第二枚 命令
「君は…えーと11番だね!!」
―一体こいつ…明さんは何を言ってるんだ…
「あの…よく意味が分からないんですけど、、」
「ああ、僕もよく知らないから気にしないで」
「え、でもいま11がどうたらって…」
「それはね、俺がこの世界に来たときに置いてあったカードに書かれていたことなんだけど、この世界に来た人は1から13までの数字とそれぞれに能力が与えられるらしいんだ。」
「数字に関しては分かったんですけど……能力ってのは?」
「さぁそれについては、自分で知り使いこなせってしか書かれてなかったし、」
そういって明は首を傾げた。
「え?明さんは経験者とか何かじゃないんですか?」
「まさか!?僕も今日来たばっかだよ。それで、僕と同じ感じでいた君を見て、近づいて来ただけだし…」
「ああ、そうだったんですか、すいません。俺の勘違いです。」
そういって俺は頭を軽く下げた。
「ああ、そんな気にしないで誰だって間違いはあることだし。」
―そういって話は途切れた。少しの沈黙……俺が頭を上げると、明、明さんは少し気まずいような、顔をしていた。まるで何か伝えられていないことがあるように―――
だから俺は聞こう。俺だけが知らないのは勘弁だ。
「あの…他にはないんですか?そのカードに書かれていたこととかって、、」
「ああ、うん…まずは…そうそうここの世界については書かれてないんだけど、、ここの場所に来るにはみんな印がいるらしいんだ。」
――印……まさか、朝たしか俺がくる前に拾ったバッチか?!
「あの、それって黒に白の×印のバッチじゃないですか?」
「……え?あ、いや印って言ってもそれぞれの学生証に判子が押されてるだけだよ。たぶんね。僕がそうだし、」
そこで俺は自分の胸ポケットから生徒手帳を見てみた。――確かにページの最後に赤インクの判子が押してあった。
「なんだこのバッチじゃなかったのか…」
ため息をつきながらそう言った。
「へぇー、カッコいいバッチだね?どこで拾ったの?」
「あ、朝拾ったんです。」
「そうなんだ、、でもよくあったね。僕なんかこの生徒手帳以外は、全部持ち物を無くしてしまったのにな」
!?そういえば――
急いで自分のポケットを探してみたが何も無かった。というより、持っていたスクールバックも消えていた。
「あ、俺も…ないです。」
「え、あ、そう?じゃこのバッチだけかい。すごい偶然だね」
「…はい、、、そうですね」
「あ、であと、そのカードに書いてあったことなんだけど。あと二つあってね、、一つ目は、この世界にもとの世界から来てるのは全員高校生なんだって。」
「なるほど、、え?じゃあさっきから町を歩いてるあの人たちは?」
「あの人たちは、もともとこっちの世界の人たちみたいだね。」
「そうなんですか………」
「で最後に書いてあったのは、不定期に命令がくるからそれに従え。ってね」
「命令、ですか…」
「これについては経験があるよ」
「え?」
「目の前にいきなりカードが現れてね、そこに命令が書かれてあるんだ。ちなみに僕への命令は、次のカードの内容を読みその内容を次に現れる人物に伝えよ、だよ。」
「あ、だから俺に…」
「まぁ自分だけ知ってるのは気持ちが悪いからね、情報は他人と共有してこそ意味を持つ。だからね」
「なるほど。ま、そんなのは聞いたことありませんけどね」
「それもそうだね。」
ハハッと少し笑いながら明はそう言った。
「さて、これからどうしようか?」
少しにやけたままの明がそうきりだした。
「まぁ何をするといってもどこでも行けるとこがありませんし―――」
その瞬間二人の前にカードが現れた。
うわっ と言って驚いてしまった。明さんはそれほど驚いて無かったようなので、少し恥ずかしかった。
「…これが命令だよ。」
「あ、」
そう一言が漏れたところで、早速命令に書かれていることを読んだ。
―――今、この瞬間をもって1から13全ての番号が揃った。
この世界の内容について、知っている者、知らない者がいると思うが、これから今回のように来る命令には従うことを勧めよう。
では今回の命令だが、1、一時間以内に次のカードに書かれている場所に行くこと。2、書かれている場所を他の者に知られないこと。
それが君たち個人の活動拠点となる。
なお、一度でも中に入れば命令は達成だ。君達が所有している生徒手帳の中の命令の欄にチェックが入るので、その後は自由に行動して構わない。以上だ――――
…なるほど、と思いながら明の方を見た。
明もこちらを見ていた。
「…これからどうします、明さん?」
「…どうしようか、とりあえずそれぞれこの活動拠点とやらに行くとするかい?」
―どうするべきか……例えば、、後ろをついて来たり、無いとは思うが発信器を付けていたりとかはないだろうか…いや、ここは相手も同じハズだ。ひとまずは……
「そうですね。ひとまずその場所に行くとしましょう。」
「だね。じゃあ僕はこれで、また次に会ったときはよろしく。」
「はい、それでは。」
そういって軽く礼をしてささっと走って行った。
さっきも言ったように、つけられたりしたら大変だからだ。
とにかく、命令のカードを見てみた。
…自分の走ってる方向と逆だった――――
明さんもそうみたいだった――――
………少し恥ずかしかった。
さぁ、来ました。
第2話でございます。
会話文ばかりでしたが、なにぶんまだ研究中ですのでご勘弁ください。
感想や意見などありましたら、どうぞコメントください。
次回もよろしくお願いします。