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ニートの野望  作者: 羊羽
5/8

5巻

 早朝 寝所


 俺は一睡もできなかった。

 同じ布団で寝息をたてているサラのせいだ。

 俺の事を信頼してくれたのか、晩の騒動の後、すんなりと布団に入ってしまった。

 俺は彼女の乳をもみ、怯えさせてしまった負い目から、紳士らしくその辺で寝ようとしたが、「王がそのようなところで寝てはいけません。」と布団に連れ込まれた。

 最初は誘っているのかと思ったが、彼女はさっさと寝てしまった。

 かわいい子と一緒の布団で寝るなど、童貞の俺にはハードルが高すぎる。

 理性と本能による白熱した争いは一晩中行われた。


 横ではサラが安らかな顔で眠っている。

 日の光に照らされて、サラの顔がはっきりと見える。

 やはり美人だ。

 そして目線を下げていくと!!

 布がずれて胸が見えそうになっている!


『勝ちどきを上げよー!!!』

「「「えい、えい、おー!!えい、えい、おー!!」」」


 理性と本能による戦は、本能の大勝利となった。


 あと少しで見える、動け!動け!ずれろ!!

 念じて見るが効果はない。

 やはり、何かを成すためには行動するしかない。

 昨日の晩に学んだことである。


 慎重に手を動かし布をずらそうとする。

 クソ、人間の手はこんなに震えているのか。

 まるで、外科医が精密な手術をする際に自身の手の震えを気にするかのようだ。

 あと少し、あと少しで・・・・・


「殿下、なにをしているのですか・・・」

 いつのまにかサラは目を覚まし、冷めた目でこちらを見ている。


 終わった。お袋、俺は戦って死ぬんだ、悔いはない・・・

 いや、悔いはある。せめて一目見てからでないと死んでも死にきれぬ。


 俺は決死の覚悟で最後の戦いに挑む。


 バシッ

 サラのチョップが、脳天を直撃した。無念。


「殿下!まったく反省していないではないですか!!」

「・・・・はい。」

 お互いに正座しながら、俺は怒られている。


「確かに殿下は男で、私は女です。ですから、やましい気持が起きるのは仕方がありません。」

「はい!!」

 やった、解禁か。本人公認の解禁か。


「ですが、これから何かを成そうとする者がそんなことでは困ります。殿下は猿ですか、人ですか。」

「男です!!」

「アホですか!!!」

「それに今、私に子が出来たらどうするつもりですか。子がいては戦えません。」

 サラは顔を赤らめながら断言した。


 日本の少子化問題の原因の一端を見た気がした。

 仕事をしながら、子育ては難しいよね。


 その後も、俺はサラの高説を聞き続けていた。

 すると、そこに


「ほっほっほ、殿下、昨晩はお楽しみになられましたか。」

 豚の救世主がやってきた。


「はて?何をなされているのですか。」

 宰相は不思議そうにしていた。

 召使が王に説教しているなど想像できるはずもない。


「いや、なんでも」

 俺が言い終わる前にサラは立ちあがり。


「宰相、李新様。私は本日付で貴族に戻ることを殿下に許してもらいました。」

「なっ!」

「そして、私は殿下の権限の元、自由に執政できる許しも得ました。」

 初耳だ。


「本当ですか、殿下?」

「えっと」

 サラは手を合わせ、話に合わせてくれと懇願していた。

「一応、まあ。」

「なんと!なぜそのような事を私に相談なくお決めになられたのですか!!」

「いや、その」

「宰相は殿下のお考えにケチをつけるおつもりですか。殿下は決断なされたのです。」

「ぐっ。」

「それでは宰相殿、これからは共に御国のため精進していきましょう。」

 サラはドヤ顔で勝ち誇っていた。


「殿下。この話はまた後ほど話しあいましょう。」

 宰相は慌てて、その場を後にした。


「殿下、無礼をお許し下さい。ですが、これで創めることができますね。」

 サラはとてもうれしそうだ。

 その笑顔を見ているだけで、自分もうれしくなってくる。

 がんばろうと思えた。


初、文章・ストーリー評価ありがとうございます。

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