャロラインが言いました。
「ああ、そうだね。」ブラスバンド部の部長が言いました。「今のOPだね。」
「ポケモン……。」ハルナが言いました。
「良い曲だと思って……。」ブラスバンド部の部長が言いました。
「ギターが無いと大分イメージが変わるニャ。」キャロラインが言いました。
「ボーカルも無いしね。」ハルナが言いました。「まあ、悪くないとは思うけど……。」
「もっと別の曲も聴きたい?」ブラスバンド部の部長が言いました。
「まあ……。」ハルナが言いました。
「だったら聴かせてあげるよ。」ブラスバンド部の部長が言いました。
「ありがとう。」ハルナが言いました。
「そうだ!」ブラスバンド部の部長が言いました。「せっかくだし、踊ってみない?」
「えっ……?」ハルナが言いました。
「この学校、チアリーディング部も無いし、たまにはそういうのがあっても良いような気がしてさ……。」ブラスバンド部の部長が言いました。
「別に、良いケド……。」ハルナが言いました。
「私も踊るニャ!」キャロラインが言いました。
「曲は……?」ハルナが言いました。
「『TRUTH』!」ブラスバンド部の部長が言いました。
「知らないんだけど……」ハルナが言いました。「まあいっか……。」
ハルナはキャロラインと一緒にブラスバンド部の部員達の演奏に合わせて踊りました。
「ハルナ、ダンス上手ニャ!」キャロラインが言いました。
「そうかな?」ハルナが言いました。
「完璧だったと思うよ。」ブラスバンド部の部長が言いました。
「奇跡だね。」ハルナが言いました。
「いつもと違う感じで演奏出来て良かったよ。」ブラスバンド部の部長が言いました。「ありがとう。」
ハルナとキャロラインは中庭にやって来ました。するとそこにカーターが姿を現しました。
「カーター……!?」ハルナが言いました。
「カーター……?」キャロラインが言いました。「ハルナのパートナーニャ?」
「うん!」ハルナが言いました。「無事だったんだね!」
「うん、一応は……。」カーターが言いました。「でも、良くないことが起ころうとしているみたいだよ。」
「えっ……?」ハルナが言いました。
「ボクを攫った少年、アラタとか呼ばれてたけど、彼は危険なアイテムを作り出そうとしているみたいなんだ。」カーターが言いました。
「アラタ……?」キャロラインが言いました。「アラタがハルナのパートナーを攫ったのニャ……!?」
「知ってるの……?」ハルナが言いました。
「そうニャ……。」キャロラインが言いました。
「キミは……?」カーターがキャロラインに言いました。
「キャリー、妖精だよ。」ハルナが言いました。
「妖精……。」カーターが言いました。「ひょっとして、そういうことか……。」
「えっ……?」ハルナが言いました。「どういうことなの……?」
「アラタと話していた二人の少女の内の一人がマジカルチェンジャーを着けてたんだ。確か名前はナツキ……。キミは彼女のパートナーなんだね。」カーターが言いました。「だからアラタのことも知ってるんだ。」
「そうニャ……。」カーターが言いました。
「アラタが……カーターを攫った子がナツキの友達……?」ハルナが言いました。「一体どういうことなの……?」
「ナツキが他の生徒達から嫌われる中、二人の生徒だけがナツキの味方になったニャ。一人がミチル、あの時ナツキを連れ戻した子ニャ。」キャロラインが言いました。
「ああ、あの時の……。」ハルナが言いました。
「そしてもう一人がアラタニャ。」キャロラインが言いました。
「なるほど……。」ハルナが言いました。
「ミチルは心優しい子で、ナツキことを心配していたニャ。アラタは正義感の強い子で、ダイキ達の考えに反発していたニャ。」キャロラインが言いました。
「確かにダイキは異常だったけど、たった二人だけでナツキの味方につくなんて、凄い覚悟だよね。」ハルナが言いました。
「でも、その覚悟が今、世界を危機に陥れようとしている。」カーターが言いました。
「アラタは一体何を作ろうとしているの?」ハルナが言いました。
「混沌の刃-ブレード・オブ・カオス、破壊の剣さ。」カーターが言いました。
「破壊の剣……?」ハルナが言いました。
「装備した者のレベルを上げて究極の力を齎すと言われている。」カーターが言いました。「その力は世界を滅ぼす程とも……。」
「そんなモノ、ホントに作れるの……?」「ハルナが言いました。」
「アラタなら出来るかも知れないニャ……。」キャロラインが言いました。「ナツキによって魔法の存在を知ったアラタは独自に魔法の研究を進めて、時には私もビックリするような魔法を発動させていたニャ。あのアラタなら或いは……。」
「彼は妖精の魔法を封じる魔法まで発動させた。彼の実力は未知数だよ。」カーターが言いました。
「未知数……レベルXだね……!」ハルナが言いました。
「一応言っとくと、アラタのレベルは4ニャ。」キャロラインが言いました。
「えっ、そうなの……?」ハルナが言いました。
「アラタもミチルも二人共レベル4ニャ。」キャロラインが言いました。「レベル5以上の力を持つ人なんてそうはいないニャ。ましてやレベルXなんてキミくらいしかいないんじゃないかニャ?」
「そういうもんなんだ……。」ハルナが言いました。
「レベルX……ハルナがね……。」カーターが言いました。
「知らなかったの?」ハルナが言いました。
「うん。」カーターが言いました。「レベルを測る能力なんて珍しいよ。」
「それが出来ちゃうのがこの私、キャリーなのニャ!」キャロラインが言いました。
「そんなキミがパートナーに選んだ子は相当高いレベルの持ち主なんだろうね。」カーターが言いました。
「レベル8らしいよ。」ハルナが言いました。
「レベル8か……。」カーターが言いました。「最強だね……。」
「そうニャ!」キャロラインが言いました。
「そんな子を敵に回したくは無いけれど、アラタの考えは止めないといけない。」カーターが言いました。「行こう、ハルナ。」
「分かった!」ハルナが言いました。「世界の平和の為に頑張るよ!」
アラタがミチルを拘束して校庭に立っていました。拘束されているミチルは意識を失っていました。
そこへナツキが駆けつけました。
「何をしているの、アラタ!?」ナツキが言いました。
「最後の手段を実行に移す。」アラタが言いました。
「最後の手段……?」ナツキが言いました。
「そうだ。」アラタが言いました。
「何、それは……?」ナツキが言いました。
「分かっていたんだ、ブレード・オブ・カオスを作り出す為に必要な生贄の条件は。」アラタが言いました。「でも俺はそれ以外の生贄を探していた。」
「生贄……。まさか……!?」ナツキが言いました。
「ブレード・オブ・カオスを生成する方法、それはそれぞれ光の心と闇の心を宿した二体の生贄を捧げること!」アラタが言いました。
「そんな……!」ナツキが言いました。
「ミチル、君の存在に感謝している。」アラタが言いました。「君程の優しい心の持つ主はそうはいないだろう。」
「待って……!」ナツキが言いました。
「今こそ儀式を執り行う!」アラタが言いました。「俺は光の心を持つミチルと闇の心を持つ俺自身を生贄に捧げる!」
次の瞬間、アラタとミチルが生贄となって消滅しました。
「こんなことって……!」ナツキが言いました。
そして混沌の刃-ブレード・オブ・カオスが生成されました。
儀式が行われたことを察知してハルナとカーターとキャロラインが駆けつけてきました。
ナツキは混沌の刃-ブレード・オブ・カオスの前に佇んでいました。
「これは……!?」ハルナが言いました。
「儀式が行われたんだ……!」カーターが言いました。
「ナツキ……!」キャロラインが言いました。
「私には……何も出来ない……。」ナツキが言いました。
「ナツキ……。」ハルナが言いました。
「アラタ……。ミチル……。どうして二人は犠牲になってしまったの……?」そう言ってナツキが混沌の刃-ブレード・オブ・カオスに手を伸ばしました。
「いけない、その剣に触っちゃ……!」カーターが言いました。しかしナツキはとうとう混沌の刃-ブレード・オブ・カオスに触れてしまいました。
「うっ……!」その瞬間、ナツキが苦しそうな表情を浮かべました。「うあああああああっ……!」
「ナツキ……!?」キャロラインが言いました。
「うっ……!うっ……!ウウウウウウウウッ……!」ナツキが呻き声を上げながら宙に浮かび上がり変身していきました。
「何が起こっているの……!?」ハルナが言いました。
「ブレード・オブ・カオスの強大なる力によって自我を失っているんだ……!」カーターが言いました。
「えっ……!?何……!?」ハルナが言いました。「ブレード・オブ・カオスにはそんな力があるの……!?」
「ボクも知らなかったけど、そういうことになるね。」カーターが言いました。
「ナツキ……!」キャロラインが言いました。
「フッフフフフッ……!ハッハハハハッ!」宙に浮かんで変身したナツキが言いました。「遂にこの時が来た!私は誰にも負けない力を手に入れたぞ!」
「ナツキ……!」ハルナが言いました。
「私はこの力でこの世界を支配する!」ナツキが言いました。「ハハハハハハハハッ!」
「ダメだ……!完全に心を操られている……!」カーターが言いました。
「ナツキ……。」キャロラインが言いました。
「ハルナ!変身するんだ!」カーターが言いました。「こうなったら彼女を倒すしか世界を救う方法は無い!」
「うん……!」ハルナが言いました。「変身!」
ハルナが変身しました。
「ムダだ!」ナツキが言いました。「ブレード・オブ・カオスを装備した今の私のレベルは12!誰も私には敵わない!」
「レベル12……!?」ハルナが言いました。
「有り得ない……!」カーターが言いました。
「そしてブレード・オブ・カオスは攻撃力を上げるだけの武器では無い!」ナツキが言いました。「ブレード・オブ・カオスを装備した者は自身より低いレベルの相手からの攻撃を一切受けなくなる!」
「そんな……!」ハルナが言いました。
「ブレード・オブ・カオスは最強の剣でもあり同時に最強の盾でもあるということか……!」カーターが言いました。
「分かったか!?」ナツキが言いました。「これで誰も私を止めるることは出来ない!」
「どれだけ強い力を持った相手だろうと、私は逃げたりはしないよ!」ハルナが言いました。
「何だと……!?」ナツキが言いました。
「私は戦う、負けるかも知れなくても、世界の平和の為に!」ハルナが言いました。
「まだ状況を飲み込めていないようだな。これはお前にとって負けるかも知れない戦いでは無く絶対に負ける戦いだ。」ナツキが言いました。「まあ良いだろう。説明するよりも実際に結果を見せた方が早い。覚悟しろ!」
「ハルナ……!」カーターが叫びました。
ナツキが混沌の刃-ブレード・オブ・カオスを構えました。
「壮絶なる攻撃を受けるが良い!」ナツキが言いました。「カオティックストリーム!」
ナツキが混沌の刃-ブレード・オブ・カオスの先端から魔法線を放ってハルナを攻撃しました。
「うわああああああっ……!」ハルナがナツキの攻撃を受けると同時に大きな爆発が起こりました。
「ハルナ……!」カーターが叫びました。
「ハッハッハッハッハッハッハッハッ!」その爆発を見下ろしながらナツキが言いました。「今の攻撃でヤツは跡形も無く消え去った!」
爆発が収まると、そこにハルナが倒れ込んでいました。
「ん……?」ナツキが言いました。
「ハルナ……!」カーターが言いました。「大丈夫!?しっかりして……!」
「今の攻撃を受けてまだ魔力が残ったというのか……?」ナツキが言いました。
「ううっ……!」ハルナがゆっくりと体を起こしました。
「ハルナ……!」カーターが言いました。
「ハルナ……。」キャロラインが言いました。
「立ち上がってもムダだ!今の攻撃でお前の魔力は殆ど無くなっているハズ……!次の攻撃が決まればお前の魔力はゼロになる!」ナツキが言いました。
「ハルナ……。」カーターが言いました。
「それでも……私は……!」ハルナが言いました。
次の瞬間、ハルナの持ってた魔法の瓶が突然光り始めました。
「これは……?」ハルナが言いました。
「そのボトルは……?」カーターが言いました。
生徒達が校舎の窓からハルナを見ていました。そしてそれらの生徒達はハルナの勝利を祈っていました。
「そのボトルがハルナの危機をみんなに知らせているのか……?」カーターが言いました。
「きっとそうニャ!」キャロラインが言いました。
「みんな……!」ハルナが言いました。
サッカー部の部室でサッカー部員達が祈っていました。
「ガンバレ、ハルナ!」サッカー部の部長が言いました。「諦めない限り、試合は終わらない!」
美術室で美術部の部員達が祈っていました。
「僕達に見せてくれ、魔法という名のバトルアートを!」芸術部の部長が言いました。
将棋部の部室で将棋部員達が祈っていました。
「歩の無い将棋は負け将棋、俺は君の力を信じてるぞ!」将棋部の部長が言いました。
天文部の部室で天文部員達が祈っていました。
「君は宇宙一の魔法少女だ、ハルナ!」天文部の部長が言いました。
体育館でバスケットボール部の部員達が祈っていました。
「応援してるよ、ハルナ!」バスケットボール部の部長が言いました。「負けないで!」
地学部の部室で地学部の部長が祈っていました。
「ここで一人で応援しているぞ、ハルナ!」地学部の部長が言いました。「奇跡を起こせ!」
数学部の部室で数学部員達が数学の問題を解いていました。
講堂ではブラスバンド部員達が祈っていました。
「君なら奇跡を起こせる!」ブラスバンド部の部長が言いました。
プールで水泳部員達が祈っていました。
「誰だか知らないが、頑張ってくれ!」水泳部の部長が言いました。「そして戦いが終わったら一度は俺達のマッスルを見に来てくれ!」
剣道場では剣道部員達が祈っていました。
「混沌を超えろ、ハルナ!」剣道部の部長が言いました。「本当の強さは混沌を超えた先にある!」
その瞬間、魔法の瓶が突然ハルナの目の前に浮かび上がり、どこからともなく光の粒が吸い込まれていきました。
「何だ……!?」ナツキが言いました。
「これは……。」ハルナが言いました。
「何が起こっている……!?」ナツキが言いました。
「みんなの持ってる魔力があのボトルに注ぎ込まれているニャ!」キャロラインが言いました。
「何だって……!?」カーターが言いました。「あのボトルにはそんな力が秘められているのか……!?」
「ハルナを応援するみんなの想いが奇跡を起こしたに違いないニャ!」キャロラインが言いました。
さらに次の瞬間、魔力でいっぱいになった魔法の瓶が砕け散り、集められた魔力がハルナの魔力になりました。
「ハルナの魔力が回復したのか……!?」ハルナが言いました。
「何だと……!?」ナツキが言いました。「そんなことが……!?」
「これぞ奇跡ニャ!」キャロラインが言いました。
「だが、魔力を回復したところで私の優位に変わりは無い!」ナツキが言いました。「私にダメージを与えることが出来るのは私と同じレベル12の相手だけ!それ以外の者がいくら魔力を得ようとも、私を倒すことは不可能だ!」
「それはどうかな?」カーターが言いました。
「何……!?」ナツキが言いました。
「ナツキ、確かにキミはレベル11以下の魔法使いの攻撃を受け付けないのかも知れない。でも、ハルナのレベルはX。レベルXはレベル11以下という条件には含まれないよ!」カーターが言いました。「よってハルナはレベル12の魔法使いと同様にキミにダメージを与えることが出来るのさ!」
「そうニャ!」キャロラインが言いました。
「しかし、仮に攻撃を無効にされないのだとしても、攻撃力は私の方が上のハズ……!」ナツキが言いました。
「見せてやるんだ、ハルナ、レベルXの持つ力を!」カーターが言いました。
「うん!」そう言ってハルナはマジカルブラスターを構え、魔力をチャージし始めました。
「教えてあげるよ!ハルナにはダメージを受けることで攻撃力がアップする隠された能力があるんだ!」カーターが言いました。
「何……!?」ナツキが言いました。
「さっきの攻撃によって受けたダメージによりハルナの攻撃力は大幅にアップしている!」カーターが言いました。「そしてみんなの想いによって今のハルナにはその攻撃力を活かすだけの十分な魔力がある!」
「バカな……!」ナツキが言いました。
「これがハルナの……レベルXの持つ力……。」キャロラインが言いました。
「ウオオオオオオオッ……!」ナツキが混沌の刃-ブレード・オブ・カオスを構えながらハルナに向かっていきました。
「マジカルブラスト!」ハルナがマジカルブラスターから大きな魔法弾を放ちました。
「ウアアアアアアアッ……!」ハルナの放った大きな魔法弾がナツキに直撃して爆発しました。「この……私が……!あああっ……!」
ナツキは混沌の刃-ブレード・オブ・カオスを手放して地面に落下し、変身を解除しました。
「ううっ……。」ナツキが呻き声を上げました。
「ナツキ……!」キャロラインがナツキの傍に駆け寄りました。
「キャリー……私は……!」ナツキが泣きながら言いました。
「良いのニャ、ナツキ……。」キャロラインが言いました。「ナツキは頑張ったニャ……!」
「キャリー……!うう……。」ナツキが言いました。
「ナツキ……。」ハルナが言いました。
「ハルナ……。」ナツキが言いました。「ゴメンなさい……。私にはどうすれば良いのか分からなかった……。」
「どうすれば良かったのか、それは私にも分からないと思う。」ハルナが言いました。「でも、これからどうすれば良いかは分かるかも知れない。」
「えっ……?」ナツキが言いました。
「キャリーの……パートナーの傍にいてあげて。」ハルナが言いました。「二人ならきっとこれからの困難に打ち勝っていけると私は思う。」
「キャリー……!」ナツキが言いました。
「ナツキ……!」キャロラインが言いました。
「行こう、カーター。」ハルナが言いました。
「うん。」カーターが言いました。
ハルナとカーターはゆっくりと歩いてその学校を後にしました。
こうしてハルナは世界の平和を守ったのでした。