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ニートの野望  作者: 羊羽
2/8

2巻

 結論から言おう、夢ではなかった。

 だが、現実でもなかった。

 禅問答をしたいわけではない。


 俺は別世界に飛ばされ、この国、覇国の王と入れ替わったようだ。

 姿かたちは変わっていないのだが、記憶は共有しておらず、自身の記憶しかない。


 それと、別世界と言っても魔法が使えたり、モンスターが生息しているわけでもなく、多少の違いこそあれ元の世界と似ていた。

 この世界は日本での中世~近世の文明レベルに近い。

 文化は地球の各文化をごちゃ混ぜにしたような感じだ。

 ちなみにここでの俺の名前は、ルドラス=グローデンⅢ世で殿下と呼ばれている。


 この世界に来て1週間、俺はこの世の栄華を堪能していた。


 大広間


 俺の目の前には、とうてい食べきれないほどの豪華な料理の数々。

 そして両脇には絶世の美女が終始、微笑みながら酒を注ぎ足し、料理を食べさせてくれている。

 前方では、美女たちがレースを主とした際どい服で舞い、旅芸人による芸が行われている。

 今やっているのは、ライオンによる火の輪くぐりだ。

 まさに、酒池肉林の言葉がふさわしい。

 これが毎日行われているのだ。笑うしかない。


「殿下、今宵も夜伽の者をご所望にならないので?」

 贅肉たっぷりの男がいやらしい顔つきで話しかけてきた。


 宰相 李新

 統率34武力16知略71政治76


 これは、俺がこの世界に来て発生した、特殊能力のようだ。

 視認した人間が武将、もしくはその素養がある者の能力が数値化される。

 歴史シミュレーションゲームをしたことがある人なら、なじみ深いと思う。


「ああ、気分が乗らなくてね」


 俺はまだ童貞を卒業していない。

 この体は入れ替わる前に王様がやりまくっていたらしいが、俺は経験していないのだから童貞で間違いない。と思う。

 では、なぜ童貞を卒業していないか。

 選り取り見取りだからである。

 幼女から熟女、美人系からかわいい系までなんでも揃っている。

 正直、どれから手をだせばいいかわからない。

 どのプラモデルを買えばいいか解らず、悩みまくっていた子供時代を思い出す。


 下世話なことを考えていると、トイレに行きたくなった。

 無言で立ち上がる


「殿下、どうなされたので?」

「厠に行ってくる。」

「それでは、ご一緒いたしましょう。」

 なにが悲しくて、太ったオッサンと連れションに行かないといけないのか。


 トイレに行く途中、中庭で何か作業をしている女を見つけた。

 俺はその女を凝視した。

 確かに美人であるが、それが理由ではない。


 女

 統率91武力88知略70政治61


 能力の高さが桁違いだった。

 ゲームでこの能力値なら、驚愕には値しない。

 もっと上がごろごろいるからだ。

 だが、この世界では違う。

 だいたい、武官なら統率・武力が、文官なら知略・政治が50代がほとんどで60代が少数。

 70代は横にいる宰相しか見たことがない。


 女はこちらに気づき平伏した。


「おい、宰相、あの女は?」

「どれでございますか。あーあれは、没落貴族の者で、行き場がなかったようなので下女として雇っております。あの者がどうかなさいましたか?」

「いや、そのなんだ、あの者になにか公務をやらせてみてはどうだ?」

 あれだけ能力が高いのに、仕事が庭掃除とはかわいそうだ。


「公務ですか・・・・。(にやぁ)なるほど、わかりました。後はこの宰相めにお任せ下さい。」

 宰相には何か考えがあるようだ。

 ひとまず任せることして、その場を後にした。


 その日の夜 寝所


 杉浦幸太は悩んでいた。


 あー、そろそろ決めないとな。

 誰がいいだろう、初日にムネを揉んだ和風美女のハルちゃんかな。

 それとも、メガネ図書委員風のユキちゃん。

 ロリ巨乳のミクちゃんも捨てがたい。


 う~ん、う~ん、ん~

 ピコーン!ひらめいた。


 3人一緒にやればいいのではないか。

 そうだ、心は新兵でも体は将軍級なのだ、やってやれないことはない。

 それに初体験が複数というのもなかなかフフフフ。


 ゲスな妄想をしていると、襖の奥から声を掛けられた。


「殿下、起きておいでますか」

「?ああ、起きてるぞ」

 こんな時間に宰相が何の用事だ。


「お約束したとおり、夜伽の者を連れてまいりました。」

 約束?なんのことだ、そんなことした覚えはない。


「・・・し、失礼します。」


 白い布で作られた薄い服を着た女が入ってきた。

 庭にいた女だ。


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