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ダンジョンマスターのメイクマネー  作者: 新井颯太
第10章 蹂躙戦争
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第14話 VS帝国軍―前編―

ある意味リザルト回が続きます。

 目の前には4000人近い軍勢。


 だが、それがなんだというのか。

 軍勢に向かって正面から突っ込んでいく。


「全員、攻撃だ!」


 隊長らしき男が指示を出す。

 指示を受けた兵士が手に持っていた槍を突き出してくる。


「はい残念」


 腕を振ると俺を中心に衝撃波が発生し、槍を突き出して来た兵士だけでなく近くにいた兵士も巻き込まれて遠くへ吹き飛ばされて行く。

 その先には迷宮操作で造り出した穴がある。


 吹き飛ばされた兵士たちが悲鳴を上げているが、穴底に落ちた瞬間から何も聞こえなくなる。


「ひっ!」


 指示を出した隊長の前に出る。

 隊長は怯えた様子で俺のことを見てくるが完全に委縮してしまって攻撃してくる様子すらない。


「隊長1人ご案内」


 横腹を蹴り上げると穴へと吹き飛ばす。

 隊長がどうなったのか確認することなく軍勢へと突っ込む。


「に、逃げろ……!」


 兵士の1人が逃げ出したことによって次々と兵士たちが後退を始める。

 しかし、隊列を組んでいた軍勢は後ろにも人がいるため前線が後退を始めたところで後方部隊が壁になって逃げることは叶わない。


 結果、俺の突撃を許すことになる。


「ぐはっ!」

「くそっ!」

「た、助けてくれ!」


 吹き飛ばされる度に兵士の声が上がる。

 中には命乞いをする声もするが全て無視だ。


 魔力の反応を横から感じて足を止める。


「サンダーランス」


 止まったことで槍のように迫って来た電撃が俺の前を通り過ぎる。


 そういえば戦場で風の魔法に対して電撃を放って迎え撃っていた魔法使いがいたな。その魔法使いが50メートルほど先にいる。

 使い魔を通して移動中にずっと戦場の様子を確認していたので主要な戦力については把握している。

 たしか名前はガルガッソだったな。


「おいおい、仲間が巻き込まれたぞ」

「仲間? 俺にとってはどうでもいいな」


 戦力として重要な魔法使いなためか味方を巻き込むような攻撃をしても許される立場にいるみたいだ。

 俺を攻撃する為に放たれた電撃は、俺が吹き飛ばそうと思っていた兵士も巻き込んで攻撃してきた。今の攻撃だけで何人が行動不能になった?


「俺はお前みたいな強い奴と戦えれば満足だ」

「悪いが、俺には興味がないな」


 俺の周囲に味方がいなくなったためか広範囲を巻き込むような電撃が放たれる。


 俺とガルガッソの戦い。

 周囲にいる兵士たちも最強クラスの魔法使いが戦うことになって安堵しているのか逃げていた足を止めて俺が倒されるところを見ようとしている。


 では、期待を裏切ることにしよう。


 ガルガッソが放った電撃を片手で払い落とす。


「……は?」


 払われた電撃が俺たちの戦いを見ていた兵士たちのいる場所へと落ちて10人ほどの兵士が倒れていた。


「魔法を素手で叩き落とす、だと……?」


 魔剣や聖剣など武器に魔力を纏うことによって魔法を撃ち払う方法は存在する。

 素手でも同じ方法を用いれば魔法を弾けるのは自明なはずだ。もっともそれだけの事を成すには十分な魔力を纏った状態で放たれた電撃に対して的確に叩く必要がある。そんな技量を持つ者はなかなかいない。


「呆けてる場合か?」


 ガルガッソに向かって駆ける。


「チッ」


 舌打ちと共に電撃が放たれる。

 が、右へ回避する。

 回避した場所にも新たな電撃が放たれて来たので左へと回避する。


 何度放っても電撃が当たることはない。


「こうなった……」

「もう、遅い」


 何かしようとしていたみたいだが、最後に加速したことで一気にガルガッソの懐に飛び込む。

 そのままの勢いで腹に拳を叩き付ける。


「ぐはっ」


 宙に浮いたガルガッソの口から大量の血が吐き出される。


「魔法使いの紙装甲ならこうなるか」


 俺の拳はガルガッソの腹部を貫いており背中から拳が突き出ていた。


「き、きさま……!」

「お前は戦いにスリルを求めていたみたいだけど、自分よりも圧倒的に強い奴がいるとは考えなかったのか?」

「それ、でも……戦いを求めずには、いられなかった、だけだ」

「そうか」


 正直言ってこいつの考えなんて興味がない。


「これはもらっていく」


 俺がわざわざ対峙して正面から倒した理由。

 それは、確実にガルガッソが装備していた魔法道具である指輪を回収するため。


 使い魔を通して見ていたせいで魔力を感知することまではできなかったが、想定以上に強力な攻撃や魔力の持続力を鑑みて魔法使いが戦場で活躍できるようにしてくれる効果がある魔法道具である可能性が高い。

 穴に落としてしまっては後で回収するのが難しくなる。


 俺は、ガルガッソとの戦闘を優先したのではなく指輪の回収を優先させた。


 全ての指に嵌った指輪を回収する。


「そ、それは……」


「お前たちは何も残せない。俺が何も残させない」


 収納リングに魔力を流すと手の中にあった指輪が消える。

 指に嵌った状態だと所有権がガルガッソのままだから奪うことができないため指輪を回収する必要があった。


 腹を貫いていた手を引き抜く。


「邪魔」


 ガルガッソ自身には用がない。

 倒れていく腕を掴むと穴に向かって放り投げる。


「な……ガルガッソ様が!」


 帝国兵の中に動揺が広がる。

 相当な実力者であったことは間違いないため俺と戦い始めた瞬間にはガルガッソの勝利を疑っていなかったのだろう。いや、祈る気持ちもあったのかもしれない。


 しかし、相手が悪かった。

 俺の敏捷値や魔力値は既に人外のレベルに到達している。

 魔法を当てることはできないし、当たったとしても魔力を身に纏った今の状態ではダメージを与えることはできない。


「さあ、誰が――」


 騎士が2人左右から剣を振り下ろしてくる。

 それを片手で掴む。


「馬鹿な! 素手だと!?」

「俺たちの全力だぞ!?」


 ガルガッソを倒して油断していた瞬間を狙ったつもりなんだろう。

 だが、油断など全くしていなかった俺の気配探知には近付く騎士2人の姿がはっきりと映っていた。

 そのため魔力を纏った手を掲げるだけで魔法道具の剣を受け止められた。


「掴んだところで無意味だ!」


 騎士が叫びながら剣に魔力を流す。


「おっ」


 すると剣の重量が増していく。

 魔力を流すことによって重量を変化させられる剣か。


「な、なぜそのままでいられる」

「これぐらいなら大した重量じゃないからな」


 おそらく騎士の思惑としては増した重量に対して体勢を崩した俺が地面に崩れ落ちる。もしくは、そのまま斬られてしまう姿を想像していたのだろう。


 だが、俺は体が少し沈んだだけで全く動かない。


「これも貰おうか」


 強引に掴んでいた剣を引いて騎士の手から剣を奪う。

 だが、すぐに収納リングへ入れるような真似はせずに道具箱(アイテムボックス)を目の前に出現させる。


 ポイっと道具箱の中に投げると消える剣。


 騎士2人が自分たちの奪われた武器が突然消えた光景に言葉を失くしている。


「まだまだ奪う武器はたくさんあるんだ。さっさと済ませるぞ」

「「……え?」」


 呆然としている間に腕を掴まれていた騎士を穴に向かって投げる。


「「うわあああぁぁぁぁぁ!」」


 穴に落ちて姿が見えなくなった後では声が聞こえない。

 底には剣山のように槍が敷き詰められている。迷宮操作で造り出した槍は頑丈で騎士鎧を着ていても貫通することができる。


 たとえ急所を外れても体のどこかには突き刺さるようになっているので、生きたまま串刺し状態で放置されることになる。


「さあ、誰が次に落とされる?」


 先ほど騎士2人に中断されて言えなかったセリフを告げると兵士たちが次々と逃げ出した。

 一体、何人残っているんだか。


『最初の落とし穴で約800人。追加で落としたのが284人。クラーシェル軍が400人ほど倒してくれたから残りは3500人ぐらいだね』


 迷宮核が教えてくれた。

 わざわざカウントしなくてもいいんだよ。


戦争参加リザルト

・『魔力増幅』の指輪×2

・『魔力強化』の指輪×2

・『魔力消耗減少』の指輪×2

・『魔力回復増加』の指輪×2

・『魔法強化』の指輪×2

・『重量変化』の剣×2

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