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ピンチの後は
前日はピンチでどうしようもなくなっていた波留。
でも今は、ご覧の通り元気になりました。
「瑞穂~~!!」
今日も、私に向かってとびついてくる。
「藤川に行きなさい」
面倒なので、適当に手を振って波留を振り払うと、
「ひど~い。この間の優しくて可愛くて可愛い瑞穂はどこ行っちゃったの~?」
「・・・可愛いって、2回言った」
「だって瑞穂、可愛いも~ん」
この子は、何なんだろうか。もしかしたら、甘えたがりな何かがとりついているのかもしれない。
「藤川」
そう一声かけて藤川を呼ぶと、小柄な波留をポーンと投げた。
「うわぁ!!っちょ、」
突然の塊に戸惑う藤川に目もくれず、私は
「預かっててね」
と言って、図書館に逃げた。
波留だから、嫌じゃない。でも、ベタベタされるのは好きじゃないんだ。
ごめんね、波留。
コツコツと足音が響く廊下は、どこか寂しかった。
これから、ちょっとシリアスになっていくかも。
どうか、お付き合いください。