新年早々
「瑞穂~~」
「何」
「寒いよ~」
「・・・」
何を言っているんだ、そんなに温かそうな所にいて。
おっと、説明が遅れてしまった。ここはまたしても、波留の家。新年早々、呼び出されたのだ。そして、炬燵で丸まっている。
正直、これほど友人の思考が読み取れないことは久しぶりだ。正月に、炬燵で、なにがしたいのだろう。今、波留はわたしの隣で同じように丸まっている。
「寒いよ~」
「だから、炬燵の中にいるでしょ。寒くなんか、ないでしょ」
静かな声で、駄々をこねる波留を諭す。
そうこうしていると、
「あ、あ、だああああああああああああ!!!!」
うるさい声が聞こえた。藤川だ。
藤川は今、わたしと波留の向かい側で年賀状を書いている。新年明けて、年賀状って。遅すぎる、または早すぎる。
「どうしたの」
いやいやながら体を起こし、尋ねる。構ってやらないと、変に絡まれだしたら面倒だ。
「いや、宛名しくじった」
「・・・・バーカ」
途端に、しゅんとなる藤川。だって、これしか言いようがないじゃないか。年賀状で宛名をしくじるなんて、バカ以外の何なんだ。失敗するのがわかっていたのなら、パソコンで印刷してしまえばいいものを。
「瑞穂」
くいくいと、トレーナーの裾が引っ張られる。
「寒いよ」
「ああ」
波留は、わたしが起き上がったことによって出来た隙間から入る風に、寒がっていた。
「あんた、極度の寒がりか」
波留の意外な一面、発見。
なんだかんだで、そのままなにもすることなく帰った。
波留は一体、炬燵で何がしたかったのだろう・・・?
オチがなくてごめんなさい。