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ダンジョンマスターのメイクマネー  作者: 新井颯太
第22章 魔剣生産
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第23話 レベルアップ

 ステータスが上がった事によってスピードも速くなった。

 アイラの背後へ回り込んだリュゼが金色の魔剣を振り上げる。

 助けるべくすぐに剣を振り抜く。


「おっと」


 雷撃の魔剣に受け止められた。

 そのまま雷撃が放たれ吹き飛ばされる。


「マルス!」

「今のアタシのレベルなら眷属たちなら簡単に倒せそうだね。だから、一番強い人から倒すことにするよ」

「このっ!」


 叩き付けられた岩壁から起き上がって剣を振るう。

 神剣が金色の魔剣の上を滑り、横へ躍り出たリュゼが電撃を放つ。

 回避すると電撃が壁や天井を砕いてパラパラと石が落ちてくる。

 しかし、それらも地面に落ちる前に砕けてしまう。


「ははっ、やっぱり楽しいな♪」

「クソ、俺の速さに付いて来られるのか」

「当然だよ。アタシはとうとう迷宮主と同等の力を手に入れたんだよ」


 剣を縦横無尽に振るっても金色の魔剣に受け流される。

 手応えを感じられないまま体勢を崩したところに電撃が爆発するように放たれる。


 電撃を回避する為に上へ跳ぶ。


「甘い!」


 金色の魔剣が振るわれる。

 上から落とすように神剣を振るう。

 振り上げられた魔剣が上から押さえられて動きを止める。


「無駄だよ」


 魔剣に充填させられた電撃が再び駆け巡る。


 ――何発撃てるんだよ!


 電撃は魔力を消費して使用されている。魔剣に蓄えられている魔力かリュゼ本人の魔力を消費して電撃は放たれている。魔剣なので、とてつもない量の魔力が蓄えられているのかもしれないが、何十発と撃てるものではないと信じたい。


 回避を続けていれば、いずれは魔力が尽きて……


「――この魔剣の使い方にも慣れてきた」

「なっ!?」


 地面から浮き上がる雷撃の球体。

 5つの球体が俺を中心に取り囲むように浮き上がっていた。


「こうして取り囲んだ状態で放てば回避もできないでしょ」


 5つの球体が弾けて雷撃が中心へと向かう……はずだったのだが、放たれた雷撃の全てが一点へと向かう。

 その先には錫杖を構えたノエルがいる。


 【天候操作(ウェザーコントロール)】によって雷撃を全て吸収した。


「あれ、そんな事もできるんだ」

「よそ見をしている暇はないぞ」


 雷撃が吸収された事に驚いて無防備になった胸を斬る。


「……!」


 斬れた。

 けど、斬った時の手応えがいつもと違う。


「……痛いな」


 斬られた場所から血が流れている。

 しかし、その量は微々たるもので薄らと流れている程度でしかない。


「お前……」

「アタシのステータスは迷宮主と同程度まで強化されているんだよ。そんな温い攻撃じゃ意味がないよ」


 リュゼが金色の魔剣を何度も突き出してくる。


「【風障壁(エアシールド)】」


 突きを神剣と魔法で作り出した風を駆使して弾き返す。

 岩を砕くような攻撃にも耐えられるレベルで作り出した障壁だったのだが全てが一撃で破壊されている。


「【土巨人の手(アースゴーレムハンド)】」


 メリッサが魔法を使用する。

 リュゼの左右に巨人(ゴーレム)の手が出現する。

 【土巨人の手(アースゴーレムハンド)】は、指定した場所に巨人(ゴーレム)の手のみを作り出す魔法で魔力の消耗を抑えながら攻撃力を求めた魔法だ。手だけの作成である為にランクはDとされており、巨人(ゴーレム)の作成を目標にしている魔法使いが最初に目指す魔法の一つである。


 ただ、メリッサは迷宮魔法とも合わせることによって迷宮の土を利用して巨人(ゴーレム)の手を作り出している。


 破壊不可能な土も利用された巨人(ゴーレム)の手。

 両手が合わされば間にある物はペシャンコになる。


「むだむだ」


 リュゼが雷撃の魔剣を捨てる。

 雷撃を放ってもノエルに吸収されてしまうだけだと気付いた。


 次に取り出したのは見覚えのある黒い魔剣。


「はっ!」


 筋力を増強されたリュゼが巨人(ゴーレム)の手を切り裂く。

 細切れにされてしまった土はメリッサの制御から離れてしまう。


「使い勝手はいいんだよね。ただ、一般人よりもちょっと強い程度の奴らが持ってもすぐに精神を汚染させられて暴走しちゃうだけで」


 見覚えのある魔剣は、ホプキンスが手にしていた黒い魔剣。

 所有している効果は【筋力増強】。おそらくアイラが所有している【明鏡止水】のように破壊不可なはずの物質を斬れるようになれる斬撃を強化してくれるスキルをリュゼも所有している。ただし、それだけでは【土巨人の手(アースゴーレムハンド)】に対応するのは難しく【筋力増強】に頼る事にした。


「この程度なの? アタシは迷宮主とかと戦った事がないから知らないけど、アタシたちと同じ存在なら同じくらい強いものだと思っていたよ」

「この……!」


 アイラが聖剣を振りかざしながら駆ける。

 アイラの行動を見たリュゼが黒い魔剣を捨てて銀色の魔剣を取り出す。


「……!」


 銀色の魔剣を見た瞬間、接近するのは危険だと察知したアイラが攻撃を止める。


「そっか、さっき同じ魔剣と戦ったばかりだから脅威は分かっているよね」


 銀色の魔剣は、【斬撃増加】の効果を持っている。

 レベル差がある状態でもアイラなら相手の攻撃を受け止めたり、受け流したりすることはできる。

 しかし、【斬撃増加】の前では剣を受け止めるのは自殺行為だ。


「けど、アタシは近付く」


 リュゼが乱暴に魔剣を振り回す。

 距離を取って攻撃を回避するアイラ。

 回避する度に魔剣が触れていないにも関わらず地面が見えない刃に抉られる。


「お前の相手は俺だろ」

「そうだった」


 横から近付く。

 すると体を回転させて銀色の魔剣を叩き付けてくる。


 俺も銀色の魔剣を迎え撃つ。

 持てる力を振り絞って銀色の魔剣を弾き返す。


「お、ととっ……」


 魔剣が弾き返されたことでフラフラと離れて行く。


 ――ブシュ!


 腕から血が流れる。


「それはそうだよ。非実体の斬撃までは防げていないんだからね」


 銀色の魔剣に対しては回避しかしてはいけない。


「この……!」


 ふらついた体勢のリュゼにアイラが聖剣を振るう。

 回避する為に上へ跳ぶ。


「スキルを使わないと壊れない壁って便利だよね」


 接着しているかのように天井で逆さまに立っている。

 どうやら足の力で天井の岩を掴んで離れないようにしているらしい。


「あれも【斬撃増加】の使い方の一つです。足の力を周囲に分散させて体勢を確実な物にしています」

「本気で戦えるのは楽しいけど、やっぱりネタバレされるとつまらないな」


 天井を蹴って跳ねる。

 そこから地面や壁を利用して周囲を縦横無尽に飛び跳ねる。


「さて、誰から殺そうか」


 そんな声がそこら中から聞こえる。


「うん、決めた」


 誰を狙っているのか分からせないための動き。

 気配を追えてはいるが、相手の速度の方が速いためにギリギリ視線だけで追い掛けられている状態だ。


「もらった!」


 リュゼがアイラの背後で動きを止める。

 既に魔剣を振り上げた状態で、数秒後には斬られたアイラの死体がその場に転がることになる。


「【召喚(サモン)】」

「え……」


 魔剣が何も斬らずに地面を叩く。

 リュゼの目の前にアイラはおらず、俺の傍まで移動していた。


「【迷宮操作:構造変化】」

「ぐっ……!」


 リュゼの足元が柱のように盛り上がって上へ押し上げる。


「【檻】」


 何本もの柱が地面と天井から伸びて檻を形成する。

 中には当然の如く猛獣のように暴れるリュゼがいる。


「【壁】」


 周囲を土の壁で覆ってしまう。

 破壊不可能な物質で作られているためスキルを使うなどしなければ簡単には脱出することができない。


「だから無駄だって言っているでしょ」


 魔剣によって檻が斬られる。


「走るぞ」

「へ?」


 檻から出て来たリュゼを無視して全員で迷宮の奥へと走る。


「【壁】、【壁】、【壁】、【壁】、【壁】――」


 いくつもの壁を作り出す。

 スキルを使って破壊されてしまえば簡単に壊されてしまうみたいだが、その度に足止めにはなる。


「さあ、付いて来いよ」


 真正面から戦ったのでは今のレベルでは敵わない事は分かった。

 ならば――タイムリミットを待つぐらいしか勝つ方法を見出せない。


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