共通Cend:話を反らす/わからない/きかない/行かない
「今日は林間合宿だ!!」
「海だ!」
「水着だ!!」
夏場のバカンスに皆がはじゃいでいる。
「はあ……」
菜園時さんは日差しにぐったりしている。
「うぉ!?」
金代先生のチョコも暑さでぐにゃりと曲がった。
「こんな砂浜にチョコレイト持ち込む阿呆、初めてみたわ」
「暑くてもチョコは食いたいんだよ。アイスだってすぐ溶けるのになんで夏食うんだ?」
灼熱の海辺で真っ黒な神父衣服を着ている為に暑さでおかしい事を言い出した。
「ただでさえ熱いのに喧嘩しないでください」
茶川くんがウチワであおぎながらサイダーを飲む。
「かき氷は苺だね」
巻神くんがいう。
「ブルーハワイに決まってる」
原比良くんが威圧。
「二人ともなにをくだらない主張してるんだよ。まあ僕はコーラだけど」
茶川くんが笑顔でかき氷を食べる。
「グレープにきまっとるやろ」
三井先生もかき氷を食べながら議論に参加。
「いや、アンタは宇治抹茶金時食えよ」
といいつつ金代先生は透明シロップに小豆ミルクのかき氷を食べる。
「じゃあレモンで」
菜園時さんは執事が買ってきたかき氷を食べる。
「芳樹先生のかき氷は……」
「メロンです」
「だれか宇治抹茶金時味の方ー!」
「私です」
「理事長先生!?」
かき氷のシロップ論争は、大して白熱しなかった。
◆
皆でカレーを作る事になり、役割分担で材料を切る班と煮る班と炊く班と薪を運ぶ班で分かれた。
「あたしはご飯炊くけどミイナちゃんは何をやるの?」
クラスメイトの名前を知らない女子とに話しかけられた。
「私は煮る班です」
料理はしたことないが、魔女なのでグツグツ煮込むのは得意。
「おやおや、美味しそうな匂いがしますね」
「あ、理事長」
ここは理事長の所有する別荘なので今年は引率してくださったらしい。
「だれかが鍋をかき混ぜている姿を拝見するのは懐かしいものです」
理事長は厨房で料理人が食事を作る姿は見ないだろう。
「以前にも林間合宿でカレー作りをご覧になられたことがあるんですか?」
「いえ、従姉が昔、魔女ごっこをしていましてね」
「そっそうなんですか……!」
そろそろ煮えたので理事長に一口カレーの味見をしてもらう。
「久々に食べますが、普通に美味しいと思います」
「よかった」
皆が上手に作ってくれたんだなあと安心する。
「理事長~こちらも味見を~」
「ええ」
カレーを食べて自由時間になった。
「肝試ししよう」
「先生がそんなこと提案していいの?」
普通はこっそり抜け出した生徒を叱るのが教師だろう。
「理事長から許可はもらっとる。参加は任意や」
「なんだ。任意なら僕は寝ますよ」
シビアな委員長だ。
「肝試しなんて恐ろしい!!」
「俺は参加しよう」
「……君は僕が守ってあげる」
菜園時さんは私が参加する前提で肝試しへ行くという。
「はあ……」
茶川くんは責任感から結局は参加を決めたようだ。
「ああ怖い!」
「なら帰れ巻神」
「だが肝試しは青春の大イベントなんだよ!?」
ペア決めはクジで行われ、茶川&菜園時、巻神&原比良、金代&三井、芳樹&理事長がペアとなり他にも数名ペアがいて、あまった私は一人でまわることになった。
「はあ……」
怖くはないが、寂しいものである。
飛んでくる蒟蒻を避け、お化けの脅かしを無反応で素通り。
「はい、クリアおめでとう」
「反応つまらんかったわ」
「全然怖がらなかったしな」
「骸骨やらゴーストの類いは家で見慣れていますので……」
城では薬品の調合とかで材料の骸骨や処刑した囚人の霊がよくいる。
「ん?」
「聞かんかったことにしよう」
◆
「これベニテングネツダケやないか」
「誰だ毒キノコ持ってきたの!」
「教会で神に祈れば毒も消えるでしょ?」
「無理だ。あれは僧侶であって神父じゃないだろ!?」
「じゃあ泉」
「川しかあらへん」
■
「皆で雪山に行こう」
「自殺か?」
「君がそんなボケをするなんて」
茶川くんが常識人だと思っていた彼の発言に額を押さえる。
「大体、学力が疎かな君達は赤点補習を回避できたの?」
茶川くんは巻神くんと菜園時さんを見る。
彼等は成績表を茶川くんへと見せた。
「巻神くん、音楽以外は80から90台なんだね」
これまで誰も彼の成績表を気にせずに来て、絶対馬鹿だと思ってた。
「あーあ、それにしてもあと半年で進級か……」
巻神くんが受験を不安がっている。
彼や茶川くんは学力良いみたいだし、志望学校で悩むことはないだろう。
「べつに金でなんとかなんてしないよ」
「コミュ力以外は完璧だな」
原比良くんは意外にも頭が悪いらしく、理科と数学で大幅に加点、赤点補習ギリ回避だった。
■
私は皆と夏休みや冬休みを過ごし、正体がバレる事もなく一年が過ぎた。
「皆さんと過ごした日々は忘れません。ありがとう」
「ミーナくーん手紙書くからねー!!」
車に乗った私は皆が見えなくなるまで手を降った。
【ノーマルend】




