黒帯への想い
空手の昇段審査に挑む男たちの物語。
あまりに過酷なトレーニング、それを乗り越えると精神的にも辛い、仲間同士の潰しあい。
そして乗り越えたものを待つ地獄の組手…
主人公である吉田匠はこれを乗り越え、黒帯を手にすることはてきるのか!
という小説。当方空手経験ないので、正直ありえないところも多々あると思いますがお願いします。
そして男がトレーニングで苦しむ姿、腹を打たれ悶える姿など大好きなのでそうした描写が多くなります、流派によって試験も違うので、必ずしも黒帯審査がこんなものだとは限りません。ただ多少は空手をやっていた友人の話を聞いてそれに合わせて流れは作っています。
当方仕事をしているため不定期になりがちですし、気ままにやっていくのでよろしくお願いします。
今回の主人公
吉田匠
身長166cm 体重60kg
高校一年生になったばかりの小柄な空手家。
極真空手道場に通う男。童顔とは裏腹に筋骨隆々な肉体を持つ。
今回は黒帯を目指して地獄の昇段審査に挑むが…
吉田は学校が終わるとその足で道場に向かった。道場で学ランを脱ぎ捨て、空手道着に着替えていく。
まずは学ランのズボン、赤色のボクサーパンツを脱ぎ、その上から下衣を履く。最初こそノーパンの抵抗はすごかったが、今では逆にこうでないと全く締まりが無い。
上も学ラン、ブラウスシャツ、Tシャツを脱ぎ捨て、上衣に身を包んだ。
そして帯を結ぶ。帯はまだ茶色の帯だ。黒帯を締めたい。その思いは日増しに強くなっていた。
そんな想いももう少しで身を結ぶかもしれない。そう思うと帯を締める手にもますます強い想いが募る。
今日から吉田は黒帯の昇段審査に挑む。少年部では黒帯を取ったが、あんなのは遊びのようなものだ。高校以上で黒帯を取ってこそ価値が出るのだ。事実、中学までの少年部までの黒帯では高校以降は茶帯として処理される。高校になってから黒帯を取る、それでこそ空手家の価値があると考えた彼は、高校一年生となった今、過酷な昇段審査に挑む。
昇段審査のルールが師範から説明される。
まずは2週間、毎日厳しい肉体と精神の鍛錬を行う。少しでも気が弱いやつならここで音を上げてしまう。その過酷さは自分も先輩からきかされていて分かっている。
そしてその最終日、最後まで厳しい訓練を耐えた者が戦い、一人だけが最終審査に進める。
厳しい鍛錬を乗り越えてきた仲間同士の潰しあい、想像以上に厳しい戦いだ。
そして最終審査はその一週間後に行われる最も過酷な20人の組手だ。
しかもこの組手は同じ茶帯の相手もいるが、黒帯もいる。その中で、全員に勝たなければならない。恐ろしいほど過酷な組手だが、黒帯のためにはここで敗れるわけにはいかない。
そしてこれをクリアして始めて、黒帯を得ることができるのだ。
黒帯審査に挑む、仲間であり、最終的にはライバルとなるのは6人だ。
まずは最も年上、大学院生の24歳、野田良だ。身長が180cmと大きく、リーチも長い。
次は谷口翔平。大学生の21歳。身長は168cmと小さめだが、一発の威力がでかい。またスタミナが豊富だ。戦績は今の所俺の2戦2勝だが、強烈な1撃でふらついたこともある。
3人目は山下雄平。大学生の19歳。身長175cmに対し、体重は74kg、かなりがっちりした印象がある。実は、俺は強烈な1撃をもらいたまらずダウンしたことがある。
4人目は小西義明、大学生の18歳、体が少し細く見えるが、底力があるタイプだ。目をみはる根性で、組手をやっているときに当たると結構な体力を持って行ってくれる。
5人目は福田健太、一つ上の先輩、16歳だ。身長も、体重も俺に似ていて、後ろ姿はそっくりだ。
だから負けたくない、昔は1つの年齢差が大きかったが、今ではなんとか勝率をリードしている。
そして最後は同期である酒井太一だ。彼とはどれほどの苦楽を共にしてきたかわからない。試合でも五分の成績だ。負けたくないけど、突き放したくもない、道場でも唯一の親友だ。
いよいよ昇段審査、その第1ステップが始まる。師範からの声はいつもより数段厳しくなった。
「まずは拳立て200回、始め!」
続く。