お外で待ってる。(後)
やっと、待ち合わせ場所が見えるところまでたどり着いた。
いた。
雪が降りだしているのに雨ざらしな場所で立っているなんて!!
髪もコートの肩も濡れちゃっているじゃないか!!
「遅れてごめん」
「うん」こっくり。
…そこは否定しないんだね。
本来、真っ白な肌が寒さで頬も鼻の頭も赤くなってしまっている。
…これはこれで可愛いんだけど。
巻いていたマフラーを外して彼女の頭から首回りをぐるぐる巻いた。
これってマチコマチとかいうんだっけ?
「何処かに入って雨宿りしててもよかったのに」
「だって、真から電話来なかったから、今、走ってここに向かってる最中だと思って」
もっと遅れるとわかってたら電話してくるでしょ?と。
さすがに幼なじみは行動パターンを読んでいる。
マフラーの巻きを直しながら、ふふ、あったかい、とフニャッとわらう。
ああ、そんなわずかな温もりで、ご機嫌な猫みたいな笑顔を見せないで。
抱きしめてもっと君を暖めたくなっちゃうから。
…自重するけど。
「お腹すいただろ?行こ?」
手を差し出すときゅっと握ってくる。
指先が冷たい。
こんなになるまで待っていてくれる彼女が可愛くて愛しくて。
小さな手をすっぽりと包むように握る。
もうちょっと待っててね。君を幸せにするからと心の中で呟く。
とりあえず、今は冷えきってしまった君を暖めるものを食べに行こうか。
のんびり更新ですが、お付き合いいただけたら幸いです。