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第84話 羅刹花瓣と絡繰砲

*第84話 羅刹花瓣と絡繰砲*




時は九尾との戦闘が開始されてから、数分後。

視点は変わり、【付喪and加蓮side】


「ん!!!!」


付喪が右手を掲げ、少し大きな声で言うと、手のひらに魔方陣が描かれる。その中から光が溢れ出し、能面で作られた球体、“頭球かしらだま”を3つ呼び出す。

更に、頭球を呼び出した後、掲げた手を下ろすと同時に、宙に浮いた皿やら扇やらの、ガラクタを撫でる。撫でられたガラクタはポゥっと一瞬光ると、カタカタと揺れながら巨大化し、盾のように付喪の周りを舞い踊る。


「“羅刹花瓣ロベリア”」


加蓮は握るメイス、羅刹花瓣に命令した。

すると、羅刹花瓣から闇色の炎がボゥッ!!と噴き出し、その炎は、羅刹花瓣の刃を謎りながら蕾を作り、開花した。その花は、黒々とした紫色の硝子の様で、1枚1枚が研ぎ澄まされた刃だった。

開花した羅刹花瓣を軽く回し、振り心地を確かめると、納得いったように、加蓮はニヤリと笑う。


息を荒げながら急接近する化身達を横目でちらりと見ると、加蓮は羅刹花瓣を天へ掲げる。


「“破姫波動エリゲロン”!!!!」


羅刹花瓣から赤黒い火花が舞い散る。そして、それを化身達の接近する方向の地面に叩きつけた。

その瞬間、目にもとまらぬ速さで地面に亀裂が走る。

危険を察知したバランス型が周りの化身達に逃げるよう指示をする。

亀裂の上まで足を踏み入れていた化身達は、バランス型の指示に従い、その場から離れようとする。

しかし、もう遅かった。

化身達が足下に力を入れた瞬間、裂け目から闇色の炎が噴火し、亀裂の入っていた地面一帯が爆ぜた。


一瞬光に包まれた化身達はそれぞれ悲鳴をあげながら上空へと吹き飛ぶ。

しかし、その風圧を利用したキック型は爆破を逃れていた。バランス型も同様だ。パワー型は4足と腹が抉れ、筋の切れた筋肉がだらりと地面に垂らしている。やがて、裂けた腹の辺りから光へと変わり消滅する。


キック型はこの地一帯を覆う結界にそれぞれ足を付き、重力と奴らの持つ脚力を使って、結界から加蓮との距離をゼロに変え、牙を剥く。


飛びかかったキック型を、宙に浮いた頭球の面の口がそれぞれ、ガションっと音を立て、胡桃割り人形のように開き、そこからレーザーを乱射し、キック型の体に風穴を開ける。

風穴を開けられても勢いの止まらぬキック型は、加蓮の目の前に設置された大皿の盾に打ち当たり頭を潰して光となり消滅する。


その間、バランス型が合唱をするように遠吠えをすると、辺りに“gate”が開き、そこから次々と化身が湧き出る。


「ちっ……あの馬鹿犬をぶっ壊さない限りキリがねぇってか。」


「ん。」


付喪が頭球で遠吠えをするバランス型に狙いを定め、レーザーを放つ。

しかし、そのレーザーは別の個体が間には入り防がれる。“五尾のシールド”型だ。

更に、シールド型がレーザーを防いでいる間に、スピード型が、竹林の間を縫うように急接近し、その牙をレーザーを放つ頭球へと向ける。

それを付喪がレーザーを放つ方向以外に皿でガードを固め防ぐ。


付喪はそちらに気を取られていたせいで“罠”に嵌められた。


目の前までパワー型の接近を許してしまった。

既に大顎を広げ付喪の体を噛みちぎらんとするパワー型を奴の頭の上でステップを踏むように避ける。

しかし避けた先でスピード型が腕を狙い牙を向いていた。


良い連携プレイだと付喪は敵ながら胸の内で賞賛した。


しかし、“まだ詰めが甘い”。


スピード型は付喪と交差し、地面に足をつけた瞬間、体がバラバラと輪切りにされたかのように崩れ落ちた。


付喪の左手には微量に付着した“化身の血”を滲ませる、藍色のオーラを放った“乱れ刃の刀”が握られていた。


そして、姿を晦まして密かに接近していた“二尾のシノビ型”を右手に握る傘の石突いしづきに設置された銃口からレーザーを放ち脳天を射抜く。


その瞬間、付喪の周り8方向から隠れていたシノビ型が飛び出し、牙を剥く。


しかし、シノビ型は地面を裂きながら這い出る巨大な黒い茨に、一筆書きで刺され消滅する。

チラリと付喪が地面の方を向くと、そこには、地面に羅刹花瓣を突き立てた加蓮の姿があった。

加蓮が地面から羅刹花瓣を引き抜くと同時に、黒い茨は虚空に消え去る。


「油断大敵、火がぼうぼう…ってな。」


「ん。」


付喪は短く返事をして頷く。


そこへ、すぐさま化身達が群がり、それぞれが唸り声を上げる。

一頭のバランス型が小さく吠えた瞬間、奴等はドーム型の陣形を組みながら、一斉に飛びかかる。

逃げ場のない、牙のドームの中心に加蓮一人が立っていた。

ドームを作る化身の種類は二種に固められていた。

一種は、キック型。もう一種は、パワー型だ。

奴等曰く、ここで仕留める気なのだろう。


しかし、加蓮の表情は青ざめたり、ギョッとすることなど無く、むしろ、ニヤリと口角を上げた。

加蓮は羅刹花瓣を強く握り、命令する。



「“乱蒲荒影ダンデ・ライオン”!!!!」



すると羅刹花瓣の花弁は細く分裂し、紫色の小さな花で作られた大きな花束となった。

加蓮は羅刹花瓣を大きく引いて反動をつけ、ドームを謎るようにして、巻き上げるように様にして振るう。

振るった瞬間、花弁は羅刹花瓣の軸から少しづつ離れていき、辺りを漂いながら、徐々に、接近する化身達と距離を詰め、やがて、その距離はゼロとなる。



瞬間、辺りは白い光に包まれ、爆音と共に弾け飛ぶ。



乱蒲荒影の花弁は、一枚一枚が地雷のようになっている。それが敵に触れた瞬間、その全ては消し飛ぶ。

耳に響く破裂音とともに、2、3枚の結界が破壊される。


「付喪!!援護しろ!!結界を全部ぶっ壊す!!!!」


「ん。」


竹の側面をリズミカルに飛び跳ねながら、刀と傘のライフルを操っていた付喪は、竹の上の方へ跳び、竹の先端に爪先で着地すると、竹を折れんばかりに撓らせ、竹の先端が地面に僅かに届いた瞬間、軽く地面を踵で押してやる。すると、その撓りは一気に元に戻ろうと付喪の体を浮かせる。その反動を使い、付喪は高く飛ぶ。そして、加蓮の立つ地面付近に着地すると同時に、周りに皿の盾と頭球を浮かせ、近寄る化身達を迎撃する。

その動作が完了するまで、僅か2秒とかからなかった。


着地した付喪は右手の傘を宙に浮かせ、自動ロックオン自動発射させる。同様に左手に握られた刀も宙に浮かせ、自動攻撃させる。

フリーになった両手を前へ倣えするように、手を突き出す。

そして、ボソリと呟いた。


「……“絡繰砲カラクリ”」


すると、手のひらの上辺りに魔法陣が描かれ、中から巨大なダガーナイフと合成させたようなリボルバー式拳銃が落ちてくる。

リボルバー式拳銃と言っても、そのサイズは通常の拳銃のそれを遥かに上回るサイズ。

それを握った瞬間、手のひらに馴染むグリップが付いているものの、ズッシリとした重量感が付喪の手のひらに伝わる。


付喪がトリガーに指をかけると、リボルバーがカラカラと回り、魔力の弾丸が詰められる。


そして、付喪は倒すべき敵へと、その引き金を引いた。



それと同時に加蓮は、羅刹花瓣の先端を地面に突き刺し、魔力を流し込む。

すると、羅刹花瓣が淡く光り、地面に向かって魔力が流れる。

地面に到達した魔力は地に染み込むように広がり、同時に半径3m程の魔方陣を描く。


「“鎧紅花刹カーネーション”」


瞬間、地面を抉るようにして巨大な蔦が這い出し、巨大かつ深紅の花束が咲き誇る。

しかし、その花束の花瓣は咲いてから2、3秒経つことなくドロッと血のように溶ける。

そして、その液体は加蓮の頭上へと降り注ぐ。

加蓮の姿が液体で見えなくなった頃、異変が起きる。

液体が、“武装と羅刹花瓣、そして、加蓮の皮膚”に吸われているのだ。

数秒後、加蓮に降り注いだ液体全てを吸い尽くした。


羅刹花瓣は真紅の花瓣に生え変わり、禍々しいオーラを淡く放つ。その姿はもはやメイスなどではなく、加蓮の背丈の3倍は軽く超える“魔剣”である。

ドレスローブ、篭手も羅刹花瓣と同様に真紅に染まり、羅刹花瓣にも劣らぬ禍々しいオーラを放つ。


加蓮の皮膚は、全身巡らせるように刺青が刻まれた。

その刺青は、決して綺麗なものではない。

例えるならば、“呪い”のようだ。


「……我、“有限を作りしものなり”。

無限を壊し、我が理と我が名の元にその破片を世に晒せ。」


加蓮は大量の魔力を送り込みながら、その魔剣と化した羅刹花瓣を構え、同時に詠唱する。

詠唱が始まると、刀身の根元にあるはばきから4節の神語ゴッド・ワーズで書かれた血文字が帯のように吐き出され、帯のように刀身に絡みつく。




「“屍山石蒜(ヒガンバナ)”!!!!」




その言葉を放った直後、加蓮は羅刹花瓣を上空に向かって斬りあげる。

斬りあげたと同時に、刀身に絡みついていた神語の帯が上空へ伸び上がる。

4本に波を打ちながら伸びる帯は、それらが徐々に絡みつき1つの蕾となる。

そして、結界へ直撃する頃には蕾が膨らみ、血のように真っ赤な石蒜ヒガンバナが咲き乱れる。


それに気づいたバランス型の化身達はシールド型を召喚し、すぐさまそれを防ぐように、結界と放たれた屍山石蒜の間に潜り込み、その剛毛を屍山石蒜へ向ける。

しかし、その努力も儚く、シールド型が屍山石蒜に触れた瞬間、それに飲み込まれるように砕け散り、破壊された。

屍山石蒜はシールド型に直撃して尚、勢いが止まることを知らず、結界へ直撃する。

バリンッとまず一枚の結界を破った。

そして2枚、3枚、4枚と、次々に破壊する。

しかし、10枚目へ直撃した時、その連鎖は止まった。


結界が厚いのだ。


他の結界と比べて10倍を超える強度の結界が張られていた。

恐らく、これが最後の結界だろう。

屍山石蒜はミシミシと結界に亀裂を入れるものの、なかなかそれを破ることが出来ない。


結界が厚いことには加蓮もすぐに気がついた。

しかし、加蓮は酷く落ち着いていた。

その理由は、それが予想の範疇だったからである。


加蓮には最後の結界が厚い事が予想出来ていた。

それが、九尾のやり方だからだ。


“だからこそ”、破壊するために使ったのが屍山石蒜である。


加蓮はニヤリと笑うと、羅刹花瓣を左手で肩にかけるように持ち、右手を掲げた。




「“爆ぜろ”」




パチンッと右手の指を鳴らした。


瞬間、屍山石蒜が真黒に染まり、急激に膨れ上がる。

そして、それが限界まで達した瞬間、溜め込んだエネルギーを全て吐き出すかのように大爆発を起こした。


耳にキーンと響くような破裂音と共に、最後の結界は無残に砕け散り、赤く染まった満月が蒼白い光を取り戻した。


「第一目標は果たした!!

行くぞ付喪!!第二目標桜姬の元へ向かう!!!!」


「ん。」


付喪が去り際に辺りの化身を頭球と絡繰砲で一掃し、すぐさま破られた結界の外へと飛び出した。


「後は頼んだぞ!!!!新!!!!!!」


そう叫んで、加蓮は付喪の後を追った。

加蓮と付喪は新の指示通り桜姬の救出へと向かった。




しかし、入れ違うように侵入した“黒い影”には、誰一人として気づくことは無かった。




* * *




そして現在に至る。


新を襲うのは濃厚な殺気。

その殺気は新の放つソレに匹敵する程だった。


それを感じた瞬間、その殺気の持ち主が僅か1mと無い新の横に現れた。

(何っ!?)

そう思った頃には遅かった。

新の体を紙の薄さまで押し潰してしまうような、巨大な何かの塊が押し寄せ、新の体をいとも簡単に吹き飛ばした。

吹き飛ばされた新は、早急に“守護神”の命を90%まで引き上げ衝撃に備えた。

しかし、命を変えるまでには数秒かかる。その間に竹林をへし折り、その破片が体へと突き刺さる。

やっと命を変えられても、そのコンマ秒後に新は地面へ叩きつけられ、5、6、と跳ねながら何とか体制を立て直し、止まった。


何だ何だと、体を再生させながら新を吹き飛ばした相手へと目を向けた。


そこには、見たことも無いような真っ黒な巨体が存在した。

ギョッとした新は、直ぐにハデスを新の隣へと来るように命じた。

その命令通り、ハデスは影の中に潜り込み、新の隣へと無事移動することが出来たが、一体なんなんだアイツは。


奴はツルツルとした漆黒の肢体をパキパキと蠢かせながら瞳無き顔で新の方を見つめていた。


見たことも無い体格とその真黒な姿。

頭から生えた一対の角。

耳元まで裂けた大顎。

縦に伸びた鼻にベクトルの尾。


奴の姿は悪魔そのものだった。


チラリと視線を変えると、そこには九尾の姿がある。

あまりに動揺している九尾の表情を見る限り、彼にとっても規格外の敵なのだろう。


「何者だ、貴様!!!!」


と九尾がそう奴に怒りを込めながら尋ねた。


奴はピクリと反応すると首をそちらの方向へむけた。

“首”だけをだ。


奴に対して九尾の立つ方向は真後ろに近い。

その方向を、体の向きを変えずに首だけを回転させて九尾の姿を捉えた。

その姿を見てギョッとする九尾は、警戒心を張り詰め、薙刀を奴へと突き立てる。


すると、奴は“こう言った”…




『…………キュ、ビ……ダナ?』




「なっ!?貴様話せるのか!?」


驚いたのは新も同様だった。

つまり奴には言葉を話すだけの知能を持ち合わせていることが分かる。

しかも、話した言葉は“神語”。

見た目だけでもわかることだが、やはり新達と近い存在であることは間違いはなくなった。


そして、その先は新と九尾にさへ予想ができなかった…

予想出来ていたとしても防ぎようがなかった…




『………ウラギリ、…キュ、ビ……“テキ、ミナス”』




「!?!?」


奴がそう言い放った瞬間、九尾は遥か上空から奴を見た。

それは彼が意図して行ったものではない。

奴によって“首を飛ばされたのだ”。


ドバっと溢れ出る血と共に魔力が溢れ出し、九日の体が光と化していく。


(まずい!!!)


「セフィラ化!!!!!!!!」


一か八かの賭けだが、九尾へ向けてセフィラ化を図る。

すると、光は新の手のひらへと集まり宝玉と化した。

成功だ。なんとかセフィラ化は成功させた。

新は宝玉をポケットにしまいつつ、デスサイズを握り直す。




「お前が何物だかは知らないけど…ここで倒させてもらう!!!!」



そう言った瞬間、新は奴と同様、殺気を放ち奴と向き合った。


すると、奴は一声上空へと向かって咆哮する。


その直後、奴の背後から黒い影が急接近し、奴の両隣に着地した。

砂煙を纏いながら奴等は咆哮する。




奴等、悪魔は“三体”へと増えた。




長らくお待たせしました。

誰も待っていないかもしれない、お久しぶりのオタ神更新でございます。

いえ〜い、パチパチパチ〜

ごほんっ、

お巫山戯はこの辺にしといて、本当に久しぶりの更新でございます。

ええ、忘れていませんですとも、彼らの物語無くして肆季紙なんてやってられますかって事です。

最近忙しくてあまり手がつけられないのですが、なるべく早めに大量の文字を綴っていこうと思っております。

短時間に大量の文字を書くのには、割となれたもので、第一話と比べるとかなりの成長であると肆季紙は、肆季紙は、自画自賛してみたり!

その内様々なファンから叩かれそうで怖いです。

それと、嬉しい報告が!!

なんと!!初めて感想を貰いました!!



いぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!!!!!!



ジャスティス!!!!!!!!!!


ありがとうございます!!!!嬉しい!!感激です!!

感激のあまり脳が震えそうです!!!!!(ブルブル)


というわけで、感想を頂きました!!

本当にありがとうございます!!


このバカのために時間をさいてくださり本当にマジで感謝です。


会長さんには是非とも幸せになって欲しいものですね。うむうむ。

ま、ネタバレはしませんけど。よほほほ〜


はい。肆季紙はいつでも感想を欲しています。

ギブme感想!アイラブ感想!


時間があればで構いません、感想というか、文章の矛盾などの指摘でも構いません。


コチラとしてはそれだけでも嬉しい限りでございます。


では、また自害、あ、また次回!!


それでは!!ドロンです!!バイチャ〜

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