第17話 鬼神&女神VS鎧の化身
＊第17話 鬼神&女神VS鎧の化身＊
「いっつつつ…なかなか痛いですねぇ…。」
先ほど希里は、黒い影の塊に打ち飛ばされ山の中に落下してしまった…
それにしても、どれだけ強化されたらあんな力を…
「とりあえず兄上達と合流しなけば…」
そう言った瞬間。
「っ‼︎」
前方から物凄い速さで何かが突っ込んできた。しかも、複数。
それを何とか避けるが、上を見ると先ほどの化身の大群の塊よりは小さいが、希里の頭の上で渦を巻くように飛行していた。
「…どうやら、コレを全て片付けなければならないようですね…。」
すると、化身の大群の数匹がこちらに再び突っ込んできた。
その攻撃を距離を取るため、後ろに飛んで回避する。
「仕方がないですね…。魔力解放‼︎‼︎」
身体中から紅い火花のような光の粒子が吹き出し、希里の身体を包んでいった。
段々と、形を変えていき光が弱まっり、その姿を現した。
髪は真っ赤に染まり、腰の辺りまで伸びており、身体には炎のような模様が描かれた白い和服を纏い、腰に紅い帯を巻いていた。
そして、額には白い"角"の様な物が付いていた。
「久々に"鬼神"の力を見せてあげましょう…」
手を目の前に出し魔力を送り、そして叫んだ。
「出でよ‼︎鬼炎‼︎‼︎」
指先から紅色の雷炎を放ち、段々と大きくなっていった。
そして、雷炎は希里の身長よりも大きな大剣へと姿を変えた。
「纏めてかかってきなさい。相手をしてあげます‼︎」
＊ ＊ ＊
「はぁああ"あ"ああ‼︎」
そう叫びながら桜姫は両手に持った"扇"の様な形をした双剣で化身を斬りかかった。
だが、双剣は化身に触れることなく躱された。
「ハァハァ…何でこんなにも速いのよ…‼︎」
桜姫の姿は、桜が描かれた和風に、赤と白の帯を腰に巻き。
天女の羽衣を連想させる、淡い青の羽衣を纏い。
髪には黄金の髪飾りが付けられていた。
すると、後方から化身が数匹突進してきた。
「はぁああ‼︎」
前から後ろに円を描く様に双剣を振るうが、難なく避けられ、一匹の角が頬をかすめた。
「っ‼︎」
頬から血が…"流れなかった"
それほど力は強くないのか、全くと言っていいほど血が出ない。
それに、"痛くない"。
「スピードに特化しすぎて魔力攻撃が弱いのかしら…？」
だが、こちらの攻撃が当たらなければ意味がない…
少しづつ魔力を奪われるだけだ。
「どうすれば…」
ふと、空を見上げた。
そこには、やはり化身の大群が渦を巻いていた。
そして、一つの考えが浮かんだ…
だが、それは危険すぎる…
「どうすればいいの…」
するとその時。
「せやぁあ"あ"‼︎‼︎」
声と同時に、紅い斬撃が化身の大群にぶつかった。
すると、その斬撃が当たった部分にいた化身達が光となり、消滅していった。
「なっ⁉︎」
「すばしっこいですね‼︎‼︎」
そして、茂みの中から、希里が現れた。
「希里君⁉︎」
「桜姫姉さん⁉︎よかった‼︎無事でしたか‼︎」
「無事だけど…」
そして、先ほど斬撃がぶつかった所を指差して。
「あ、アレやったのって…希里君…？」
「え？ああ、多分僕ですね。」
「まさかだとは思うけど…そっちはもう終わったの…？」
「終わったとは？何がでしょうか？」
「化身の大群…希里君の所にもいなかった？」
「ああ、はい。いましたよ？さっきの斬撃で半分くらいは、消滅しましたけど。残りの化身を追っていたらここに出たので…ラッキーでした。」
「……。」
何と言うか…言葉が出ない。
あのスピードの化身を倒したの？
まだ、私が吹き飛ばされてから、あまり時間が経ってないような気がするんだけど…
「では、ここは協力して残りの化身を倒してしまいません？早く、兄上とも合流したいですし。」
「……そうしてもらうと助かるわ…」
「いえいえ。いつも兄上の事を思ってくれてますし。何より桜姫姉さんは、僕と兄上の家族ですから、協力するのは当然のことです。」
「……。」
なんて出来のいい子なのかしら…
「では、始めましょうか。」
「ええ、行くよ‼︎」
「はい‼︎」
「「せやぁあ"あああ"‼︎‼︎」」
