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ダンジョンマスターのメイクマネー  作者: 新井颯太
第14章 迷宮踏争
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第9話 夜のスキル

迷宮攻略前にステータス確認回です。

「編成はさっき言ったとおりで問題ないと思うんだけど、迷宮へ挑む前に戦力を確認しておこうと思う」

「戦力って?」

「具体的には全員のステータスだな」

「「え?」」


 これから危険な場所に挑むのだから戦力の把握をしておきたい。

 至極当たり前のことを言っているはずなのにシルビアとメリッサから戸惑うような声が漏れてきた。


「どうした?」

「わ、わたしのステータスを確認するんですか?」

「そうだが……」


 そういえば、最近はシルビアたちのステータスを確認していなかった。


 ステータスは基本的に自分しか確認することができない。それを他人にも確認できるようにしたのがステータスカードで、魔力を流すことによって数値やスキルが表示されるようになっている。

 鑑定でも確認できるが、鑑定では相手の力量が自分よりも上だった場合には失敗してしまうし、そもそも希少なスキルなので一般的にはステータスカードを見せることで他人にも教えている。


 だが、何事にも例外は存在する。


「何か見られて困ることでもあるのか?」

「そういうわけでは……」

「はい……」

「ステータスオープン」

「「あ!」」


 驚く二人を無視してステータスを確認する。

 迷宮主(ダンジョンマスター)である俺は自らの眷属のステータスを相手の了承なしで確認できるようになっている。

 さすがにプライバシーの侵害もいいところなので使うつもりはなかったが、二人の反応が気になって何を隠しているのか知りたくなった。


「おい……」


 何を隠していたのかはスキルを見てすぐに分かった。

 俺の問いかけに答えない。


「「……?」」


 ステータスが見えていないアイラとイリスが首を傾げている。

 せっかくなので迷宮同調を利用して俺が確認しているステータスを二人にも見せる。


「「ぶっ!」」


 その瞬間に咽る二人。


 二人のステータスには異質なスキルが加わっていた。



==========

 名前:シルビア

 年齢:15歳

 職業:迷宮眷属(ダンジョンサーヴァント) 冒険者

 性別:女


 レベル:87

 体力:5470(2148)

 筋力:5188(1702)

 敏捷:7222(4231)

 魔力:5344(1699)


 スキル:迷宮適応 双刃術 壁抜け 探知 奉仕術 奉仕術 飛天脚 神の運

 適性魔法:迷宮魔法 迷宮同調 隠密魔法

==========



「シルビア、奉仕術について説明してみろ」

「料理から掃除に至るまで様々な家事能力が向上するスキルです」


 奉仕術――主に仕えている時、家事能力が向上する。

 スキルは詳しく知ろうと思えば詳細な効果を把握することができる。奉仕術には、シルビアの説明通りの効果がある。この奉仕術を手に入れたおかげで家事手伝い程度の能力しかなかったシルビアも一流メイドと変わらない技術力を得た。


 さて、ここで注目してほしいのが奉仕術を2つ持っていることだ。


 前者の奉仕術が先に説明したように家事能力を向上させてくれるスキルだ。


「で、2つ目の方は?」

「……」


 既に詳細を確認していることが分かっているのにシルビアは答えない。


 奉仕術――主に仕えている時、性技能力が向上する。


「これはどう考えてもアウトだろ」

「違うんです。本当に気付いたら、いつの間にかスキルを手に入れていたんです。そりゃ、わたしだって『上達したかな?』って思う時はありました。でも、それがスキルのおかげだったなんて気付かなかったんです」


 不名誉、というわけではないが娼婦でもないのに性関連のスキルを手に入れてしまったことが恥ずかしいらしい。

 俺としては、それぐらいで態度を変えたりするようなことはない。

 むしろ、この奉仕術の対象は俺が相手でなければ発動しないので主としては嬉しいぐらいだ。


「そんなに恥ずかしがらなくてもいいではないですか」

「だって……」


 恥ずかしがるシルビアを宥めているメリッサだが、彼女の方がアウトだ。


「メリッサ、お前は露骨すぎだ」


 シルビアを宥めていたメリッサの動きが止まる。



==========

 名前:メリッサ

 年齢:15歳

 職業:迷宮眷属(ダンジョンサーヴァント) 冒険者

 性別:女


 レベル:72

 体力:5194(1872)

 筋力:4359(873)

 敏捷:3860(869)

 魔力:64530(2808)


 スキル:迷宮適応 魔神の加護 地母神の加護 魔力解放 性欲操作

 適性魔法:迷宮魔法 迷宮同調 全 空間 結界

==========



 性欲操作――対象の性欲を増加・減少させる。


 いつも俺の方が先に気絶させられると思っていたら、いつの間にかこんなスキルを手に入れていた。

 スキルを使用する為には魔力を消費するので、一般人で持っていたならちょっと盛り上がる程度で済ませられるのだろうが、メリッサの持つ魔力量を考えると一晩では済まされない。


 ただし、俺は勘違いしていた。


「バレてしまったなら仕方ありません。このスキルがあるおかげで、主は私たちを相手にし続けることができるのです。少しは感謝をしてほしいぐらいです」

「へ?」

「お気付きではありませんでしたか? 普通に考えて4人を相手にし続けるのは大変なはずです」


 疲労を感じることはあっても、できないと感じたことは今までなかった。

 その気にさえなれば人間なんでもできるものだと感心していたんだけど……


「お前がスキルを使っていたのか!?」

「はい。眷属として主にばかり負担を掛けるのは忍びなかったものですから」


 もっと別な方向へ気を遣って欲しかった。


 けど、それが意味するところは……


「俺、スキルを使われた状態でもお前に気絶させられていたのか」


 女性陣には敵わないなと思いながら注意事項を告げる。


「今後は、新しいスキルを手に入れたら必ず報告すること」


 戦略を練るうえでも、それぞれがどんなスキルを持っているのか把握していないと作戦を立てることができない。

 主として眷属の能力は把握しておかなければならない。


 だが、メリッサは曲解して解釈してしまった。


「そういうことでしたら、残りの二人もどういう風に能力を使用しているのか確認するべきです」

「そうですね」


 メリッサの提案にシルビアが賛同する。

 ただし、自分たちには触れられないと安心していたアイラとイリスは落ち着かない様子だった。


 何かあるのは間違いない。

 けれども、二人のステータスを確認してもスキルが増えた様子はない。


 改めてアイラとイリスのステータスも確認してみる。



==========

 名前:アイラ

 年齢:15歳

 職業:迷宮眷属(ダンジョンサーヴァント) 冒険者

 性別:女


 レベル:91

 体力:5662(2340)

 筋力:6061(2575)

 敏捷:4712(1721)

 魔力:4583(938)


 スキル:迷宮適応 明鏡止水 飛翔斬 破天剣

 適性魔法:迷宮魔法 迷宮同調

==========



==========

 名前:イリス

 年齢:16歳

 職業:迷宮眷属(ダンジョンサーヴァント) 迷宮代行者(ダンジョンエージェント) 冒険者

 性別:女


 レベル:99

 体力:4879(1557)

 筋力:5182(1696)

 敏捷:4270(1279)

 魔力:5391(1746)


 スキル:逆境 剣舞 迷宮操作 迷宮適応 迷宮守護 迷宮接続 迷宮破壊 迷宮結界 眷属召喚 天癒 施しの剣


 適性魔法:光 水 迷宮魔法 迷宮同調 隠密魔法


==========



「別に知っているスキルしかないけど」

「アイラさんはスキルではなく魔法を使用しています」

「おお、使えるようになったのか」


 アイラは適性魔法に『迷宮魔法』を持っているので、ほとんどの魔法を使用することができるはずなのだが、元々の苦手意識と魔法そのものへの適性の低さから魔法が使えずにいた。


「アイラさんの場合は、魔力の魔法への変換が上手くいかないという問題がありました。ですが、魔力による肉体強化は問題なくできていたようなので、密着した状態なら自分の体内で変換させた魔法を相手に浴びせることで魔法を使用することができます」

「……密着した状態?」

「もちろん手と手が触れ合うような距離では上手くいきません。文字通りに全身が触れ合うような距離でなければなりません」


 ベッドの上なら密着状態なのでアイラでも魔法を相手に使用することができる。


「……アイラ?」


 問い掛けると泣きそうになっていた。


「仕方ないの。あたしでも使えるような魔法がないかメリッサと相談していたら密着状態でなら使えるってことを聞いて、戦闘中に密着するようなことはないから諦めていたんだけど……」


 密着状態になった事で使える機会があった。

 気付いてからは魔法を使用するようになった。


「だから、ちょっとだけ闇属性魔法の欲望を高めてくれる魔法を使って……」


 楽しんでいた、と。


「……イリスは?」

「わ、私は怪しいスキルも手に入れていないし、魔法だって元から使える」


 明らかに動揺している。

 そんなイリスの秘密を暴露するのはメリッサだ。


「イリスさんが使用しているのは回復系のスキルと魔法です。それを応用すれば主に気付かれないよう回復させることもできます」

「ああ、そういうこと」


 さすがに体力が全回復するようなことをされれば気付いたかもしれないが、イリスがしていたのは一部分だけの回復。


 おかげでスキルや魔法を使われていることに気付かなかった。


「いや、みんなで話しているとスキルとか魔法を有用に使っているみたいだったから私なりに真似してみたの」


 可愛らしく言っているが、内容は完全に夜戦向きだ。


 俺から言えることは一つだけ。


「お前ら、少しは自重しろ」

『ええ~』


 俺を批難するような声が上がるが、一人で四人を相手にしなければならない俺の立場を確認してほしい。


 気付かなかった俺も悪いが、知っていながら教えていなかった奴もいる。


『ははっ、どうしてステータスを確認するだけのはずが、こんな暴露大会になっているんだろう』


 迷宮核(ダンジョンコア)の奴は、俺たちのやり取りを覗いて楽しんでいた。

 どいつもこいつも信用ならない。


『でも、一番酷いのは主だよね』

『は?』

『だって主は迷宮魔法で眷属全員のスキルを再現することができるし、適性が足りない属性なんてないから全ての魔法を使うことができるんだから』


 奉仕術は、俺が主であるため使用条件を満たしていないので使用することができないが、メリッサの性欲操作も性欲を高める魔法も回復魔法も使える。



==========

 名前:マルス

 年齢:15歳

 職業:迷宮主(ダンジョンマスター) 冒険者

 性別:男


 レベル:170

 体力:16611

 筋力:17433

 敏捷:14957

 魔力:18225


 スキル:迷宮操作 迷宮適応 迷宮創造 眷属契約 魔力変換 迷宮接続 迷宮破壊

 適性魔法:迷宮魔法 迷宮同調 土

==========



『良かったね。これで夜は楽になりそうだよ』


 俺だけにしか伝えていないみたいだが、みんななんとなく察している。


「がんばります……」


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