俗にクリパと呼ばれる、難易度の高い集会について。
「メリー、クリチュッ」
「・・・・“クリスマス”で噛む人、はじめて見た。」
真っ赤な衣装に身を包み、噛んでしまった恥ずかしさで頬を赤く染める友人に一言。
「やたらと可愛い」
これが世間で言う“ギャップ萌え”なのか。いや、ちょっと違う気もするが。
説明が遅れたが、今日はクリスマスパーティーである。波留の家で開かれている、なんだかこじんまりした集会。メンバーは、わたし米山瑞穂と、おなじみの藤川正太郎だ。
「ねぇ、米山。俺は無視ですか」
クリスマスらしいサンタさんのミニドレスを着ている波留の横で、出来るだけ小さくなりなからこちらをうかがってくる茶色い物体、否、トナカイ正太郎。
ぶっちゃけ、どうでもいい。今は、波留が可愛い。
「米山~、お前だけが最後の綱なんだよ~」
実は、とても驚いたことに、社交的な波留がこのパーティにはわたしと正太郎しか呼んでいないのだ。家も広いし、友達も多いし、三人だけのパーティなんてしなくてもよかったのに。友達のいない正太郎に気を遣わなくてもよかったのに。
黙々と用意されたごちそうを口に運びながら、ふと、思い出した。
「CDって、正式名称は何?」
「コンパクト・ディスコ!!」
・・・・コンパクト・ディスクね。ここまで堂々と言い間違いする人、はじめて見た。
以上、これからパーティを思う存分楽しんでやろうとひそかにほくそ笑んでいる米山瑞穂から、パーティの途中報告でした。