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ニートの野望  作者: 羊羽
3/8

3巻

「・・・し、失礼します。」

 女は入ってくるとすぐさま平伏した。


 ???

 この女が夜伽の相手?

 どういうことかと宰相を見る。

 すると宰相はこちらの目線に気づき、『礼は結構です』とジェスチャーで返してきた。


 何を勘違いしているのか。

 宰相とのやり取りを思い返してみる。


「おい、宰相、あの女は?」

「どれでございますか。あーあれは、没落貴族の者で、行き場がなかったようなので下女として雇っております。あの者がどうかなさいましたか?」

「いや、そのなんだ、あの者になにか公務をやらせてみてはどうだ?」

「公務ですか・・・・。(にやぁ)なるほど、わかりました。後はこの宰相めにお任せ下さい。」


 まさか!

 公務→国の仕事→王の世話→夜伽

 深読みしすぎだ。


「それでは殿下、お楽しみを」

 宰相は満足げに去って行った。


 ・・・・・・・・気まずい。

 だがこのまま女を帰すのもあれだ。


「お主、名前はなんという?」

「はい、リューエン=サラフィネールと申します。サラとお呼び下さい。」

 サラは平伏したまま答える。


「かしこまらなくてよい、面を上げよ。」

「はい」

 サラはゆっくりと体を上げる。

 蝋燭のわずかな光が彼女を照らし出す。


 綺麗だった。

 昼間見たときは能力の方に目がいき、容姿にはあまり気が回らなかったが、あらためて見ると息をのむ美しさだ。


 肩のあたりで整えられた鮮やかな金髪。

 炎のように見ているだけで高揚する、赤みかかった瞳。

 モデル体型だが非力さはなく、自然な肉体美。

 少し焼けているが、元々の白さがうかがえる肌。

 そして宮中のどの女よりでかい胸。


 呆気にとられていると、サラは恥ずかしそうに口にした。

「殿下、実は私、その、こういったことは、は、初めてでして出来れば人払いをして欲しいのですが。」


 別に特別なこだわりを持っているわけではない、だが心のどこかで俺はガッツポーズをしていた。

 やらいでか、やらいでか、やらいでか・・・・・・・・・


「そ、そうなのか、よしわかった。おーい皆の者、今宵はさがってよい。」

「殿下、なりません。我々は殿下をお守りするのが役目。この場を離れるわけにはいきません。」

「よいと言っているのだ、それとも何か王の命令に従えぬのか。」

「で、ですが殿下。」

「わかっておる。このことが露呈してもお主らを罪には問わん。それに後日、褒美もとらす。わかったら、はよう去れ。」

「・・・・かしこまりました。」

 守衛たちは足早に去っていく。


「人払いも済んだ、もっと近くにおいで」

「・・はい。」


 サラは目の前まで来て、座る。

 近くで見るとその美しさに驚き、胸のでかさに圧倒される。

 俺は本能のまま目の前にそびえる胸に顔をうずめた。


 むにゅん


 !!!

 やわらけーーーーーーーーー!!!!!!!

 やばい、どう表現すればいいか解らん。

 もう言葉なんていらねーー

 ひゃっほおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!


「・・・・・殿下。」

「へっ」

 胸に顔をうずめたまま、馬鹿面でサラを見上げる。

 そこには憤怒に駆られたサラの顔があった。

「今までの屈辱、その命であがなってもらう!!!!」

「はっ?」


 ただならぬ殺気、すぐさま立ち上がり距離を取ろうとした。

 だが、そこにサラの足払いが入り、うつ伏せに倒れてしまう。

 這って逃げようとしたが、サラは左手で俺の左腕を掴むとそのまま背中で固定するように組み伏せ、右腕を首にからめ、締めてきた。

 幸運なことに俺の左手は彼女の片方の乳を鷲掴みにしている。


 イヤ、イヤ、全く幸運ではない。

 さすがに命>>>>>色欲だ。


 く、苦しい。このままだと死ぬ。

 必死に暴れてみるが、サラはびくともしない。

 ま・ずい、死ぬ。

 半ば諦めかけていたが、かすかに声が聞こえた。


「んっ・・・・ぁん・・バカ、あまり胸をもむな。」


 暴れている間、俺は無意識に胸をもんでいたみたいだ。

 サラは胸が弱い?

 光明が見えた!

 乳を鷲掴みしていたことは確かに幸運だったのかもしれない。


 俺は薄れていく意識の中、最後の力を振り絞る。

 いくぞ!!!


 もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみクニッもみもみもみ


 なんだ?

 一瞬、人差し指と中指の間に少し硬いものが挟まったぞ。

 ま、まさか!!ち、ちく


「ひゃぁっん!!!」


 サラの拘束が弱まった。

 チャンス!!

 もがいてみると、さきほどまでの力強さが嘘のようにあっさりと脱出に成功した。


「げほげほ、ごほ、がっ」

 咳き込みながら、サラの追撃に気を配る。

 だが、何も起こる気配がない。

 不審に思い、サラに目を配るとそこには


 へたりこみながら胸を両手で隠し、涙目でこちらを睨みつけているサラの姿があった。


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