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ダンジョンマスターのメイクマネー  作者: 新井颯太
第13章 海魔舞踏
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第14話 水着

 どこまでも広がる青い海と白い砂浜。遠くには小さな島も見える。


 砂浜に立つとビーチパラソルを砂浜に突き刺してビーチチェアを5つ並べる。


 俺が今いるのは港町であるサボナの奥にある開発されたリゾート施設だ。温泉街のフェルエスと同じように貴族や大商人を相手にすることを目的に開発された場所には豪華な宿が並び、宿の前には美しい砂浜と海が広がっていた。

 もちろん料金さえ支払う事ができれば一般人――冒険者でも利用する事ができるようになっている。


 サボナで1泊した俺たちはリゾートの砂浜へとやって来ていた。


「平和だ」


 砂浜に並べたビーチチェアの隣に立ちながら呟く。


 今の俺は、紺色のハーフパンツの水着姿という姿だった。

 辺境に住んでいたため水着なんて持っていなかったが、幸いにしてリゾート施設の方で水着のレンタルを行っていたので料金を支払ってそれぞれ好みの水着を選んでいた。


 男の俺は特に好みなんてなかったので適当にサイズの合う物を選んだだけだ。

 さらにビーチパラソルやビーチチェアといった海で快適に過ごす為に必要な道具もレンタルされていたので一緒に借りて来た。


「しかし、こんな穏やかな光景を見ていると本当に危険な魔物が出ているのか不思議になるな」


 砂浜には俺たち以外にも何十人という人の姿が見えており、それなりの賑わいを見せていた。


『どうやら巨大魔物が出ると言っても相手の目的は沖合に出て来る船だけみたいだし、砂浜にいる限りはそれほどの危険がないのかもしれないね』


 迷宮核(ダンジョンコア)が言うようにリゾートにいる人たちの表情に悲壮感はない。


 それでもサボナに危険な魔物が出現するという事には変わりないのでリゾートを経営する側としては早急に対処して欲しいのだろう。


「それにしてもあいつら遅いな」

『女性の着替えには時間が掛かるものだよ。もう少し待った方がいいよ』


 人数分のビーチチェアを用意しながら一人でいるのは水着に着替えている女性陣を待っていたせいだ。


 俺の着替えはすぐに終わるので荷物を預かって準備していた。

 準備、と言っても預かっていた荷物やビーチパラソルのような道具を道具箱(アイテムボックス)から取り出して用意しただけだ。


 近くにある休憩所で着替えられるようになっているので、それほど時間は掛からないだろうと考えていたのだが甘かった。


「お待たせしました」


 振り向くと水着に着替えたシルビアが立っていた。


 シルビアはシンプルな白いビキニを身に着けており、スラッと伸びた長い手足が強調され、スタイルの良さがはっきりと分かる。

 ただ、俺が振り向いた直後は平気な顔をしていたのだが、思わず見とれていると彼女の方も恥ずかしくなってきたのか頬を赤く染めて顔を逸らされてしまった。


「何を恥ずかしがっているのよ」

「きゃっ」


 恥ずかしがっているシルビアの肩に後ろから手を置いたのはアイラだ。

 アイラの選んだ水着は濃い紫色のチューブトップにショートパンツという出で立ちだった。動き易そうな物を好む彼女らしい選択だ。


「どう?」


 その場で回ると俺の評価を聞いて来た。


「うん。似合っているよ」


 素直にそう思える。


「もっとちゃんとしたコメントが欲しいな」


 しかし、アイラには不服だったみたいだ。


「アイラの選んだ水着は普段から前衛として鍛えている体がしっかりと分かるよう体型にフィットした水着でお前らしさが際立っている」

「え……?」

「シルビアの方は普段から家事とかして大変なのに肌が綺麗で身長も高くてスタイルもいいから、こういう姿が見られるだけで俺としては満足だよ」

「はうっ……」


 俺の評価を聞きたがっていたアイラまで顔を赤くしている。

 実際に彼女たちに似合っていたので素直な感想を言ったまでだ。


「それよりも二人はどうした?」

「ああ、それならイリスが恥ずかしがって……」


 アイラが休憩所の方へ顔を向けるので俺もそっちを向く。

 すると、休憩所の方から歩いているメリッサの姿と手を引かれながらメリッサの陰に隠れるイリスの姿があった。


「お待たせして申し訳ございません」


 俺の前まで来たメリッサが謝る。


 メリッサは黒いビキニで腰にはエメラルドグリーンのパレオを巻いていた。

 ただ、それよりも目を引くのが4人の中で一番大きな胸部の装甲だ。あれに目を引かれない男はいない。何よりも4人の中で一番身長が低いにも関わらず、一番厚いというのが凄い。


 クスクスとメリッサが笑っている。

 俺の視線に気付いたみたいだが、相手が俺であるからか笑っているメリッサの顔に嫌悪感らしい物はない。


 彼女から嫌われずに済んだ。


 しかし、シルビアとアイラからは嫌われてしまったらしく視線が痛い。


「似合っているよ」

「ありがとうございます」


 俺の内心が分かっているからか、それだけで満足するとアイラのように追加のコメントを要求されるような事はなかった。

 俺としてもコメントに困るので助かった。


 で、問題なのが未だにメリッサの後ろに隠れているイリスだ。


「イリスはどうしたんだ?」

「どうやら恥ずかしがっているようなのです」

「恥ずかしい?」

「はい。特に主の前に出る勇気がないそうです」

「うう……」


 本当に恥ずかしいのか一向に出てこようとしない。


 しかし、メリッサが空間魔法で転移して、その場から俺の横に移動すれば隠れていたイリスの姿が露わになる。


「え……?」


 露わになったイリスの水着姿は自分の髪の色と同じ青いビキニだった。ただ、肌を晒すのが嫌なのか長目の白いパーカーを羽織っていた。


「ど、どうして離れるの?」

「水着なんて、普段から既に下着姿ぐらいなら見せているのだから問題ないはずです。むしろ何が問題なのか分かりません。選んでいた時は楽しそうにしていたじゃないですか」


 まあ、メリッサが言うように既に水着よりも布面積の少ない下着姿は見てしまっているし、脱いだ状態も見ている。


 だが、敢えて言わせてもらうなら下着と水着では全く違う。

 肌を隠す事を目的とした下着と違って、水着はその姿そのものを見せる事を目的とした着衣だ。


 はっきり言って、それ自体に価値がある。


「似合っているんだから問題ないぞ」

「そういう風に言われるのが恥ずかしいの」


 単純に俺相手に褒められるのが恥ずかしいらしい。

 なんとも初々しい反応だ。


 他の3人にはないイリスの反応にほっこりとする。


「大丈夫か?」

「私みたいな貧相な体じゃあ水着になっても嬉しくないでしょ」


 貧相って……。

 たしかにシルビアやメリッサよりも小さいが、アイラよりもある。それで貧相だと言っていたらアイラが可哀想になる。


「なに?」


 射殺さんばかりに睨み付けられたので話題を変える。


「うん。パーカーがあれば平気……」


 ちょっとまだ辛そうだ。

 けど、その内に慣れてくれるだろうから我慢してもらうしかない。


「それでは、全員が揃ったところで遊ぶ事にしよう」


 今日は1日遊ぶことにしている。

 仕事なんて忘れよう。


「あの……」

「どうしたシルビア?」

「この中で海でも泳げる人はいますか?」

「あ……!」


 イリス以外は海に来るのは初めてだ。

 当然、海で泳いだ事などない。


「というか、泳げる?」


 そもそも泳げるかどうかの確認すらしていなかった事に今さら気付いた。


「わたしは故郷の村近くに川があったので最低限の泳ぎならできます」

「あたしは迷宮で練習したから問題ない」

「領主の娘だった頃に教えてもらった事がありますので泳げましたが、あの事件以降は泳いでいないので今も泳げるのか分かりません」

「私は泳げない……」


 まさかの海に来た事があるイリスすら泳げない始末。


 俺は故郷にいた頃は近くに湖があったので溺れない程度に泳げる程度だったが、何度も迷宮の海フィールドに出入りしている内に自然と泳げるようになった。


 これは、問題だ。

 これから海で討伐を行うというのに泳げる人間が俺とアイラしかいない。


「……まずは泳ぎの練習から始めよう」



以前にも出した序列順位

メリッサ>シルビア>イリス≧アイラ

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