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第19話 敗北

*第19話 敗北*


「ハァ…ハァ…新…‼︎」

嘘だよね…負けてなんかいないよね…

私の…私達の"傷を全て自分に転送"していないよね…

嫌だよ…もう…新が傷つくところなんて見たく無いよ…

お願い…無事で居て…今行くから‼︎

まだ間に合うと思っていた…

まだ、助けられると思っていた…

自分のせいで傷ついて欲しく無い…

だが、その思いは簡単に撃ち砕かれた…

『グォアオ"オ"オゥ"ーー‼︎‼︎』

化身の声がした…途轍もなく大きな声…

恐らく…私達をバラバラに吹き飛ばした化身だろう…

そして姿を現した…巨大なカブト虫の形をした化身…

そして……

「ーッ‼︎新‼︎‼︎」

大量に体から吹き出た魔力に包まれ、傷だらけの新が地面に倒れている姿が目に入った…

「新‼︎‼︎」

嫌だ…消えて欲しく無い…急いで新の元へ飛んだ…

「新‼︎新‼︎しっかりしてよ‼︎」

返事が無い…

「起きてよ‼︎お願い‼︎起き…」

ヌチャリと手に何かが付いた…

「ーッ‼︎」

血だった…黒く…酸化した血…

よく見ると、自分の足も黒く染められていた…

自分が降りた場所…それは…新が流した血が水溜りのようになっている場所だった…

新の顔を持ち上げ自分の方に向かせた…

新の頬には一筋の傷が刻まれていた…

間違いなく…私が受けた傷と同じ位置だった…

『グオォオ"オ"オ"ーーー‼︎‼︎』

「…さぃ…」

私のせいで…新が傷ついてしまった…

私がついて行くと言ったせいで…

「…ご…さぃ……」

私のせいだ…

「…ごめん、なさぃ」

『グオォ"オ"オオオ"ォ"オー‼︎」

「嫌だよ…いかないで…一人にしないで…」

ポツリポツリと新の顔に雫が落ちた…

「オ"オ"ラァア"ア"アア‼︎‼︎」

何かが化身に激突した…

「よくも…よくも‼︎僕の兄上をこんな風にして平然とできますねぇ‼︎ビートル‼︎‼︎」

激突したのは怒りに満ち溢れた希里だった…

「貴方だけは‼︎貴方だけは許さない‼︎‼︎」

希里は化身に突き立てた鬼炎を力任せに振り切った

化身はやや後ろに動かされただけだった…

「ハァア"アア"ア"ア‼︎‼︎」

鬼炎を構え直し再び突撃した

『キィーーーン‼︎』

辺りに金属と金属が打つかった様な音が鳴り響いた…

希里が突撃した先を見ると、鬼炎を刀一本で受け止める誰かがいた…

「何故邪魔をするんですか‼︎武神さん‼︎‼︎」

武神と呼ばれた男は、深緑色の着物を着、頭には傘を被り、腰に刀の鞘を差していた。

その男はゆっくりと答えた

「邪魔するつもりは無いが…今回は…少しな…会議以来だな鬼神殿、それと女神殿」

「よくそんな風に挨拶ができますね‼︎‼︎今僕がどんな顔しているか見て分かりませんか‼︎‼︎‼︎」

「おぉ、怖い怖い。鬼神殿が怒りになられるのも分かるが…今回は儂に譲ってくれんかのぉ?」

「…何故ですか…?」

「弟子の説教に来たんだよ。それと、今の鬼神殿は地球ごと破壊しかねんからな。」

「……分かりました。譲ってあげます。」

「すまんな…ああ、それともう一つ、死神殿の傷口を布か何かで全て圧迫するように抑えておいてくれ。これ以上魔力が外に出ると本当に消滅するぞ。」

「…分かってます、後はよろしくお願いします…」

「おう、任せとけ」

希里はゆっくりと降下し倒れた新の元に降りた

「さてと…」

その男は顔を化身の方へ向け

「ビートル…いや、"兜"…久しぶりに手合わせをしてやろう」

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