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ダンジョンマスターのメイクマネー  作者: 新井颯太
第35章 人形墓標
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第4話 遺跡とは

 遺跡。

 辺境のように膨大な量の魔力が土地に宿っていると定期的に別の世界と繋がるようになる。

 向こう側の世界には『遺跡』と呼ばれる何らかの施設があり、最奥へと辿り着いて機能を停止させることによって繋がっていた二つの世界も離れるようになる。


 この空間を放置し続けると向こう側から魔物が侵略してくるようになる。

 未知の魔物が多く、対処に失敗してしまうと都市ぐらいは簡単に滅ぼされてしまう可能性がある。繋がってから数日のうちは猶予があるため、その間に攻略してしまわなければならない。

 今回は攻略に失敗し、遺跡の侵略を許してしまっている。


「――以上が現状だ」


 仲間を全員部屋に集めて冒険者ギルドで聞いた話を伝える。

 俺が説明を受けている間に聞くこともできたが、子供の面倒を見ていてそれどころではなかったため改めて説明している。


「遺跡の危険性は分かった。で、遺跡ってどんなところなの?」


 遺跡を訪れたことのないノエルが手を挙げながら尋ねてくる。

 俺たちやイリスも遺跡攻略は、あの四角錐の構造物しかないため他の実物を見たことはない。


「私も話に聞いただけだけど、複雑な迷路になっている洞窟を歩かされる場所や険しい山だったパターンもあるみたい」

「つまり、迷宮みたいな場所だ」

「なるほど」


 俺たちにとっては、この説明の方が分かりやすい。

 迷宮も地下なはずなのに青空が広がっている階層を追加したばかり。火山や海があるフィールドまであるので何でもありと言える空間だ。


「場所は以前と同じでアリスターの北。既に攻略開始から10日が経過している。俺たちに頼らずどうにかしようしたみたいだけどSランク冒険者から条件として協力を要請されたため依頼を出さずにはいられなかったみたいだ」


 こっちはAランク冒険者が5人。

 Aランク冒険者なんてパーティリーダーだけがなるような存在だ。

 つまり、通常のAランク冒険者パーティに支払う報酬の5倍、さらに冒険者ギルドからの依頼であるため倍近い報酬を出さなければならない。

 誰だって高額な出費は嫌だ。


「で、引き受けるの?」

「俺は引き受ける。イリスも同行してくれることになった」


 今度こそ遺跡を攻略する気でいるイリスは参加が決定している。


「お前たちの意思を聞こうと思う」

「わたしは参加する」


 ノエルが両手を握って気合を込めて立ち上がる。


「だって成功させればランクを上げられるんでしょう」


 たとえランクが上がったとしてもBランク。

 ノエルの場合はパーティメンバーがAランク5人であるため仲間の功績ばかり評価されて彼女はついて行っただけという評価になりがちであることもあってランクがなかなか上がっていなかった。


 けれども、冒険者ギルドからの依頼を成功させればさすがに認めない訳にはいかない。

 それから今回の功績を持って他のギルドでも働きかければAランクへの昇格もそれほど遠い話ではない。


「立ちはだかるゴーレムを倒して奥へ進めばいいんでしょう。だったら、簡単じゃない」

「そう簡単にはいかないだろ」


 ノエルの能力の一つが制限されることになる。


「神獣たちに頼ることはできないからな」

「え……!」

「それが次元を越えた先にある遺跡の特徴だ」


 次元の裂け目は生物だけが通過することができる。動く像であるゴーレムが生物であるのか疑わしいところだけど、実際に次元の裂け目を越えることができた。動力を持って自分の意思で動くことができるため『生物』の範囲に収まっているのかもしれない。


 そして、逆に生物以外は通過することができない。

 次元の裂け目越しに魔法やスキルを使用して向こう側を攻撃しようとしても通り抜けることができず弾かれることになる。

 その効力は、俺たち迷宮主や眷属のスキルにも及んでいる。


「こっちと向こうだと【迷宮同調】による念話も使用できない。【召喚】しようと思っても迷宮から喚び出すことはできないぞ」

「そっか。自分の力だけで進む必要があるんだ」


 ノエルが悩む。

 まあ、単独でも強い力を持っているから大丈夫だろう。


 で、この制約による被害を最も受けるのが……


『だから、君たちには行ってほしくないんだよぉ!』

「ひゃ!?」


 悩んでいたところに聞こえてきた大声に体を震わせる。

 声の主は迷宮核(ダンジョンコア)だ。俺たちの冒険している様子を何よりの楽しみにしている迷宮核にとって覗くことのできない冒険ほどつまらないものはない。


「あいつの声は無視しろ。で、お前らはどうする?」

「探索ならわたしが必要なはずです」

「ゴーレムを相手にするのに魔法使いを連れて行かずにどうするのですか」

「え、あたしだけ留守番なんてやだよ」


 そういう訳で全員が参加することになった。

 実際、シルビアが参加してくれるのがありがたい。

 現状で分かっている情報だけでも迷宮内は迷路のように入り組んでいるため探索しながら進む必要がある。

 2階より先がどのようになっているのかは全く情報が手に入っていない。

 慎重に進めて行く必要がある。


「じゃあ、明日の朝には出発だ。今日は休むことにしよう」

「こんなにゆっくりしていていいの?」

「今は次元の裂け目のこっち側で冒険者が防衛に当たっていて、すぐに事態が動くようなことはないらしいからゆっくりでもいいらしい」


 とはいえ油断はできない。

 今も冒険者たちが出てきた時に備えて最大限の警戒をしている。


「今回の遺跡も5階層らしい。Bランク冒険者も逃げ帰るような強さ、向こうから侵入してくるゴーレムと可笑しな点がある。以前と同じだと思わない方がいい」


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