山谷の本気part3
ついにこの日がきた。
しっかりとこの日のために準備を積んできた。
そして今、体育の授業が始まった。
「全員、集まれ!」
保健体育の教師、小林大和の声がグランドに響き渡る。
「あーぁなんか集まるのって面倒くさいよな。」
山谷は近くにいた友達にどうでもいいことを語りだす。
「そうだな、」
そうやって話していると、突如大声が聞こえた。
「おい!山谷!さっさと集まれ!」
このままヤツ、小林大和を怒らせて猛追されると今までの計画がすべて水の泡になってしまう。なのでここはいさぎよくしたがっておく。
(なんだか今日の山谷はやけに静かだな、なんかあったのか?)
1~3学年の男子が全員小林の前に集まった。(女子と男子は別々で授業中)そして今日の授業の内容を教えられた。今日の授業は自分たちの出場する種目の練習をするそうだ。
今回の作戦ではこの「練習」が重要になってくる。
俺は走り高跳びの選手だ。そこには二年の阿玉倭離位も一緒にいた。ちなみにこいつは今回の計画でとても重要な人物となる。
授業開始から数分後。
俺たちは高跳びの練習をしていた。しかし、練習中にとんでもない悲劇があった。
「ズドォォォォォォン」
ものすごい爆音が聞こえた、しかし、グランドにいる男子生徒の三分の一程度の奴らはそんなにビビることはなかった。
なぜなら皆、この爆発が起こることがわかっていたからだ。もちろん、これを爆発させたのは山谷だ。体操服のハーフパンツの中に起爆スイッチがあり、それを押したのだ。
もちろん爆発したのは昨日買った爆竹と火薬だ。
爆音が聞こえてグランドに騒めきが響く。
「は?なにがあったの?」
「なんかすげー爆発だったな。」
「なぁ、それな、あとなんか救急車とかの音ヤバくね?終わったな。」
そう、俺らの狙いはまずは救急車だ。これにはしっかりとした理由がある。しかし、説明なんてしている暇などない、今も計画が順調に進んでいる。
皆がこの謎の爆音に不安を感じているとき、大声が聞こえた。
「おーい、お前ら、近くの街でちょっと爆発が起こったみたいだ。こちらには特に何も危険はないから、練習を続けろよー」
そもそもたぶん、ちょっとでは済まされない爆発が起こってると思うが気にしない、気にしない。(現金二千万円分の力)
そして、この次がとても重要だ。今回の仕掛け人、倭離位がわざと高跳びで背面とびをし、腰の骨を折る。(折ったフリ)すると街の救急車は全台街へ行っているはずなのでたぶん学校の屋上にドクターヘリが来るはずだ。そして小林はとてつもなくヘリコプターが大好きである。そこを狙って職員室へ向かう。
今ちょうど倭離位が飛ぼうとしている。その際にこちらにアイコンタクトを送ってきた。たぶん、
(行くぞ、いいか?)だと思う、なので自分の顔を縦に振った。
すると倭離位は右の親指を立ててきた。
フリをするつもりでいったら本当に折りました。なんてことにならないことを祈る。
倭離位は勢いよく走った。そして思いっきり棒に向かって回転とスピードを合わせて背面とびのようなことをする。
そして勢いよくマットにダイブ。もちろん動かない。
「あぁ、あ、っこ、腰がっ。」
マジでやらかしてしまいましたアピール発動!
それに運よく気づいた小林が口を大きく開けてこちらへ走ってきた。
小林が焦って倭離位の方へ行く。
「どうした、倭離位、まさか腰の骨を折ったのか?わかった、今救急車を呼んでくる。」
なぜか小林は焦りすぎて倭離位は何も言っていないのに救急車を呼んでくることになった。
「お前ら、ちょっと先生職員室言ってるから、その間、倭離位のことを見といてくれ。あと、山谷、なんかすんじゃねぇぞ、学級委員、山谷を見張ってくれ!」
小林はそういって、ものすごいスピードで職員室へ向かっていった。しかし、俺はなんか10人ぐらいの学級委員に周りを囲まれている。いったい俺が何をしたっていうんだ。まだ何もしていないのに。
数分後…
小林が戻ってきた。しかし、なんか興奮気味だった。
「倭離位、今、さっきの、爆発の、せいで救急車が全台いっているらしい。だからドクターヘリが来るそうだ。お、おれはちょっとヘリコプターを見に、じゃないわ、確認しに行ってくる。そこでじっとしてろ。」
小林、ヘリコプターを見に行きたい感情を抑え切れてないのがバレバレだぞ?
そういってまた校舎へ行ってしまった。
ここからが俺らの本当の戦いだ。
俺は先生が校舎に入った瞬間、叫んだ。
「計画実行!メンバー全員器具庫集合!」
その声とともに三分の一の男子たちが器具庫へと一斉に走りだした。もちろん倭離位も起き上がり。走り出した。
昨日用意したものの入っている器具庫にだいたいの人数がそろった。
そうして器具庫の重い鉄扉をオープン。すると中にはいろいろ入っている。
「一人それぞれ連絡したよう、鰹節を手に持つこと。しかし特殊部隊は本を持て!そして梯子舞台は梯子を!」
約300人が片手に鰹節を手に持ち、立っている。そうして俺は自家製のロケットランチャーを担ぐ。
今いる300人以外の男子たちは何が何だか、わからなくなり棒立ちしている。
そして、山谷は自家製ロケットランチャーを職員室の柱に向かって撃ち込む。ご安心を、殺傷能力はゼロに等しくなるように作ったので職員室のやつらが、くたばっちまうことはないはずだ。
自家製ロケットランチャーの弾頭がきれいな直線を描きながら職員室に吸い込まれていく。その間、梯子を掛ける部隊が消防用の梯子を職員室の下辺りに用意。
ズドォォォォォォン
物凄い爆音と共に職員室に大穴が空いた。
「んー、ロケット花火と大量の火薬を合わせて作ったロケットランチャー、結構強力だな、あの分厚い壁を粉砕するだなんて。………おっと、こんなところで感心をしている暇なんてなかった。 おーい、梯子の部隊ー、梯子を掛けろー」
やはり消防用の梯子なだけあって掛けるのに無駄に時間がかかる。まぁ長いから二階の職員室まで届くからいいけどな。
山谷はそんなことを思いながら梯子を掛けるのを眺めていた。
一方職員室では。
少し時間が戻り、ロケットランチャーの弾頭が命中する前。
「なんか高跳びで誰かが腰の骨を折ったらしいですよ。」
「え?本当ですか?あらまぁ」
「いやいや、あらまぁでは済まされないですよ。アハハ。」
「いやー、馬鹿なことをする生徒が多いですね。まぁ多分小林先生がどうにかしてくれるでしょう。」
「です…」
とある教師が「ですね」の「ね」を言おうとした瞬間だった。
ズドォォォォォォン
物凄い爆音と共に柱が消散した。
砕けちった柱の欠片が室内に転がる。それを見たすべての教師たちが一瞬にして、悟った。
「山谷の仕業」だと
教師の一人が穴の空いたところを眺めているとあることに気がついた。下からなぜか梯子がかかっている。
そして大勢の人々が登ってくる。
「え?なんか大勢の人々が登ってくるんですけど?」
「は?なんだと?山谷じゃないのか?この世の中には山谷は一人しかいないはずだぞ?同じ名前のやつがいたとしてもあんな性格は奴だけだ!」
そういいながら男教師は穴の下を覗いてみる。そこには本当に大勢の生徒が登って来ていた。もしもこの状態で梯子を下ろそうとすれば多くの生徒が死んでしまう。なので止めることができない。
次々と生徒が登ってくる。まだ教室には入ってきていないけれどかなりの人数だ。すると一人の教師から、
「先生、小林先生を放送で呼ぼうと思ったのですが、放送用の回線が切れており、呼び出せません。」
「なん、だと、ならばここで戦うしかないのか。女の先生たちは下がっていてください。男の先生たちは生徒たちに荒らされないように戦ってください。」
「はい!」
教師たちが一致団結をして山谷たちと戦うのであった。




