表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターのメイクマネー  作者: 新井颯太
第28章 故郷崩壊
757/1458

第28話 おてつだい(初めての魔物討伐)

前半はシエラ視点。

後半はメリッサ視点です。


ひらがなばっかりになってしまいました。

 きょうはおかあさんたちとあそべるはずだった。

 せっかくかえってきたおとさんがおしごとでどこかへいっちゃって、さんにんのおかあさんもいっしょにいっちゃった。

 だから、ふたりのおかさんがいっしょにいてくれる。


 シーたちにはおかさんがたくさんいるの。

 だから、さみしくない!


 けど、おかさんがいうにはわるいわんちゃんのせいであそべなくなっちゃった。


 いいもん!

 アーくんたちとあそんでいるもん!


 うんしょ、うんしょ……ふたりのおへやは、うえにあるからひとりでいくのはたいへん。


 がんばって、ふたりのいるおへやにいくと……ふたりともねていた。

 ねているのをじゃまするのはよくないよね。

 シーだって、おひるねをじゃまされるのはいやだもん!


 いいこのシーはひとりであそぶもん。


「うみゅ?」


 がんばって、したにいくとばーちゃたちだけじゃなくてしらないひとたちもいる。


「入って下さい」

「息子が魔法道具とか色々使って強化しているので下手に避難施設へ行くよりも安全ですよ」


 ふたりのばーちゃがしらないひとたちをいれている。


「ありがとう」

「大丈夫だとは思うけど、一緒にいた方がいいからね」

「頼りになる息子を持って羨ましいわ」


 よくわからないけど、おとさんがほめられている。

 おとさんがほめられるとシーもうれしい!


「シエラ、こっちにいらっしゃい」

「みゅ?」


 ばーちゃたちをみていたら、べつのばーちゃにだっこされちゃった。

 きつねさんのおみみがぴこぴこうごいている。

 さわりたいな……いっしょうけんめいてをのばしているとごはんをたべるおへやにつれてこられちゃった。


「いい、シエラ? 今は凄く危ないの。だから、いい子にしていてね」

「いいこ……」

「できるわね?」

「うん!」


 だっこしてくれたばーちゃもしらないひとたちのところにいっちゃった。


 シーはいいこにしている。

 いいこは、おてつだいをしないといけないの。


 でも、なにをしたらいいんだろう……

 ばーちゃたちはたいへんそうだけど、なにをしているのかわからないや。


 そうだ、おかさんたちのおてつだいをしよう。

 わるいわんちゃんがまちにはいっちゃったのがいけないんだ。

 だったら、シーがおいはらってあげる。


 でも、すごくとおいの。

 あるいていくなんてむり。

 うん、つれていってくれないかな。


「かげしゃん、かげしゃん」


 じめんをたたく。

 シーはしっているんだ。じめんのうえにあるかげのなかには、ひとがすんでいていっつもまもっていてくれるんだ。


 ばーちゃとかはわかってないみたいだけど、シーにはわかるもん。


 でてきてください。

 でてきてください。

 でてきて、てつだってください。


「むぅ!」


 かげしゃん、でてきてくれない。


『母親の許へ行きたいのか?』

「だぁれ?」


 きいたことのないこえがきこえてきたよ。


『お前の母親は危険な場所で皆を守る為に戦っている。そんな場所へ、お前のような幼子が向かえば危険だぞ』

「むぅ! シーはまほーだってつかえるもん! わるいわんちゃんをこれでやっつけてあげるんだから」

『その程度の力では助けにならんぞ』

「そんなことないもん!」


 いいこは、おてつだいしないといけないの。


「もう、いい!」


 かげしゃんもしらないこえのおじさんもてつだってくれない。

 だったらシーがたすけにいってあげるんだもん。


『『……』』


 おにわにでる。

 いざ、おてつだいへ!


『おい、そこの影人。お前の考えは理解できる。この子を外へ出すのは危険だ。だが、お前の力でこの子を押さえ付ければ幼子など簡単に折れてしまうぞ。どれだけ手を抜いていようと変わらない。そんな事になるぐらいだったら、手を貸せ!』


 うしろでしらないおじちゃんのこえがきこえる。

 あれは、ばーちゃがしかっているときのこえみたい。


 こわい。

 いそいでおにわをでようとすると、おうちのかげからなにかがでてくる。


「わんちゃん!」


 まっくろなわんちゃん。

 おめめやおくちがないけど、わんちゃんだ。

 わんちゃんがのりやすいようにかがんでくれる。


「のっていいの?」


 うなづいてくれた。

 いっしょうけんめいのぼるとしがみつく。


「うわぁ!」


 たちあがったわんちゃんのうえからみえるけしきはたかい。

 じーちゃがよくのせてくれるけど、そのときとぜんぜんちがう!


『この子を単独で外へ出すと誰かに蹴られる可能性がある。それなら、自分の背に乗せて行こう、という訳か。影人よ、貴様は形を変化させることができるのだな』


 わんちゃんがうなづいた。

 もしかして、かげしゃん?


「てつだってくれるの?」

『こやつも助けてくれるみたいだぞ』


 しらないおじちゃんのいうとおりみたい。


「ありがとう、わんちゃん」


 おれいはきちんといわないといけないんだよ。


『ならば、オレも手を貸そう』

「あなたはだぁれ?」

『オレか? オレは「風神」。お前に加護を与えた存在だ』

「?」


 よくわかんない。


『そうだな。ティシュアの奴が孫みたいに可愛がっていたことだし、オレも祖父の一人でいいぞ』

「じーちゃ!」


 あたらしいじーちゃといっしょにおかさんのところへいく!



 ☆ ☆ ☆



 訓練場の所へ行くとシエラが黒い犬に跨っている。

 シエラが手を振ると風の弾丸が発射されてコボルトの体に拳大サイズの大きな穴を開けています。


 堕落して強くなっても元がコボルト。中級クラスの威力がある魔法の直撃は致命傷になります。


「何が起こって……」


 シエラにはたしかに魔法の手解きをしました。

 ですが、ここまで戦えるようなレベルではありません。

 それに黒い犬も気になります。


「【鑑定(アナライズ)】」


 シエラのステータスを確認します。

 どのような力を使っているのか分かりませんが、シエラの意思に従って攻撃がされているのは間違いありません。

 ステータスを確認すれば、どのような力が使われているのかはっきりします。


「……【風神の加護】?」


 特に新しいスキルが増えている訳でもステータスが強化されている訳でもありません。


 ただ、【風神の加護】が活性状態にあります。

 意識しているにしろ無意識にしろスキルが使われている、ということ。


「さいご!」

「ガウ!?」


 兵舎に攻め込んでいた5体のコボルト。

 その最後の1体に大きな穴が開けられていました。

 他に都市内へ入っていた15体の魔物は冒険者の手によって討伐されたようです。


「おかさん!」


 私の姿に気付いたシエラが笑顔を浮かべながら近付いてきます。


 ようやく、私にも事情が呑み込めました。黒い犬は、形を人から犬へと変化させたシャドウゲンガー。護衛として一緒に戦うことを選んだようです。

 そして、シエラが使っていた魔法は、【風神の加護】を与えた風神様によるもの。シエラの悪い奴を許さない心が反映された攻撃を風神様が魔法として発現させ、シエラが負担するべき魔力などを全て風神様が負担していたようです。


「おてつだいにきたよ!」


 きっと魔物を倒して褒められると思っているのでしょう。


 ―ポコッ。


「いたい……」


 シエラの頭を軽く叩きます。

 そして、シャドウゲンガーには魔力を纏った手で拳骨を落とし、風神様には幻覚で苦痛を与えます。実体を持たない風神様が相手では物理的な方法でダメージを与えることができないため、このような方法が限界です。


「反省していますね?」

『はい……』


 落ち込んだ風神様と頭を垂れるシャドウゲンガー。

 二人とも反省しているようです。

 今回は、どうにか無事だったからよかったものの万が一の場合は起こり得た訳でシエラを危険に晒してしまったことには変わりがありません。

 この程度で済んで感謝してほしいぐらいです。


「シー……わるいこ?」


 怒られていることは理解しているみたいです。


「おてつだいしたかったの?」

「うん……」

「その気持ちだけで充分だからね。ここは、子供には凄く危ないの。こんな場所へ来ている事をお祖母ちゃんたちが知ったら、凄く心配させちゃうの。お祖母ちゃんを心配させちゃうのは、悪い子だよ。もう、しないって約束できる?」

「うん!」


 叱るのはほどほどにしておきましょう。

 長く会えない状況が続いた中で、また家を空けることになってしまいシエラに寂しい思いをさせてしまっている私たちにも責任があります。


「じゃあ、ノエルお母さんの所へ行こうか」

「いく!」


 シエラを抱き上げて外が見える場所へと移動します。

 都市の外では、ノエルさんがオルトロスと一人で……いいえ、それは正しくありませんね。


「わんちゃんにのっている!」


 一人でオルトロスと戦っているはずのノエルさんですが、シエラと同じように雷獣の背に乗って戦っています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ