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ダンジョンマスターのメイクマネー  作者: 新井颯太
第7章 遺跡探索
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第18話 罠感知

 自分たちで作った地図に従って分かっている範囲を進むと2階へ行ける階段はすんなりと見つかった。

 2日目ともなればみんな2階を目指しているのか他の冒険者に付いて行くだけで階段に辿り着くことができた。


「ブレイズさんたちと会うことができればよかったんだけど


 遺跡探索の為に来ている冒険者とは、同じアリスターから呼ばれているということもあって顔見知りが多いが、やはりブレイズさんたちが一番接しやすい。


「2階はどんな所なんでしょう?」


 階段は4人で横に並んでも余裕のある物でゆっくりと上がることができる。


「それは、上がってからのお楽しみだな」


 階段に辿り着くまでに1時間ほどの探索をしたが、魔物とは一切遭遇することがなかった。

 やはり、未知の物が待ち受けていた方が探索のし甲斐がある。


「さて、また分かれ道みたいだが」


 階段を上がると大きな部屋に出た。

 その部屋を出ると遺跡に入った時と同じように道が左右と正面に続いていた。

 後ろは、階段のある部屋だ。


「どっちに行く?」


 今度はアイラとメリッサに聞くような真似はしない。

 というよりも2人も選択をシルビアに委ねていた。


「どっちを進んでもあまり変わらないように思えますね」

「どういうことだ?」

「既に複数のパーティが2階に来ているらしくどの道からも人の気配がします」


 ま、今朝は他の冒険者と違ってしっかりと朝食を摂ってからのんびりと出てきたから出遅れた感は否めない。

 2日目の今日は初日と違って遺跡に入る順番などないので全員が思い思いの時間に遺跡へと挑む。一組、初日と同じように遺跡に入ることのできなかったパーティもいるが気にしない。


「ただ、左側の道から感じられる気配は少ないです」


 シルビアは道の先にいる人間の気配までしっかりと把握していた。

 彼女のスキルには【感知】がある。【感知】は、人間や魔物の気配だけでなく周囲にある物全てを把握することのできる万能な探知能力だ。その代わり、宝箱に仕掛けられた罠を感知する【罠感知】のように特化したわけではないので、罠を感知できるようになるには相当な熟練度が必要だった。


 それでも一般的に知られているスキルの上昇速度よりも速くスキルが強くなっている。【感知】は万能な代わりに【罠感知】のように特化したスキルには及ばないはずだ。

 これも迷宮眷属の恩恵だろうか?


「じゃあ、左側へ行ってみよう」

「1階の時とは違うのですね」

「昨日は初めての探索だったから他の冒険者の行動を参考にしようとしたけど、遺跡がどういう場所なのかは昨日だけでなんとなく分かっただろ」


 俺の言葉に3人とも頷いて、宝箱や魔物が残されていそうな左側へと進む。

 左側へ進んで十数分は魔物が全く出てこなかったが、しばらく進むとガシャンガシャンと音を鳴らしながら黒い鎧が近付いてきた。


「ようやくお出ましか」


 おそらく先に通った冒険者が倒したせいで魔物が出てこなかったのだろう。

 ということは、いつの間にか追い抜いたか別の道に出たのだろう。

 シルビアの【感知】では、大まかな方向が分かるだけでどっちに進めば他の冒険者と遭遇しないかまで分かるわけではない。


「さて、誰が戦う?」


 鎧型の魔物にはある程度のダメージを与えるだけで崩れる傾向がある。

 目の前にいる黒い鎧も初めて見る魔物だが、同じ方法で対処しても問題ないだろう。


「鎧の発する音がどうにも軽いですね。中身は空っぽかもしれません」


 迷宮にいる鎧型の魔物も鎧が自立して動いているだけで中に誰かがいるわけではない。

 そういう相手の場合、ステータス異常を与える攻撃は意味を成さない。


「はい。あたしがやるわ」


 アイラが手を上げて立候補する。


「1階じゃあ、あまり役に立たなかったから、ああいう硬そうな相手にはあたしがちょうどいいわ」


 1階はマミーを始めとしてアンデッドが中心の魔物が相手だったため浄化能力を持ったメリッサの魔法が中心的だった。アイラの使う物理攻撃一辺倒な斬撃ではアンデッドを完全に仕留めることはできない。

 ただし、一応教えておかなければならない。


「お前に渡した聖剣。聖剣なんだから浄化能力も持っているぞ」

「嘘っ!?」

「単純にお前がスキルの扱いに苦手意識を持っているから浄化能力も力を発揮してくれていないだけだと思う。明鏡止水と同じように意識して使い続けていれば浄化能力も発揮してくれるようになるさ」

「そっか」


 アイラは賞金稼ぎとしてスキルも持たずに剣だけで生き抜いてきたせいで眷属になってから得たスキルに不慣れだ。

 実戦で慣れてもらうのが一番だ。


「なんとなく分かった」


 黒い鎧――リビングアーマーへと駆け、剣に魔力に纏わせた状態で鎧を聖剣で両断する。

 ズルッとリビングアーマーの上半身と下半身が分かれ、床に倒れる。


「やった!」


 アイラはアンデッドを一撃で倒せたことに攻撃に浄化能力が備わったと思って喜んでいるが……


「今のは異常なほど強い攻撃でリビングアーマーを力業で倒しただけだ」

「そんな!?」


 リビングアーマーの斬られた部分を見てみると強い衝撃によって吹き飛ばされたように欠けていた。

 幸い、胸の中心部分に埋め込まれるようにあった魔石は無事だったのでさっさと回収する。


「せっかく上手くいったと思ったのに……」

「ま、今後も練習を続けてできるようになってくれればいいさ。それに教えなかった俺も悪い」


 聖剣という名前から浄化能力が備わっていることぐらい連想してほしいと説明を怠った俺にも責任がある。

 だから訓練には付き合うつもりだ。

 街中で練習している最中にでもこんな被害を出されたのではたまったものではない。


「魔力を込め過ぎだ」


 リビングアーマーを倒した一撃は、倒すだけに止まらずに後ろにあった壁までも破壊して奥にあった部屋の中が見えるようになっていた。


「どうする?」


 部屋の中を探索するかどうか?


 部屋の中に入らなくても一目見ただけで、どんな部屋なのか分かる。


「今度は9個の宝箱ですか」


 宝箱が縦に3つ、横に3つずつ並べられていた。

 昨日見つけた宝箱と同じ部屋だ。


「もう、罠を受けるつもりはないぞ」


 どの宝箱に罠が仕掛けられているのか分からない状態で宝箱を開けるつもりは俺にはない。

 今後、挑戦するとしたらシルビアの【感知】がレベルアップした時だ。


「ん?」


 そのシルビアは宝箱を睨み付けていたかと思うと徐に真ん中に置かれた宝箱に手を掛ける。

 シルビアの敏捷ならどんな罠が仕掛けられていても回避できるだろう、と思いつつも警戒しながら宝箱を開ける瞬間を見ていると……罠は、発動しなかった。


 もしかして……


「罠の有無が分かるようになったのか!?」

「今回はなんとなくです。他の宝箱からは嫌な感じがしたのにこの宝箱からは罠が仕掛けられていた宝箱のような嫌な感じがしなかったので、もしかしたらと思ったんです」

「いや、それでもよく分かったな」

「ご主人様が何度も罠を起動してくれたおかげです」


 なるほど。

 何度も罠が起動する瞬間を傍で見ていたおかげで【罠感知】のような力が鍛えられた。おかげで【感知】能力が急激に成長したのだろう。まだ、不安が残る性能らしいが、十分な成果を発揮してくれた。


 どうやら俺が何度も罠を作動させたのは無意味ではなかったらしい。


「ありがとう」

「あっ……」


 シルビアの頭に手を乗せて撫でる。

 最初は驚いたような反応を見せていたシルビアだったが、すぐに目を閉じてされるがままになっている。

 これもシルビアなりの甘えなのだろう。


「えへへ……」


 シルビアは自分の不安を吐露した日からふとした時にだけだが俺にこうして甘えることが多くなった。

 うん、いい傾向だ。


「「むっ」」


 それに納得いかないのがアイラとメリッサだ。

 まるで示し合わせたようにシルビアの開けた宝箱の左右にある宝箱を同時に開けると罠を作動させる。


 アイラの開けた宝箱はミミックに変わる。

 メリッサの開けた宝箱からは、毒々しい紫色の煙が噴射される。


「ふんっ」


 ミミックへと変わった宝箱は、アイラの振り下ろした剣によって砕かれた。

 宝箱を開けた人物を死に至らしめる毒は、メリッサの施した結界によって誰に触れることもなく宝箱の上を漂っている。


「何をしているんだ?」


 大方、自分も当たりを引いて褒めてもらおうと思ったのだろう。

 だが、シルビアの言った『他の宝箱からは嫌な感じがした』という言葉を思い返せば当たりがないことは予想ができる。


「ほら、行くぞ」


 とにかくこれで宝箱に挑戦する楽しみが増えた。


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