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ミレーの森

午後遅く人が疎らな時間に

スカイは食堂で、蒸かしイモをナイフで切り分けながら

食事をしていると、




トーマス主任が、スカイの姿を見つけ

スカイと向き合う様に座る





「お食事中すいませんスカイ様

 魔法薬の販売価格なんですが

 金30枚で、設定したいと思います


 それで在庫も十分有りますから

 そう言えばそろそろ、お出かけになるには丁度良い気候ですし

 どうでしょう、遠出に行かれてはいかがですか


 例えば、ここ帝都の北東側に存在する、ミレーの森に

 行かれてみては、如何でしょうか?

 道が舗装されてる割には、葉の採集などが出来るほど

 自然豊かな所ですよ」




スカイは、食事をしながら

トーマス主任の話に、耳を傾けていた




(遂に、金30枚か

 漸く少しは、認められたと言う事だな

 在庫が、有るほど作ってたのか俺は


 森はな~、虫が居るからな

 野営は、絶対無理だ

 行くんなら完全武装して、日帰りだな)




スカイは、ナイフを皿に置き

グラスの水を飲み干す




「興味深いですね、トーマスさん

 早速明日早くに、日帰りで行ってきますよ」





「行ってらっしゃいませ、ごゆっくり楽しんできてください

 スカイ様


 森林浴は、心を落ち着かせますので

 これまでの疲れが取れると思いますよ、では私は失礼いたします」




トーマスは、頭を下げ席を立ち去った




「有難うございました、トーマスさん」


スカイは、食事を終えると食器を

カウンターに返し、階段を上り

4階にある工房へと戻る




スカイは、椅子に座り魔法薬について記してある本に

目を通す



(魔法薬とは、服用する者の自然治癒力を高め

 病気や怪我の、完治、回復を早める効果がある


 服用の注意点は、体力が落ちている者が服用すると

 効果は、十分に発揮する事が出来ない


 治療師とは直接、患者、負傷者に接し

 魔力を行使する、例え患者、負傷者の

 体力が落ちていようと、ほぼ回復、完治出来る


 また、肉体が腐敗していなければ

 蘇生魔法で、蘇生が十分可能


 治療師凄いな、蘇生魔法か

 何時か、マスターしたいけど

 試す対象が無いよな~)




スカイは、本を閉じて

明日森へ行く、準備を始めた




飲料水を鞄に詰め、以前魔法学院に居る時に

ミカエルに貰った短剣を、鞘から取り出した



(採集の時に、役立つだろうから

 持っていくか、戦闘では使わないからな

 いや折角、貰ったんだから持っていこう)



短剣を鞘に戻し、鞄に入れる

スカイは、ミレーの森へ行く為の用意を一通りしてから

早めに、ベッドで就寝する




午前4時、4階の工房のドアを静かに閉め

階段も、物音を出さないように

1階まで下りていく




スカイは魔術師、魔道師組合の

最上階が下から、見上げても見えない大きな塔から出る


まだ外は、薄暗く人影はない

スカイは、帝都独特の舗装された石畳を

身体強化の魔法を重ねて掛けて

早足で、駆け抜けた




2時間ほどすると、ミレーの森の入口に着く

スカイは、首、手足、頭部全てを布で覆う

肌を極力露出しないように、準備し

森の中へ、入る




大きな木が生え、葉で日光が遮られ

ミレーの森は、うす暗く地面は湿っていた




スカイは、早速群生する葉を

短剣で丁寧に切り取り、葉に虫がついていないか

虫食いが無いか、確認する





(臭うな、やっぱり草はな)




20枚ほど、採集してから

スカイは、予めラインを繋いでいた

組合の1階事務室へ、纏めた葉を転移魔法で転移させる



スカイは、目を閉じ魔術師、魔道師組合が在る

方向へと、意識を向け1階事務室のラインを掴みあげ

20枚の葉を、転移させた




次にスカイは、ミレーの森の中央付近に在る

ミレー湖に、到着する



湖に着くと、スカイは鞄からハンマーを

取り出し、足元に落ちている

大きめの、石をたたき割る


中に有る、貝の化石を取り出した



(アイテムに、水属性とかつくかな?

 混ぜたら、まあいいや、組合が買い取ってくれるかもしれないしな)



その作業を、数回繰り返し

ハンマーを、鞄に仕舞うと

森の奥へと、進む




スカイは群生する植物の種を

手で、丁寧に取り出す






幾つかの植物の、種を採集して

鞄に詰める




(組合の敷地で、栽培出来ればと

 トーマスさんに、頼まれたからな

 これも、持っていくか)




スカイは、気配を感じ後ろを振り向く

白虎が、大きく口を開けスカイを威嚇する



スカイが、彼らの生息するテリトリーにいつの間にか

足を踏み込んだようだ



(悪い事したな~、しかし折角だし

 何か頂戴しておくか)




スカイは、白虎に向けて足元の湿った土を

団子状にして、投げつける




白虎は、スカイに向け猛然と襲いかかる

スカイは、微動だにせず白虎を見た



白虎が、突進しようと前足を振り上げたと同時に

スカイは、横へと動き前足を掻い潜り



白虎の後ろ側に回ると、勢いよく飛びあがり

頭部に、踵落としを決める



白虎は意識を手放し、地面に大きな音をたて

前のめりで倒れ込む




スカイは、懐から短剣を取り出し

白虎の、前足にある鋭い爪を

5センチほど削り取る




(これは、効果有るのかな?何かの役に立つかな)


スカイは短剣と、削った白虎の黒いツメ

を鞄に仕舞うと、周辺を警戒しながら

ミレーの森を駆け抜けた



帝都に入ると、首、手足、頭部に巻いていた布を取りさる



バサバサと体を、手ではたき

漸く、スカイは安堵した




(スッキリした~、熱かったなさすがに蒸れるし

 慣れない作業で疲れたしな、さあ夕食までに組合に戻るか)




夕方になり、多くの人で混雑している帝都の

大きな舗装された石畳を

スカイは人の間を縫うように、早足で抜ける




魔術師、魔道師組合に戻り

1階の事務所前まで来るとトーマスが、出迎えた





スカイから、皮の鞄を受け取る




「お帰りなさいませ、スカイ様

 ミレーの森は、良い所でしたでしょ」






「そうですね、機会が有れば

 また、行きますよ」




「そう言えばスカイ様、ラインは確り繋がったようです

 転移魔法で、スカイ様が採集された

 葉などがこちらの事務所前に転移されて来ましたから」




「そうですか、成功して良かったです

 では、これで」




「またよろしくお願いします」




スカイは、階段を上り

工房へと戻った




丁度掃除を終え、ドアを閉めるラミアと目が合う




「御帰りなさい、スカイさん

 お食事は、何時ものように作業台の上に置いて有りますので

 失礼します、また明日来ますね」




モップとバケツを持って、頭を下げて

スカイの横を通り過ぎる





「ラミアさん、何時も有難う

 また明日」





スカイは、工房のドアを開け

手を洗い、食事を終えると直ぐにベッドに

倒れ込んだ








スカイ日記抜粋





何時ものように、食堂で蒸かしイモを食べていると

トーマス主任が、いつの間にか前に座っていて

ミレーの森に、行ってみてはと勧めてきた




正直言うと、虫刺されとかが嫌で断りたかったんだけど

事実上の上司である、トーマスさんの勧めを

断れないから、大人の対応で行くと言ったんだけど

正直、行きたくないな





俺は、野営とかは無理なので

朝早くに、組合の建物を出発した



勿論、ミレーの森に着くと肌を全て布で覆い完全防備をして

ミレーの森に着いたんだけど、正直素人の俺が何を

採集したら良いか、良く分らないので

トーマス主任のアドバイス通りに、葉を採取した、植物の種とか




たまたま、白虎に出会ったので爪を少し削り

頂いてきました




何とか、急いで夕飯を食べる時間に帰宅出来たんだけど

工房の前で、掃除を終えたラミアさんと偶然合って

挨拶したんだけど、何かもの足りない気がして




翌日、疲れてたんだけど帝都へ出て

甘味物を商店で、適当に包んでもらい

組合1階の事務室に、届けた




やっぱり遠出したわけだし、何か不味い気がしたので

多分これは、トーマスさんが遠まわしに

そこそこ稼いでいる俺に対して、遠出ついでに

組合の職員達に何かお土産を届けて

よりスムーズに円滑に、人間関係が築ける様にと

気を回してくれたんだと、考えておいた







単純に、俺に対して息抜きをして

もらいたかったのかも、しれないけど


しかし、何時もお世話をしてくれるラミアさんには

何か特別にプレゼントを、送りたいと俺は思い


工房に食事を、持ってきてくれた時に

ミレーの森で、偶然見つけた岩石の中に有った

琥珀を、俺の魔力で微妙に

光の反射によって、光輝く様に

加工したものを、帝都の宝石商に頼み

ネックレスに加工したものを、プレゼントしたんだが



ラミアさんは、恋人でも無いのに

高価な物は貰えないと

クセ毛の黒い髪を、振り乱し頭を下げてきて


因みに、その時正面に居た俺の鼻に

ラミアさんの髪が、触れてくしゃみを無性にしたくなったんだけど


彼女の髪の匂いを、吸う事に全神経を使っていたので

くしゃみは、我慢できた





結局プレゼントは

まあ断られてしまったんだけど



トーマスさんに間に、入ってもらって

琥珀は、森で拾った事などトーマスさんが上手く説明してくれて


ラミアさんは、それならとその場で

ネックレスを、見に付けてくれた




よく似合っていたので、ボ~ッと見ていたら

何故か、ト―マスさんが手を叩き

良い事を、思いつきましたと言い




他の組合職員、ミス、ミセス、ミスター達にも

同じような物を、送る事になり


その為に、俺は数日ミレーの森に通う事になってしまった


毎回、白虎が勝負を挑んできたので

程々に相手をしていた




お仲間も、連れて来て彼らが一斉に

俺に、飛びかかって来た時は

流石に、結構本気で蹴り倒してしまったけど

あれは、マジで怖い





そして少しは、親交を深めたと思い

俺は、最初に出会った白虎の背中に乗ったら

振り落とされそうになった、まだ友人では無いようだ








そしてトーマスさん推薦の、プレゼントを配ると

何となく前より、組合の職員さん達が微妙に優しく接してくれた

物の力は偉大だ





そして、また食堂で食事をしていたら

トーマスさんが来て、少し仕事手伝ってみない?

と言われ、お供する事に




帝都の殆どの、お店に行く事になってしまったのだが

実際に商品を、手に取り主に魔法薬関係のものを

トーマスさんが、成分とか効果を調べていた




俺は、トーマスさんが乱した商品を直したりした

あとトーマスさんが、店舗の責任者を連れ

店舗の避難経路を確認して、俺が実際に走って

問題無いか、確認したり




俺がトイレのドアを開けて、トーマスさんが中を確認したり

汚物の処理経路を確認していた




あと、丸い硝石を床に転がし傾斜を確認したり

魔術師、魔道師組合は、役所の仕事も一部代行していたんだ





で、お手伝いをしていたんだけど

トーマスさんが、俺を指名したのは


見分を広げる良い経験にもなるし、少し危ない事に巻き込まれても

俺なら、蹴散らせるという事だった


まあ、良いんだけど

確かに組合の職員の人には、不向きなだと思ったし


お陰で、帝都に有るお店のトイレと避難経路を

トーマスさんの、次に詳しくなった


何かの役には、立たないとは思うけど  

有難うございました

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